第573話 ノースダック

「という訳で、お兄さん。ここに居る鳥たちの餌に、アレをかけてー」

「えっ!? お、おい。カスミ!?」

「お手伝いするわねー……って、カスミちゃんがしなくても、向こうに居る他の女の子たちが頑張っているから、要らないかしらー?」


 カスミが俺のアレを持ち、餌に向きを合わせようとする。


「……か、硬すぎて無理か。それなら、鳥さんたちに直接飲ませてあげましょー!」

「ん? その太い棒から何か出るのかニャ? ……んん? ビクンビクンしてるニャ」

「ま、待て! ムギ、離れるんだっ! それを触っちゃダメだ!」


 何も分かって居ない様子のムギが、俺のアレに触れようとしていたので、慌てて制止するが……間に合わなかった。

 分身たちと感覚を共有しているから、思いっきり出てしまい、大きくなったムギの胸にアレが掛かる。


「あ! この香りは……そっか。今までお風呂場に落ちていて、ムギが飲んだり、鳥さんの餌に混ぜていたミルクは、ここから出ていたのニャ」

「そうよー。美味しいでしょー? 直接飲むと、もっと美味しいのよー」

「そうなのニャ? ムギも飲んでみたいニャー!」


 自身の胸に付着したアレを指ですくって舐めていたムギが、唐突に俺のを咥え、吸い上げてくる。


「こ、こら! ムギ!?」

「……美味しいけど、ちょっとしか飲めないニャー。胸に付いている方が沢山あるニャ」

「今は、さっき出した物の残りを吸い出しただけだからよ。カスミちゃんが手伝ってあげるから、よく見ておくのよー」


 ムギに俺のを咥えさせたまま、カスミがいろんな事をしてきて……くっ! カスミだけでなく、向こうに居るヴァレーリエやテレーゼが激しく……っ!


「――っ!? ……んっ、凄いニャ! とっても濃くて美味しいし、何より量が凄いニャ!」

「でしょー! あと、搾りたてで出来立て新鮮なのよー!」

「これは鳥さんたちにも分けてあげるニャ! きっと、とっても喜ぶニャ!」


 そう言って、ムギがノースダックという種類の鳥たちを見渡すと……近寄って来る鳥と、怯えながら逃げる鳥に分かれる。

 鳥によって性格が違うのかと思っていたのだが、


「どういう訳か、メスは近寄ってきてくれるけど、オスが怯えているニャ」


 どうやら、ムギと仲の良い鳥と、そうではない鳥に分かれたようだ。


「……本能で察したのかもしれないわね」

「どういう事ニャー? ……よく分からないけど、まずはお母さん鳥からニャ」


 ムギが一番大きな鳥を抱きかかえ、俺のアレの近くへ。

 突かれそうで怖いのだが、鳥は大きくクチバシを開けて待っている。

 そんな状態でカスミが俺のを握り、狙いを定め……ダイレクトで鳥の喉の奥へ。

 ……俺は一体何をさせられているのだろうか。


「美味しそうに食べているのニャ」

「うーん。何も起こらないわねー。こっちの小さな鳥はどうかしら?」

「数日前に生まれた、雛ニャ。この子にもあげてみるニャ」


 そう言って、ムギとカスミが先程と同じ事をしよとするが、生まれたばかりの雛が仮に有翼族に変わったとして、ユーリみたいな感じだったら人を運んだり出来ないと思うのだが。

 だが止める間もなく、同じ状態になり……っ!


「うん。美味しそうに食べているニャ……ニャっ!? ど、どうしたニャ!? 光りだしたニャ!」

「あ! これは……来たんじゃないかなー? カスミちゃんの作戦、大成功よっ!」


 光が収まると、ムギの手の中には腕が翼のように見える女の子が……って、ほら! 俺が危惧した通り、五歳くらいの小さな女の子じゃないかっ!

 こんなに幼い女の子に運んでもらうのは無理だろ。


「……ひ、人の形をした鳥さんになったニャ!」

「有翼族ね。ボルシチちゃんと同じねー。そういえば、この子の名前は何て言うの?」

「この子は、茶色い髪の毛だし、さっき抱きかかえた子だから……ヤキトリっていうニャ」


 いや、あの……鳥の飼育はムギに任せているから何も言わないが、そのネーミングはどうなんだ?

 ……そう言えば、ボルシチって名付けたのもムギだったな。


「……そ、そう。こほん。ヤキトリちゃん。さっきの美味しかったかしら?」

「ん」

「頷いたって事は、美味しいって事よねー。さっきのミルク、もっと飲みたい?」

「ん」


 ヤキトリが小さく頷き、パタパタと俺に近付いて来て……


「ダメだっ! こんなに幼い女の子にそんな事はさせられない!」

「えぇー!? でも、お兄さんのを飲み続けたら、ムギちゃんみたいに大きくなるかもしれないわよー?」

「それ以前に、いろいろと問題があり過ぎるっ!」


 とりあえず、この方法は中止する事にして、分身を解除した。

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