挿話44 見てしまったマジック・エンジニアのソフィ

「今日はアレックスとニナちゃんが、すっごく東の方に居るから、そっちに家を建ててもらったの。皆、頃合いを見てそっちへ移動してね」


 エリー様の言葉で、急いで東の家へ。

 お仕事を終えられたマスターとニナ様を出迎え、食事を済ませると、いつもと同じようにユーディット様とお風呂に。


「あのね。この前話した事をモニカさんに相談してみたの」

「それは……マスターに求婚してもらう方法ですね?」

「そうそう。そうしたらモニカさんが、先ずはパンツを普段から履かないようにしなさいって言うの」


 下着を履くな……とは、どういう事?

 マスターと奥様方は一緒に入浴され、当然ながら互いに全裸なので、先ずはそれに慣れろという事なの?


「その顔は……ソフィも分かんないって事だよねー?」

「えぇ、残念ながら」

「だよねー。だって、そもそも天使族はパンツなんて履かないもん」


 ……えーっと、ユーディット様が普段履かれているスカートは、結構短いけど、実はその下に何も着けていないと。

 これは、ユーディット様も変た……こほん。

 天使族は……と仰っているし、全裸ではないので、種族的な理由があるのでしょう。……たぶん。


「それでね、モニカが言うには、大胆さが必要だって」

「まぁ時には必要かもしれませんね」

「でも、アレックスがトイレに入るのを見計らって、人が居ると思わなかったーって、全裸で突入しろって言うのよ? 流石にやり過ぎじゃない?」


 モニカさんは、用を足す時は全裸派なんですね。

 ……あ、物凄くどうでも良い情報がメモリに残ってしまう。


「あとモニカったら、アレックスが眠っている間に、キスしちゃえーって」

「それは……マスターが眠っているのであれば、認識されないので余り意味が無いのでは?」

「私もそう思うんだけど、以前はアレックスが寝ている間に、皆が色んな事をしていたらしくて。……とりあえず、もう少しモニカにアドバイスを貰うね」


 眠るマスターに何を?

 いつも小部屋でフィーネ様がされているような事かな?

 私は余り睡眠を必要としないので観察させていただいていますが、マスターが目を覚ます前から、フィーネ様が毛布の中に潜ってモゾモゾしたり、上に座って身体をくねらせたりしていますし。

 暫くユーディット様とお話しし、お風呂を上がると、


「こちらをどうぞ。ご依頼いただいた、温風で羽を乾かすマジックアイテムです」

「凄い! もう出来たんだー! しかも、こんなに小さくて軽いし! ありがとー」


 小型の温風送出機で、凄く喜んでくれた。

 こんなに喜んでもらえると、作った甲斐がある。

 それから、マスターや奥様方がお風呂へ入られ……やはり変な声が聞こえてきた。

 ユーディット様はキョトンとされているけど、一方で魔法人形たちは何故か顔を赤らめ、モジモジし始める。

 不思議に思いながらも、マスターたちがお風呂を終え……何故か人形が四体増えていて、更にユーディット様の人形が生み出される。

 なるほど……メイリン様のスキルなのね。


 それから、お風呂へ行っていた人形たちが戻って来て……やけにスッキリした表情なのは何故だろう?

 まぁお風呂は気持ち良いし、それでかな?

 その後、人形たちが皆隣の部屋へ移動した所で、


「≪夢見る少女≫」


 フィーネ様が突然何かのスキルを使い、皆がパタパタと毛布の上に倒れていく。

 何!? 何なの!? とりあえず、私も同じように毛布の上に寝転ぶと、


「えへへー。アレックス様の、いっただっきまーす!」


 フィーネ様がマスターのを咥え……小部屋でされている事を目の前でし始めた。

 普段はフィーネ様のお尻しか見えていなかったけど……フィーネ様の身体が、マスターの大きなアレを飲み込んでいく。

 フィーネ様は蕩けそうな顔で、凄く気持ち良さそうにしていて……あれ? この行為って確か……知識として保有していた気がする。

 だけど、何故かその情報が検索しても見つからない。


「~~~~~~っ! アレックス様ぁぁぁっ!」


 突然、フィーネ様が大きな声と共に、マスターの上へくてっと倒れた。

 ……え? そのまま寝るの? マスターのが刺さったままだよ?

 マスターも眠そうだし……っ!? 一瞬、マスターと目が合った!

 ね、寝たふりっ!


「アレックスさまぁ……すぅ」


 フィーネ様の声で少し驚いたけど、どうやら二人とも眠っているようだ。

 恐る恐る近付いてみると、


「こんなものを身体に挿れたまま眠れるなんて……あり得ない」


 フィーネ様の身体に、深々と太いマスターのモノが。

 痛くないのだろうかと思いながら、フィーネ様の身体のどの辺りまで刺さっているのだろうかと見ていたら、変な白いモノが付着しているのを見つけた。

 何かと思って手に取ると、ネチャネチャしていて、変な匂い……いや、この匂いは記録にある。

 この匂いが何かと解析すると、


「これ……マスターの魔力の素!?」


 念の為、舐めてみると……間違いない。

 いつも目隠しされながら飲まされるアレと同じ味で、少量でも魔力が回復した。

 だけど、この白いのは一体何? マスターはどこからこれを出したんだろう?

 これに関する情報は……対象データ無し。

 何故、情報が見つからないの?

 ……仕方が無い。今後も、フィーネ様とマスターとのこの行為を観察し、調査していこう。

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