第282話 テレーゼの危ないスキル

「お兄さん、ありがとうっ! ここまで回復すれば大丈夫かも!」

「そうか。しかし、随分と見た目が変わるんだな」

「夢魔族だからねー。ある程度、相手の好みに合わせてあげた方が、沢山精力が貰えるでしょ? ……お兄さんは底なしだったけど。あの飢えていた状態から、通常状態に戻るまで飲ませてもらったのに、平然としているもんね」


 奴隷解放スキルを使用した直後は、五歳くらいの幼女の姿をしていたテレーゼが、今は十六歳くらいにまで成長している。

 フィーネは姿が変わったりしないが、純粋な夢魔族との違いかもしれないな。


「あー、今更で済まないが、俺はアレックスという。こっちで気絶しているエルフの少女がリディアだ」

「アレックスさんだね。改めて、よろしくね!」

「あぁ。しかし、テレーゼの身体が大きくなってしまったから、着ていた服はもう着れないな。向こうに仲間が居るから紹介したいんだが、先に服を用意しないといけないな」

「そうなんだ。私は全裸でも平気だよ? お兄さんも、したくなったら、いつでも何処でもして良いからね? あと、精力がなくなってくると身体が小さくなっちゃうけど、今は自在に変えれるから。その時の気分で、好きな年齢帯を言ってね」


 とりあえず全裸は困るので、服は着るように依頼し、リディアをおんぶして皆の所へ戻る事に。

 しかし、流石というべきだろうか。

 途中でリディアが気を失った後、俺と分身の六人の相手を一人でしていたというのに、テレーゼは平然としているな。


「そういえば、ここは何処なの? 途中でお兄さんの身体が光ったりもしたけど」

「ここは魔族領の中に作った村……かな。奴隷解放スキルというスキルを使って、テレーゼが来たんだ。あと、俺の身体が光ったのも別のスキルの効果だな」

「そうなんだー……あ! という事は……奴隷紋が消えてるっ! お兄さん! これで私もスキルが使えるよー!」

「ん? 魅了スキルが使えないとか言っていなかったか?」

「うん。夢魔族は、異性を魅了するパッシブスキルが使えるものなんだけど、成人しても私は使えなくて、奴隷扱いされちゃってたんだけど、それとは別に習得するスキルがあるんだよー」


 何でも夢魔族は、特に何もしなくても、成人までに魅了スキルを自然と習得するものらしい。

 それに加えて、成人までに親から色んなスキルを教えてもらい、習得に励むのだとか。

 サクラたちの房中術的なものだろうかと思っていると、


「えっと、淫紋って言ってね、夢魔族には効かないんだけど、相手をいろんな状態に出来るんだよー」

「い、淫紋!?」

「うん。達したくても達せなくする淫紋とか、妊娠し易くする淫紋に、感度を倍増させる淫紋でしょ。あと私は使えないんだけど、相手を興奮状態にさせる淫紋とか……」


 全然違った。

 何となく、他の女性陣に知られてはマズい気がする。

 リディアが気を失っている時に聞いておいて良かったかもしれない。


「とりあえず、そういうスキルは使わないでおこうな」

「え? ダメなの? 自分自身で使った事がないから分からないけど、感度倍増の淫紋は凄いらしいよ? 何でも三ぜ……」

「こほん! テレーゼ、向こうに女性が居るだろ? 紹介するよ。メイリン、ちょっと良いか?」


 人形たちに指示して、石の壁の拡張を行っていたメイリンを呼ぶと、奴隷解放スキルで来たテレーゼを紹介し、人形たちに服を持ってきてもらうようにお願いしてもらった。


「旦那様。奴隷解放スキルを使用しに行って、どうしてリディアさんが気を失っているのでしょうか?」

「ど……どうしてなんだろうな」

「それに、そちらのテレーゼさんから、ポタポタと何かが零れ落ちていますが?」

「……ち、違うんだ。これには色々と事情があったんだ」

「旦那様。後で、妾にも同じ事をしてくださいね? でも、実は……いえ、やっぱり何でもありません」


 メイリンがニコニコと微笑みながら、抱きついてくる。

 ただ、何かを言いかけていたのが気になるが。


「はっはーん。リディアさんもメイリンさんも、お兄さんの大きなアレの虜なんだね。分かる! あんなに大きくて、連射可能で、しかも濃いからね。絶対に妊娠しちゃうよね。という訳で、お兄さん。さっきの続きをしようよー」

「お、おい、テレーゼ!?」

「……やっぱり。まぁでも、妾は既に……こほん。とりあえず、二人で旦那様の相手をするのは無謀な気がするので、応援を呼びますね」


 いやメイリンは気付いていないようだが、テレーゼは夢魔族だから応援不要……って、ついさっきした所じゃないかーっ!

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