第342話 捜索願い

「ごちそうさまでした」


 ケイトとジュリが加わってくれたからか、美味しい昼食を……少なくとも、食べた瞬間に意識を失う事なく食事を終え、午後の活動へ。

 レナはポーション作りで、ユーリも聖水を得る為に残ってもらう事に。

 ジュリは、助けた少女たちの手続きなどで自警団へ。

 なので、俺はレヴィアとマミに、ツキを連れて再び闇ギルドの情報収集に。


「アレックス。ジュリが居ないから言うけど、私としては、闇ギルドについて調べるなら、自警団へ行くと良いと思うポン。全員が全員ではないけど、この国の自警団は結構腐っているポン」

「えーっと、とりあえずジュリの前では言わないようにな」

「勿論分かっているポン」


 マミから辛辣な言葉が出たが、実際ウララドの街の副団長の一人が、闇ギルドの長だったからな。

 そう言われても仕方が無いだろう。

 一先ず、これといって行き先が無い為、マミの提案通り自警団へ行ってみる事に。

 当然ながら、先に出たジュリがいるので、俺に気付いて話しかけてきた。


「あら? アレックスさんも自警団に来られたんですか?」

「あぁ、ちょっと聞き込みをしようかと思ってな」

「そうですか。それなら私も手伝いますが……それより、あの六人の少女の内、三人は捜索願いが出て居たらしいんですよ」

「何っ!? それは親御さんの許へ帰してあげよう」


 というか、帰れるのなら六人全員を帰してあげたいんだけどな。

 もちろんそれは、リディアやニナたちも同じだが。


「じゃあ、とりあえずその三人の呪いを優先的に解こう。早く帰してあげたいし、魔族領へ聖水を取りに戻っても良いかもな」

「待ってください。捜索願いが出ている三人の内、一人があのジスレーヌっていう女の子なんです」

「何か問題があるのか?」

「はい。捜索願いを出して居るのが、人間の男性なので」


 なるほど。ジスレーヌはドワーフだと言っていた。

 その男がどういうつもりで捜索願を出したのかは分からないが、何も聞かないままにジスレーヌを引き渡す訳にはいかないな。


「残りの二人も裏は取らないといけないが、先ずは現時点で既に怪しいジスレーヌの捜索願いを出した者にあたるか」

「わかりました。エリラドの自警団の方に、事情を説明してきます」


 そう言って、ジュリが奥へ話をしに行ったのだが、少しして申し訳なさそうに戻って来た。

 ジュリのすぐ後ろには、例の店に来てもらった自警団の男性が二人一緒に居て、俺の所へやってくる。


「アレックスさん。成人までお願いします……とは言いましたが、捜索願が出ている者は別だとお話ししたはずですが」

「分かっている。だが、その捜索願いが怪しくてな」

「捜索願いが怪しい? ……いえ、これは正規に我が自警団で受け付けた物です」

「そうではなくて……このジスレーヌという少女の捜索願いを出している者が居るだろう? ジュリから聞いているかもしれないが、ジスレーヌはドワーフなんだ。おかしくないか?」

「ですが、だからと言って捜索願いを無視する事は出来ません」

「あぁ。だから、捜索願を出している者に会い、話を聞いてみようと思ってな」

「そういう事でしたら……わかりました。ですが、我々自警団も同行します。とはいえ、全員で行くと威圧感を与えてしまいますので、二手に分けていただきたいのですが」


 全部で三人居るし、一人ずつ行くと時間が掛かり過ぎるか。

 俺としては一人ずつ確認したかったが……仕方ない。

 ジスレーヌに関しては、怪し過ぎるので俺が行く事にして、もう一方をジュリに任せる事に。


「レヴィアたんは、絶対アレックスと一緒に行くもん!」

「私も父上と一緒に行きます!」

「……むぅ。仕方ないポン。大人な私が折れるポン」


 マミもジュリ側へ行き、俺と話していた自警団の男性もジュリ側へ。

 そして、


「俺はズーシュン。エリラドの自警団の副団長だ。時間も勿体ない。早速行こう」


 今まであまり喋っていなかった、分厚い筋肉の塊のような男が俺たちと行動を共にする事となった。

 ……自警団の副団長でパワータイプって、ウララドに居た闇ギルドの長と同じなんだが。

 まさか、ズーシュンも闇ギルドの長だなんて事は無い……よな?

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