第16話 鉄を手に入れる為に、地下洞窟の調査を開始!
「お兄さん、おっはよー!」
「おはよう、ニナ。朝から元気だな」
「当然だよー! 今まで奴隷扱いされて、独房? みたいな所で一人寂しく寝てたからね。誰かの温もりに触れながら眠るなんて、久しぶりだったもん」
昨日、シャワーで大惨事があった後、食事を済ませて就寝という所で、ニナが一人で寝るのが嫌だと言いだした。
とりあえず毛布が二枚あるので、リディアと同じ毛布で寝る様に勧めたのだが、これをリディアが断固拒否。
まぁシャワーで大惨事が起こったので、気持ちは分からなくも無いが、魔法を使う訳でも無いから……と説得を試みたのだが、
「アレックスさん、おはようございます」
「おはよう、リディア」
俺の直ぐ右側……というか、右腕に抱きついたリディアが目を覚ます。
ちなみに、ニナは俺の左側で眠っていたのだが、温もりを求めてなのか、元々寝相が悪いのか、俺の身体の上に覆い被さるようにして眠っていた。
……せっかく毛布が二枚になったのに、何の為にタバサから送ってもらったのやら。
「あれ? ニナの寝相が良くないのは分かったけど、今日はリディアの寝相が悪く無いな。いつもは、背中合わせで眠っていても、必ず反対側に居て、抱き合うように……」
「げふんげふん……アレックスさん。今日の朝食は何が良いですか? 一先ずパンを焼いておくので、お好きな野菜を採って来てください」
「凄い! 畑から好きな野菜を採ってきて、その場で調理してくれるのっ!? 鮮度抜群で、絶対に美味しいよねっ!」
ニナが嬉しそうに顔を輝かせ、「お兄さん、行こーっ!」と、俺の手を取って小屋から出ようとする。
何となく寝相の話が有耶無耶にされた気がしつつも、朝露に濡れるキャベツやトマトを幾つか採り、美味しい朝食を済ませた。
「さて……じゃあ、行くか」
「ワクワクするねっ!」
今日は壁の拡張を一旦置いておいて、作物への水やりなどを済ませると、昨日ニナが見つけた、地下洞窟の調査へ向かう事に。
ニナ曰く、その洞窟のもう少し下に鉄があるらしい。
「私はちょっと不安なので……アレックスさん、私を守ってくださいね」
「任せろ。リディアもニナも、絶対に俺が守る」
「はいっ! お願いしますっ!」
そう言って、リディアが後ろから俺に抱きついてきた。
いや、まだ精霊魔法を使う訳では無いのだが。
「とりあえず今回は軽めの調査だ。どれくらい広いとか、魔物が居るかなどを確認しよう」
「そうですね。私の精霊魔法の中でも、植物を出す木の精霊の力は、太陽の下で無いと余り効果が無いんです。ですので、本格的に行くなら、お弁当を用意しないといけないですからね」
なるほど。地下洞窟の中では、リディアの力で作物を生やせないのか。
中で迷って腹が減ったから、リンゴでも出してもらう……なんて事は、出来ないって事か。
まぁリディア曰く、植物を生やす魔法が特殊なだけで、他の魔法は使えるみたいだけど。
「お兄さんとリディアが畑の世話をしている間に、地下洞窟へ続くトンネルを少し大きくしておいたよ」
「おぉ、それは助かるな。正直、あの中を進むのは大変だったからな」
お兄さんが大きいからだよ……とニナが口を尖らせてくるが、俺からするとニナが小さいのだが、一先ずトンネルの中へ。
俺の身長に合わせてくれたようで、普通に歩いて行くと、一番奥の石の壁へ到着した。
「じゃあ、開けますね」
リディアが石の壁を消し、細い割れ目をニナが広げ……中に真っ暗な空間が広がる。
やはり、地下洞窟はかなり広そうだ。
「ニナ。この辺りに光る苔を多めに生やせるか?」
「大丈夫。だけど、淡い光だから、中を照らすなんて無理だよ?」
「あぁ、中から出口がハッキリ分かるようにしておきたくてな」
「そういう事なら、分かったー! ≪光苔≫」
ニナがスキルを使ってペタペタとトンネルの壁に触れていくと、壁が淡く光りだす。
一先ず、これで出入口を見失う事は無い……と思う。
「でも、中は真っ暗だけど、どうするの? ニナの光苔は、土にしか生やせられないよ?」
「いや、ここからは俺の――パラディンのスキルを使う。≪ライティング≫」
照明を灯す魔法を自身の盾に使用すると、一先ず盾を向けた方向の数メートル先が見えるようになった。
だが、依然として広い空間だという事しかわからない。
「お兄さん。それは、リディアみたいな魔法なの?」
「あぁ。プリーストが使う神聖魔法っていうスキルの中位魔法まで、パラディンは使う事が出来るんだ。だから、大怪我とかは治せないかもしれないが、少しくらいの怪我なら治せるぞ」
「ひゃー、凄いんだねー」
「とはいえ、そもそもニナとリディアには、かすり傷一つ負わせるつもりは無いけどな。≪ディボーション≫」
パラディンの上位防御スキルで二人を守り、地下洞窟の探索を開始する事にした。
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