第502話 追い出されるアレックス

「あー、アレックス様。そろそろ宜しいでしょうか?」

「おぉ、丁度良い所に。今から村長の所へ行こうと思っていたんだ」


 俺の姿になったプルム・ツーが分身した後、村長の所へ行こうと思った所で、村長の方から来てくれた。

 どうやら、かなり時間が経っていたようだ。


「あの……そ、そろそろ村の女性たちを休ませていただけないでしょうか。出来れば、私の娘だけでも」

「いや、それなんだが、実は奥に居るのは俺の分身ではなく、プリンセススライムという種族で……」

「プリンセススライム!? あの物凄く珍しいという?」

「知っているのか?」

「いえ、昔どこかの街で見世物にされているのを見ただけです。確か、その時のプリンセススライムはとても幼い女の子でしたが、アレックス様の姿そっくりになる事が出来るのですね?」

「そ、そうみたいだな」


 プリンセススライムというはかなり珍しいみたいだし、おそらく村長が見たというのはプルムの事だろう。

 しかし、同じ人間として奴隷にした奴らは許せないな。

 玄武を助けたら、皆を故郷に帰すと共に、いわゆる奴隷商人みたいな存在を潰していかないとな。


「うーん……アレックス様。今、ここに居る青髪のアレックス様は、いずれもプリンセススライムなのですか?」

「あぁ、そうだが」

「ふむ。プリンセススライムがアレックス様の真似事をしているだけで、村の娘をたちも喜んでいる。プリンセススライムが相手であれば、娘たちも妊娠する事はないし……これはチャンス! ……こ、こほん。あー、アレックス様は、このような小さな村で収まる器ではございません! ささ、今のうちに旅立たれてください!」


 えーっと、要はプルム・ツーが相手をしてくれている内に、出て行ってくれ……という事か。

 まぁかなり迷惑をかけたしな。

 ただ、俺と行動を共にしたいと言う者が多かったが……まぁそこは村長が説得するという事なのだろう。


「パパー。あのねー、このむらの、おんなのひとたちのなんにんかは、もうおなかのなかに……」

「この村には、善は急げという言葉が、古くから伝わっております。この小川に沿って進めば、森の中にアレックス様好みの獣人族の村がございます。ささ、早く……」


 ユーリが何か言いかけていたけど、村長によって追い出されるようにして、村の西側へ。

 ラヴィニアは小川を泳ぎ、プルムは村長がくれた服と靴を着て、歩いて行く。

 ちなみに、ニースは抱っこで、ユーリはおんぶされているのを見て、プルムが羨ましそうに見てくるが、四歳くらいの姿ならともかく、もう無理かな。


「……挨拶もそこそこに、村を発ってしまったが大丈夫だろうか」

「えっとねー、プルムから分裂してお兄さんの姿になったプルムはねー、お兄さんの白いのを出すみたい」

「ん? プルムは、プルム・ツーの事が分かるのか?」

「うん。元はプルムだもん。何となく、何をしているかがわかるのー!」

「そうなのか。凄いな」

「えへへー。でねー、沢山取り込んだお兄さんの白いのを女の子の中に出してー、溢れて零れちゃったのはまた取り込んでーって、いうのを繰り返してるみたいなのー」


 ……えーっと、それってつまり、俺のアレが今も繰り返し出されているって事か?

 いずれ大変な事にならないか?

 いや、そもそも既に全員俺の妻と思って、責任は取るつもりで居るが。


「あー、村長さんがすっごく怒って、一旦解散になったみたい」

「……プルム・ツーはどこで過ごすんだ?」

「えっとねー……今日はリンダさんっていう女性の家に泊めてもらうみたい。お兄さんを独り占めはズルいから、一日毎に女性の家をローテーションしていくんだってー!」

「そ、そうか。迷惑では無い……のか?」

「え? リンダさんは凄く喜んでいるよー? あと、リンダさんのママも凄く喜んでるみたい。それに、全員でくじ引きをして順番を決めたみたいで、他の女の人たちも、リンダさんを羨ましがってたよー?」


 まぁその……誰も迷惑だと思ってなければ良いのだが。

 あと、リンダの母親はダメだからな? そこはしっかり守ってくれよ!?

 一抹の不安を抱きながらも、小さな川にそって下っていき……村長の言っていた森が見えてきた。

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