第173話 薬師部隊の材料採取

「魔法人形が増え、魔法攻撃隊B班が作れたので、早速訓練をしてこよう」

「ボクはお家作りの続きを頑張るねー!」


 朝食を済ませ、早々とネーヴとノーラが出掛けて行く。

 他の者たちも、それぞれの作業に行こうとしていたのだが、


「ニナとレイは、少し残って欲しい。相談があるんだ」


 二人に残ってもらった。

 というのも、昨日メイリンと決めた国力増強について話そうと思ったのだが、


「いいよー。どうしたのー?」

「はっはーん! 寝室へのお誘いやな? ウチはいつでもえーで!」


 ニナは素直に残ってくれたけど、レイは……いや、くっつかなくて良いから。


「わーい! ニナ、嬉しいなー」

「むっ……旦那様。妾も愛してくださるのですよね?」

「いや、そういう話じゃないから。というか、メイリンは話の趣旨が分かっているだろ?」


 一先ず、抱きついてきたニナとメイリン、もちろんレイも離れてもらい、本題の説明を行う。


「……つまり、ウチの人形たちに薬の作り方を教えて欲しいと」

「あぁ。せっかくレイがいてくれているから、薬師部隊を結成しようという話になってな」

「なるほど。確か、ウチの人形は五人いるはずやけど、全員で新薬開発の研究にあたってえーんかな? それとも、何人かは決められた薬の量産の方がえぇの?」

「長期保存可能で、需要が多い薬があれば、材料との兼ね合いで量産したいところだが、暫くは新薬開発で良いんじゃないか?」

「……長期保存には向かへんけど、需要がめちゃくちゃあって、材料の採取が可能な薬があるんやけど」


 現時点で需要のある薬っていうと……作物を美味しくする薬か。

 確かに量産したいところではあるな。


「なるほど。しかし材料がな……」

「それは、リディアはんの人形を一体ウチらの班に欲しいなー。色んな植物を知ってそうやし、生やす事も出来るし、開発がめちゃくちゃ捗ると思うけど」

「あ……薬草か。すまん、違う事を考えてしまっていたよ。リディアの件については分かった。一人、こちらへ来てもらおう」

「ふふっ……アレックスはん。何を想像したんかなー? とりあえず、そっちの材料も欲しいし……いただきまーす!」

「おい、レイ! ……って、メイリンも混ざるのかよっ! ニナもっ!? ……って、サクラとツバキがどうしてここに居るんだよっ!」


 レイが俺のズボンを下ろし、メイリンとニナに抱きつかれたところで、何処からともなく現れたサクラとツバキが加勢する。

 ……いや、サクラとツバキはマジで何をしているんだ!?


「何となく、そんな予感がしたので、控えておりました」

「アレックス様! 私にも……あ、何でしたらサクラ姉だけでも、お願いします。勿論、直接していただける方が嬉しいですが」


 ツバキはサクラと感覚を同期させている……と。準備万端過ぎだっ!

 一先ず、レイに材料を提供し、魔法人形が一体ずつ増えたところで、話を戻す。


「……に、ニナは鍛冶師部隊を結成しても構わないか? というか、既にリザードマンたちとの交易用に色々作ってもらっているけど、これからはそれに加えて、人形たちの装備も作ってもらおうかと思って」

「ニナは構わないよー。鉄を集める必要もあるから、そっちと分かれて作業する事になるけどねー」

「あぁ、鉄の採取には、これまで通りエリーとモニカに加え、俺の人形に同行してもらおうと思っている。流石に、魔物が出る所へ人形だけ……という訳にはいかないからな」


 そういう意味では、地下探索のエリーとモニカに人形たちが加わる事になり、より安全になるだろう。

 ……奥まで行かなければ、二人でも十分だったりするが。


「あ、思ってんけど、アレックスはんの人形のアレで薬を作られへんかな? アレックスはんの人形のアレでも薬の材料になるなら、ウチの人形に出し続けてもらえば……」

「んー、成分までは分からないけど、アレックス様の人形さんたちは、アレックス様みたいに無尽蔵に出せないし、連発も出来なくて、一回の量も少ないわよ?」

「そうなん? ……って、どうしてツバキはんは、そんな事を知ってるん?」

「色々あって、アレックス様の人形たちのを……げふんげふん。まぁ身体も小さくて、年齢も幼いから、一晩に十回くらい出したら打ち止めじゃないかしら?」

「そうかー。それは少な……って、アレックスはんが凄過ぎて感覚がおかしくなっているけど、別に少なくはないと思うんやけど」


 いや、あの……俺も元は普通だったんだからな?

 そういうスキルを得てしまったから、今は大変な事になっているけど。

 一先ず、先ずは確認……という事で、レイの人形に依頼し、俺の人形が搾取される事になったらしい。

 あ、あんまり人形たちに無理をさせないでくれよな。

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