第325話 帰還スキルの効果

 モニカが授かった帰還スキルと、レヴィアから貰ったスキルについて教えてもらう為、シェイリーの所へやって来た。

 ちなみにアーシアたち天使族は戻らないといけない時間らしく、泣きながら帰って行き、ラヴィニアもソフィとシーサーによって、元兎耳族の村へ。

 そして、


「ふふ、帰還スキルか。アレックスではなくモニカが授かったというのは口惜しいが、かなり有用なスキルだな」


 予想通りシェイリーを満足させた後、こうしてスキルの話を教えてくれた。

 これが分かっていたからか、モニカとレヴィアに加えて、カスミやサクラにミオとヴァレーリエもついて来ていて、今は満足そうにニコニコしながらゴロゴロしているが。


「あぁ。試しに使用してもらったが、別の場所へ瞬時に移動する事が出来たんだ。……ただ、変な場所へ移動したが」

「そのスキルは、前回スキルを使用した場所へ戻るのだ。おそらく、初めて使用した時は、授かった場所へ移動したのではないか?」

「ご主人様。シェイリー殿の言う通りかと。初めて使った時に移動した場所が、川の近くでしたし、その次に移動したのは海の近くでしたから」


 なるほど。

 思い返してみれば、シェイリーやモニカの言う通りの場所へ移動しているな。

 上手く使えば、南の家と元兎耳族の村とを一瞬で行き来出来るのか。

 可能であれば、こことシーナ国との行き来が自由に出来ると助かるのだが……まずモニカをシーナ国へ連れて行かないとな。

 やはり元兎耳族の村から南下していく事を優先しようか。


「シェイリー殿。出来れば、このスキルで一緒に移動出来る人や物についても教えていただきたいのですが」

「細かい所までは我にも分からんな。我はある程度、こういうスキルだ……という所までは分かるが、詳細は使っていく内に自身で把握してもらいたいな」

「そうですか。承知しました」

「ただ、その帰還スキルについて一つ言える事は、一人用というか、自分自身だけが有効なように思えるのだが」

「ですが、ご主人様の分身と一緒に移動した事もあるのですよ……あ、それはご主人様と愛し合っている最中でしたし、交わって居る間は一つになっているから、一人とカウントされるのでは?」

「ふむ。実際にやって確認してみれば良いのではないのか? というわけで、アレックス。再び続きをするのだ!」


 シェイリーがそう言った途端、俺に抱きついて甘えていたレヴィアがすぐに触ってきて、雑談していたカスミたちも目の色が変わる。

 いや、これはスキルの確認で……結局分身させられ、俺から離れないレヴィアに分身の所へ行ってもらい、モニカへ挿れると、


「≪帰還≫」


 一瞬で景色が変わって、海の近くに居た。

 ミオもモニカと交わっている者を移動させられるのでは? と言っていたが、その通りだったな。


「ご主人様。では、戻ろうと思いますので、魔力を分けていただけますでしょうか」

「そうだな……だが、ここで帰還スキルを使うと、次に使った時にまたここへ来てしまうから、せめてリザードマンの村付近まで移動してから使おう」

「畏まりました。では参りましょう」

「……って、どうして移動すると言っているのに、抱きついてくるんだ?」

「先程、レヴィア殿を抱きかかえたまま歩いておられたと聞きました。私も是非それをしていただきたくて」


 レヴィアにしていた……って、あぁ川でサクラが叫びだしたけど、レヴィアが俺を離してくれなかった時の事か。

 あれはレヴィアが小柄で、かつ数歩で行ける距離だったから、挿れたまま歩いたのだが……ここからリザードマンの村までどれだけ距離があると思っているんだ?

 だがモニカが俺から離れようとせず、アレを挿れたまま、腕と脚でがっしりしがみ付いてくる。

 どうやって引きはがそうかと考えていると、


「ご主人様も私も全裸ですが、してくれなければ私一人で帰還スキルを使って帰ります。すると、ご主人様は全裸でリザードマンの村へ行かなければなりませんよ?」


 そう言って、モニカがニコニコ笑みを浮かべてくる。

 確かに服がないので、リザードマンの村の近くまで行ったらモニカに帰還スキルを使ってもらい、戻ってもらうつもりだったが、まさかこんな事を言ってくるとは。


「……わかった。だが、数歩でレヴィアは大変な事になっていたぞ? ……知らないからな?」

「望む所です。さぁご主人様! よろしくお願いしま……あぁぁぁっ!? ちょ、待って! 走るなんて聞いてない……奥っ! 身体の奥がおかしくなりゅぅぅぅっ!」


 モニカを抱きかかえたまま、全力疾走でリザードマンの村の近くまで移動した。

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