第338話 事情聴取
「ユーリ。この女の子たちは全員呪いが掛けられているのか?」
「そーだねー。けど、へんなんだよー。まえみたいに、のろいのアイテムとかは、なさそうなんだー」
「それはつまり、本人に掛けられているって事か」
人身売買まがいの店を経営していた男たちを全員動けなくして、捕らえられていた女の子たちを助けたのは良いものの、ちょっと面倒な事になった。
ウララドの街で女性が呪われるという事件が起こっていたが、あの時は呪われた装飾品を外せば、呪いが解けていた。
だが、ここに居る五人と最初に居た少女――計六人の少女は、そういった類のアイテムを身につけていないらしい。
なので、呪いを解こうと思ったら、プリーストであるステラに来てもらって高位の神聖魔法を使ってもらうか、逆にステラの所まで連れて行かないといけないのだが……六人は多い。
「ステラがここへ来る事が出来れば良いが、マミとジュリに無理を言って連れて来たとしても、後が大変だし、ジュリたちに迷惑を掛けてしまうんだよな」
「パパー。のろいのアイテムは、せーすいでじょーかできたよー! だから、このこたちもー、せーすいでじょーかできるんじゃないかなー?」
「あ、うん。そ、そうだな」
ユーリの言う通り、呪われた装飾品を聖水に漬けて浄化し、呪いを解く事は出来た。
だけど、この女の子たちを聖水に漬けておくというのは、聖水の量的にも倫理的にも難しい。
「ユーリ。メイリン経由で、レイに伝言をお願いしたいんだが」
「はーい!」
ユーリとメイリン経由で、暫くレイと会話し……浄化効果のあるポーションが作れないか、大急ぎで調べてもらう事に。
それからレナとツキにも連絡し、ここへ自警団に来てもらう事にした。
到着までの間、六人の少女に話を聞いてみる事にしたのだが、
「君は……お家は何処なのかな?」
「ご主人様の家が、私の家ですぅー」
「いや、生まれた家というか……うーん」
「こっちの君は、どうしてメイド服を着ているのかな?」
「これが私のお仕事の服だからだよ? あ、そっか……脱げって意味だねー!」
「違う違う違うっ! 脱がなくて良いからっ! そのままで居てくれっ!」
「そっちの君は、お父さんやお母さんに会いたくないかい?」
「ご主人様、何を言ってるのー? お父さんなら目の前に居るじゃない」
「ん? ……俺の事を言っているのか? そうじゃなくて、君のお父さん……」
半分の三人に話を聞いた時点で、会話にならない事が判明した。
これは、メイドになりきる呪い? いや、そんなピンポイントな呪いなんて無さそうだから、従順になる呪いなのか?
とりあえず、男の方からも話を聞きたいが、それは自警団が来てからにしようか。
「アレックスさん。お待たせしました」
「お待たせしました。これは……なるほど。幼女が八人も……」
「いや、レヴィアとユーリは違うからな!? 向こうのメイド服姿の少女たち六人が被害者だ」
ジュリと自警団の者らしき男性に、ツキやレナが来てくれたので、先ずはリーダー格の男を治癒魔法で目覚めさせる。
「さて、いろいろと聞きたい事があるのだが……まず、この少女たちは、何処から連れて来たんだ? さっき自分で言っていたように、仕事を与えると騙したんだな?」
「知らねーな……ぐぁっ!」
「私は父上と違って優しくないので、容赦なく斬る。早めに話す事をお勧めする」
男が顔を反らした瞬間に、ツキが斬りつけていた。
んー、まぁ相手が相手だし、良しとしようか。
「ちっ……その六人は、闇ギルドから買ったんだよ」
「やはり闇ギルドと繋がりがあったか。で、闇ギルドは何処にあるんだ?」
「知るか! いや、本当に知らねーって意味だ。こっちから連絡は取れねぇからな」
「では、この少女たちが呪われている理由は? 何をしたんだ?」
「呪われている……って何だ? ……へぇ。いや、やけに従順な子供たちだとは思っていたが、そんな呪いがねぇ。悪いが、それも知らん。俺たちがその少女たちにしたのは、ドジっ娘メイドとしての仕事と矜持を教えただけだからな」
いや、何を教え込んで居るんだよっ!
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