第427話 怒られるかもしれないアレックス

 俺からフィーネたちを引きはがす為に分身を本気モードにしたのだが、その為に大変な事になってしまって、気付いた時には奴隷解放スキルで現れた男の……ではなく、女の子も大変な事になっていた。


「美味しい! あの、僕……もっと飲みたい!」

「ちょ、ちょっと待ってくれ。一旦、落ち着こうな。あと、手を放そうか」


 女の子を俺から放すと、何故か悲しそうにされてしまったが、このまま続ける訳にはいかず、分身を解除する。


「えぇっ!? アレックスよ、良いところだったのに……今のは酷いぞ」

「そうですよー! アレックス様、もう少し……もう少しだけお願いいたします」

「シェイリーもフィーネも落ち着いてくれ。……こほん。こんな状態で非常に申し訳ないのだが、君の事を教えて欲しいんだ」


 フィーネに続いてテレーゼも何か言いたそうだったが、先に女の子へ声を掛け、空気を読んでもらう事に。

 ちなみに、モニカは二人の分身の相手をしていたからか、気を失っているので、そっとしておこう。


「僕? 僕はコルネリアっていいます。あの、僕はアレックスさんの為なら何でも出来ます。だから、お傍に置いてください」

「いや、普通にしてくれれば良いから。あと、もっと早く聞くべきだったんだが……その、ジョブは授かっているのだろうか?」

「えっ!? ジョブを授かっていないと、何かマズい事が……」

「あー、うん。コルネリアではなく俺がマズいというか、成人はともかく未成年は……」

「そういう意味ですか。大丈夫ですよ。僕は小人族なので、見た目は幼いですけど成人なんです。とはいえ、小人族の中では大きすぎて、人間族に見つかって奴隷にされてしまったんですけど」


 小人族!? 初めて聞くが……良かった。

 いや、この状況は決して良くはないのだが、コルネリアは成人だったか。

 だが、シェイリーよりも幼い姿で成人というのは……こほん。とりあえずイネスの逆の状態か。

 イネスは巨人族の中では小さいと言っていたし。


「ちなみに、ジョブは何を授かっているのだろうか?」

「僕はビーストテイマーです。といっても、テイマーの練習とかも出来ていないし、まだテイムした事はないですけど」

「それは、コルネリアが望むなら練習する機会は作る事が出来るぞ。この辺りには動物が居ないのだが、東の方へ行けばそんなに強くない魔物が居るから、練習になるだろう」

「本当ですかっ! あの、僕はアレックスさんのお役に立ちたいです。そちらの、フィーネさんやテレーゼさんたちと比較されると勝ち目はないけど、シェイリーさんとは体型が似ていますし……どうですか?」


 いや、どうですか? と言われても非常に困るのだが。


「アレックスよ。ここまで言っておるし、幼くとも成人だ。という訳で、遠慮は無用であろう。さぁ先程の続きをっ! 早く、早くっ!」

「そうだよー! お兄さん。中途半端な状態はダメだよー? 身体がおかしくなっちゃうよー!」

「アレックスさん。僕も……お願いします。せっかく奴隷から解放してもらったんです。皆さんと同じ様に、愛してもらいたいです」


 シェイリーとテレーゼが迫って来るのはいつもの事だが、コルネリアは……シェイリーよりも幼いから、流石に無理ではないだろうか。


「アレックスよ。自身のスキルの事を忘れてはおらぬか? その幼女をしっかり抱きしめてやるが良い。そうすればハグスキルが発動し、身体も心も癒される」

「なるほど。一先ず、安心させてあげようという事か」

「馬鹿者! そんな状態では生殺しではないか! ハグスキルで癒しながら、一気に貫くのだっ!」

「いや、それは酷くないか?」

「何を言うか! こんな状態にさせておいて、放置する方が余程酷いであろう! というか、早く分身するのだ! 我らも早くしたいのだっ!」


 結局、シェイリーが不機嫌になり始め、分身スキルを使い、皆の相手をしている中で、


「……っ! アレックスさん! 僕も、お嫁さんにしてね」

「あぁ。責任は取ろう」

「ふふっ、嬉しいっ!」


 コルネリアにキスされて身体が光り、暫くすると……コルネリアが気を失ってしまった。

 後でステラのところへ連れて行こうか。

 ……めちゃくちゃ怒られそうだけどな。

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