第450話 普段とは少し違う夜

「アレックスさん! やった! 出来ましたー! アサシン・ラビットをテイム成功ですっ!」

「そうか、良かったな」

「はいっ! ありがとうございますっ!」


 閉鎖スキルで閉じ込めたアサシン・ラビットを、ひたすら鞭で攻撃していたコルネリアが、テイムに成功した。

 ただ、それを待っている間に現れたアサシン・ラビット三体が、シャドウ・ウルフと同じように自分から俺にテイムされたが。

 何もしていないのに、どうして服従するのだろうか。

 ただ、そういう行動を取るのはアサシン・ラビットだけで、サソリは一切そのような動きを見せないが。


「次は獣以外のテイムだが……ちょっと休憩しようか」

「ぼ、僕はまだ大丈夫だよ?」

「いや、疲労が伺えるな。一度戻ろう」


 明らかにコルネリアが疲れているので、おんぶ……は、前に色々あったので、抱っこして地上へ向かう事に。

 コルネリアはテイム出来た事が嬉しいのか、やや興奮した様子で……何故、胸を押しつけてくるんだ?

 不思議に思いながらも、地上へ戻ってくると、ノーラが飛びついてきた。


「お兄ちゃん。コルちゃんばっかりズルいよー! ボクもー!」

「いや、コルネリアとは地下で魔物と戦っていただけなんだが」

「でも、お兄ちゃんと一緒に居てたでしょ? ボクもお兄ちゃんと一緒に居たいのー! ……あと、子作りもしたいよー!」


 うーん。ノーラがアレを知ってしまったからか、無邪気にしたいと言ってくる。

 それを聞いたコルネリアが服を脱ぎ始めたので、慌てて止めた。


「いや、しないからな? それに、地下で気付けていなかったが、もう日が落ちてきているしな」

「むー。じゃあ、お兄ちゃん。いつもお風呂で皆にしていたみたいに、今日はボクにもしてねー」

「アレックスさん。僕も僕もー!」


 ノーラとコルネリアを宥め、テイムしたアサシン・ラビットを西エリアへ。

 シャドウ・ウルフと同じ場所だが、どちらもテイムされている訳だし、大丈夫だろう。……たぶん。


「そういえば、ノーラの小屋はどんな状況なんだ?」

「もう準備は完了していて、魔導列車に積み込んであるよー」

「ん? 小屋を……か?」

「小屋の材料だよー。板や柱を準備したから、あとは水辺で組み立てるだけだよー」


 なるほど。確かに東のトンネルにしろ、魔法陣で港町の家へ行くにしろ、小屋の状態では無理だな。

 いきなり海はやめておいて、明日ラヴィニアにも手伝ってもらって、リザードマンの湖で試すか。

 それから、エリーが作ってくれた夕食を食べ、風呂の時間に。


「お兄ちゃーん! お風呂へ行こー!」

「アレックスさん! お風呂でしよー!」

「あー! ニナもニナもーっ!」


 ノーラとコルネリアとニナの無邪気な三人組が全裸で迫って来ると、突然モニカが慌てだす。


「はっ! 二刀流スキルの事ですっかり忘れていたが、こっちの疑惑も……ご主人様っ! 私もっ! 大きな胸の私もお願いしますっ! あと、フィーネ殿とテレーゼ殿も早くっ!」

「モニカさん。アレックス様は逃げないから大丈夫だよー?」

「そうそう。お兄さんの本気は、お風呂じゃなくて、その後だからねー」


 慌てるモニカとは裏腹に、フィーネとテレーゼは皆が寝た後に本気を出すからか、ゆっくりお風呂に浸かっている。


「くっ……ご主人様をあの幼女組から引き離さないと。レイ殿とイネス殿も頼む! 協力して欲しい!」

「しゃーないなー。一肌脱ごかー。まぁ言うても既に全裸やけどなー」

「アレックスさん。お風呂で、私の全身を使ってマッサージしてあげますねー」


 モニカに呼ばれたレイとイネスも参戦した後、風呂を上がって、フィーネの時間となる。


「≪夢見る少女≫」

「お兄さん。今日はフィーネちゃんと私だけだからねー。たまには分身無しで、私たち二人としてみる?」

「あ、テレーゼさんと一緒にアレックス様を……いつも、分身した大勢のアレックス様をお相手しているので、新鮮ですね。アレックス様、是非そうしましょう!」

「じゃあ、決まりっ! お兄さん。今晩は分身しちゃダメだからねー? じゃあ、先ずは私から……」

「フィーネはアレックス様とキスがしたいです……あ、指も素敵ですっ!」


 分身しても女性陣の方が多い場合、大人しく順番待ちしてくれているんだけど、こういうパターンは珍しい……って、俺は今晩眠らせてもらえるのだろうか。

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