第645話 故郷へ帰ってきたノーラ

 結局、ウラヤンカダの村でノーマと共に朝を迎える事になってしまった翌朝。


「アレックスさん、おはようございます。一晩中……しかもこの人数を相手にし続けられる体力に、そもそものアレの凄さ。結婚……私とも結婚してください」

「待つのだ。アレックスとの結婚は私も〜〜〜〜っ!」


 目を覚ましたノーマと、一晩中続けて汗だくのネーヴが会話をしていると、


「アレックス様。メイリン様の命により、ノーラ殿をお連れしました」


 突然扉が開き、サクラとノーラが現れた。


「お兄ちゃーん! メイリンさんから、至急の要件で、お兄ちゃんが呼んでるって……えっ!? お姉ちゃんっ!? お姉ちゃーんっ!」

「ノーラっ! 大きく……大きくなったわね」

「うんっ! あのね、あのね、お兄ちゃんに助けてもらって……」


 ノーラがノーマに気付き、久々の再会で互いに抱きしめ合う。

 これで、ノーマが全裸じゃなくて、アレが垂れていなければ良かったんだが……まぁ些細な事か。

 まぁそんな事を考えながら、ウラヤンカダの女性たちの相手が続いている俺が言える事ではないが。

 それから、ウラヤンカダの村で朝食をいただきながら、ノーラに事情を説明する。


「えっと、あの村にある大きな木が霊樹っていう木で、この村と行き来が出来るの?」

「あぁ、そういう事だ。ただ、俺の魔力と繋がっているらしくて、移動するには俺がいないといけないようだが……とりあえず、ノーラは故郷へ帰って両親に会えるんだ。ノーラは、帰りたい……よな?」

「うんっ! いつ帰れるの? ……今すぐ? じゃあ、帰る! お父さんとお母さんに会いたいもん!」


 まぁそうだよな。

 ノーラは奴隷にされてしまい、俺のスキルで魔族領へ来たんだ。

 帰れるなら帰りたいよな。

 ノーラが居なくなるのは寂しいが、元々皆を故郷へ帰す事を目標にしていたんだ。

 ここはちゃんとノーラを帰してあげよう。


「ドロシー、すまない。サムエルの村にある霊樹へ送ってくれないだろうか」

「わかっ……た! 今すぐ? も、もう少しだから、待って欲し……っ!」

「いや、こっちとしても少し待ってほしくて……皆、分身を解除するけど、良いな?」


 ウラヤンカダの村の女性たちや、いつの間にか分身の上に乗っていたサクラが口を尖らせ……とりあえず、ノーマが風呂に入って着替えを済ませるまでという事で落ち着いた。

 それから、改めてドロシーに依頼し、ノーラとノーマを抱きかかえてサムエルの村へ。


「わぁーっ! 村だぁぁぁっ!」

「良かったな、ノーラ」

「うんっ! お兄ちゃん。お父さんとお母さんに会って来て良い?」

「勿論だ。早く顔を見せてあげようか」


 ノーラとノーマが走り出し、家に向かって行く。

 その一方で、モニカが不思議そうな表情を向けてくる。


「ご主人様。どうしてノーラ殿がここに? というか、ご主人様もどうしてこんな場所から現れたのですか?」

「昨日、モニカがこの木の近くで俺の分身と色々しただろ? この木が霊樹だから、ドロシーと繋がったんだ」

「なるほど。という事は、ノーラ殿が故郷に帰れたのは、私が屋外プレイ好きだから。つまり屋外プレイが大正義。という訳で、ご主人様。これからも外でしましょう!」


 いや、これはむしろ、怪我の巧妙だと思うんだが。


「ところで他の者は? フェリーチェは……そこに居るのか。二人とも屋外でしなくても良いと思うのだが」

「皆はテントの中ですね。レヴィア殿とプルム殿を除いて気を失っていますが」


 モニカは元気そうだが、フェリーチェは全裸のまま木の側で眠っている。

 風邪をひきそう……というか、俺の分身のアレが垂れているな。

 こうして、俺がドロシーの所へ移動する事になったのか。

 一先ず、モニカたちにはテントで待っていてもらう事にして移動すると、ユーリが俺の背中に抱きついてきたので、一緒にノーラの家へ。


「でね、こんな事があって……」


 家の中ではノーラが両親に甘えながら、積もる話をしていたので、水を差さないように外に出ようとすると、ノーラが俺に気付いて走り寄って来た。


「あっ! お父さん、お母さん。このお兄ちゃんがボクを助けてくれたのと……ボク、お兄ちゃんと結婚するのー!」

「あと、私もアレックスさんと結婚します」

「……よし。善は急げだ。結婚式を始めよう! ノーラが帰って来たお祝いと、結婚パーティだ!」


 ノーマも俺の所へやって来て、二人の父親が問答無用で結婚式を行うと宣言した。

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