第514話 再会するアレックス

 天高くまで昇る水柱を見て、分身を使って全力で走ってきた。

 そのおかげで、かなり早く着いたと思うのだが、その結果、


「あ、あなた……走りながらって、素敵。でも……もうダメ」

「……」


 ラヴィニアは到着寸前で気絶し、フェリーチェに至っては、かなり前から気を失っている。

 ……だが、その状態でも分身たちは抜かずに、そのまま走り続けていた。

 いや、俺が走れと言ったんだが……だが、そもそもそういう事をしろとは言ってないんだけどな。

 ……まぁ、更に言うとフェリーチェからしにいったんだけど。


「おにーちゃん。はしりながらって、すごいよねー! プルム、これすきー!」

「プルムもー! すごかったのー!」

「プルムのほうがすきだもん!」

「プルムだって、おにーちゃんがすきだもん!」

「むーっ! じゃあ、いっしょにすきになろー!」

「うんっ! おにーちゃんに、たっくさんだしてもらうのー!」


 あー、プルムは走っている途中で分裂して、プルム・フォーが誕生してしまったからな。

 流石に、プルムが元の大きさに成長する程までには至らず、二人揃って六歳程の姿だが。

 まぁ、プルムが分裂する程にアレが出てしまっているので、感覚が同期している俺も凄い事になりそうなのだが……実は結衣がこっそり処理してくれている。

 ……ニースやユーリたちには絶対に言えないが。

 とりあえず、そんな状態で走っていくと、


「あぁっ! ご主人様ーっ! やっと来てくださいましたっ!」

「アレックスさーんっ! 無事で良かったですっ!」

「やっと来たのじゃ。何やら知らぬ女が増えておるが、まぁアレックスだし……仕方ないのじゃ」


 モニカとリディアに、ミオが俺に気付き、走り寄って来た。

 幸い、三人はそこまで怒っていなさそうだが、一番肝心なレヴィアは、


「アレックスーっ! やっと会えたぁぁぁっ!」


 凄い勢いで飛びついて来た。

 ほぼタックルなのだが、子供の姿とはいえ竜人族だからな。

 パラディンの防御力が無ければ、死んでいたかもしれない。


「皆、本当にすまない。遅くなってしまって」

「レヴィアたんは、アレックスが無事ならそれで良いよー!」

「そうですよ。物凄く幼い女の子が二人……双子ですかね? アレックスさんの分身と抱き合っていますが、アレックスさんに再会出来たので、気にしません」


 レヴィアはニコニコしてくれているが、リディアは……うん。顔はニコニコしているけど、目は笑っていないね。


「やはりご主人様は、あれくらいの年頃の……しかし、こんなに小さな身体なのに、よく巨大なご主人様のが入りますね。身体が柔らかいのでしょうか」

「いや、いくら柔らかいといっても限度があるのじゃ。……ふむ。この者たちは、スライム族じゃな?」

「プルム、スライムじゃないもーん! プリンセススライムだもーん!」


 そう言って、プルムが頬を膨らませるが……まぁ本人が拘っているのだから、そこは尊重しよう。


「それより、レヴィアは怒っていたのではないのか?」

「え? どーしてー?」

「いや、俺が遅いから水のブレスを天に向かって放ったのかと」

「そうだよー。アレックスが道に迷っているのかもって思って、放ったんだー!」


 なるほど。怒っていると決めつけてしまって、申し訳ない。

 なんだかんだ言って、レヴィアは優しい子だからな……怒らなければ。


「それよりもアレックスよ。急いでこちらへ来るのじゃ」

「え? 何かあったのか!?」

「うむ。ある意味緊急事態なのじゃ。そちらのリス耳の少女たちも連れて来るのじゃ」


 ミオの言葉で分身を出しっぱなしだった事を思い出すが、そのまま来るようにと言われる。

 何処へ行くのかと思ってついて行くと、少し坂を下ったところに、北の大陸へ来た家兼船があり、皆でそこへ乗る。

 流石に分身は乗れないので解除し、フェリーチェやラヴィニアを船に寝かせると、一瞬で景色が変わる。

 そこは、見覚えのあるアマゾネスたちの村で、


「アレックスーっ! やっと……やっと来てくれた! さぁ、子作りしますわよっ!」

「アレックスー! 早く早くっ! もう我慢なんて出来ないわっ!」

「お兄さん! 早くしようよー! もっと沢山来てくれないとヤダよぉーっ!」


 天后やヴィクトリアにチェルシーやジェシカ、サマンサ……アマゾネスの女性たちが大集合してるっ!

 もしかして、ミオの言う緊急事態って、この女性陣の相手をしろって事なのかっ!?

 し、仕方ないか。この人数だし、複製スキルも使った、全分身を投入だな。

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