第619話 喜ぶオリヴィア

 一先ず、ザシャのスキルでシアーシャが日中も移動出来る事がわかったので、シアーシャを連れていくのであれば、ザシャも連れて行く必要がありそうだ。

 あとは、人形の配置だな。


「サクラが連れて来てくれたのは、俺の人形が三体と、ステラ、モニカ、ノーラの人形が一体ずつか」


 ステラの人形は治癒魔法が使えるし、野菜村かな。

 治癒魔法を使える者が一人しかおらず、かつ高齢だと言っていたし。

 あと、この塔へ入る時に、俺が色々と破壊してしまったので、ノーラの人形がここかな。

 となると、消去法でモニカの人形が魚村になる訳だが……き、きっと大丈夫だろう。

 モニカ本人ではなく、モニカの幼少期の頃の人形だからな。


「じゃあ、それぞれの配置へ移動を頼む」

「ご、ご主人様! 私たちはお連れしていただけないのでしょうか!」

「君たちは、魚村でベルティーナの護衛を任せたいのだが、どうだろうか」

「それは、ご命令でしょうか?」

「……そ、そうだな。ベルティーナの護衛を命ずる」

「ご主人様のご命令とあらば、承知致しました」


 テイムしてしまった猫耳族の姉妹が、命令だと言うと、素直に従う。

 最初からこうしておけば良かったのか。

 つ、次からは気を付けよう。

 という訳で、猫耳族についても解決したので、早速出発しようとしたのだが、ユーリから待ったがかかる。


「パパー! うーん。本人も気付いてないし、危険だから言っちゃうけど……オリヴィアさんのお腹の中に、赤ちゃんが居るよー!」

「えっ!? わ、私の中にアレックス様との子供が……やったぁっ! アレックス様、私に子種を授けてくださって、本当にありがとうございます! 嬉しい……私、ママになれるんだ」


 ユーリの言葉で、オリヴィアが抱きついてくるが、最初はとにかく安静にする必要があると聞いているので、気を付けて欲しい。


「そうか。オリヴィア、こちらこそありがとう。とにかく、健康に気を付けるんだぞ」

「……オリヴィアさん、いいなー! クロエもアレックス様の子が早く欲しいですー!」

「お姉ちゃん、おめでとー! ねぇねぇ、シャロにも赤ちゃん来てくれたかな? 来てくれたかなー?」


 一緒に来ていたクロエとシャーロットもオリヴィアを祝福してくれ……事情が事情なので、先ずは俺とカスミ、サクラとナズナにユーリの五人で野菜村まで三人を送る事に。

 シアーシャから早く戻って来て欲しいと懇願されているが、ヴァレーリエに変な事を言わなければ大丈夫だろう。

 ちなみに、妊娠しているオリヴィアについては、歩いて帰らせるのも、俺がおんぶするのも良く無さそうなので、どうしようかと考えていたら、ソフィが第四魔族領からクッションを積んだ台車を持って来てくれた。

 そこへオリヴィアを座らせ……途中で疲れたというシャーロットも座ったのはさておき、ソフィも同行して無事に野菜村へ。

 改めて村長に、魔族を倒してランランを――玄武を救い出した事と、オリヴィアが妊娠した事を話すと、


「さ、流石はアレックス様です! この村の救世主だ! では、クロエとシャーロットにも是非、アレックス様の子供を!」

「いや、その。ついさっきまで……げふんげふん」


 い、言えない。

 ここへ来るほんの少し前まで、そういう事をしていたなんて。


「アレックス様ー! 話は聞かせていただきました! 娘を……オリヴィアを孕ませていただいたとか! 本当にありがとうございます! では、次は私にもお願いしまーす!」

「アレックス様! うちのクロエちゃんにも是非子種を! あ、もちろん私にもっ!」

「そうそう、お兄さん。カスミちゃんにもお願ーい!」


 どこからともなくオリヴィアとクロエの母親が現れ、カスミも混ざろうとして、


「あ、では後は若い者で、ごゆっくりどうぞ。是非泊まっていってください」

「私は安静にするため、自分の部屋に戻っておくわね。ユーリちゃん、お姉ちゃんと向こうで遊ぼっか」

「わーい! あそんでー!」


 変に気を遣われ、村長が部屋を出ていくと、オリヴィアもユーリを連れて外へ。

 すると、クロエとシャーロットも服を脱ぎだし、サクラとナズナとソフィも混ざりだして……いや、だから西の大陸へ出発するんだよっ!

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