挿話35 アレックス無しでは生きられない身体になってしまったドールマスターのメイリン

 わ、妾の子たちが、子を生んだ……だと!?

 三組目の子供たち、アレスリーとリディが、四歳くらいの童女と手を繋ぎ、嬉しそうに微笑んでいる。

 くっ……妾の人形スキルで子が出来たのは嬉しかったが、ここに居るのはモニカ殿やリディア殿にニナ殿の姿だ。


 ……妾の子が欲しい。

 だが、ドールマスターのスキルでは、自身の人形は作れないので、妾がお腹を痛めて産む必要がある。

 それはつまり、男女の営みをする必要があるという事。

 ここに居る男性はアレックス殿のみ。

 嫌いではないが、恋愛感情は無いし、その上エリー殿という妻が既に居る。

 どうしたものかと思いつつも、青龍様の所へ同行する事にし……青龍様から促された事もあって、素直に子供が欲しいと伝えてみた。


「メイリン。流石に恋人でも無いのに子供を作るというのは、マズいと思うのだが」


 聞けば、エリー殿だけでなく、モニカ殿やフィーネ殿もアレックス殿の妻なのだとか。

 ならば、妾も妻という事にしてもらおう。

 妾は子種だけもらえれば、それで良いのだ。

 一度だけ我慢して抱かれれば良い。

 アレックス殿が出す子種の量を考えれば、確実に一度で妊娠するだろう。

 子種を貰うため、妻だという事を示す為に、何の感情も持たずにアレックス殿と唇を重ね……胸に雷が落ちたかと思った。


「な、何だ!? ただ互いの唇を重ねただけなのにっ!」

「ふふっ、メイリンさんは初めてだったのね。この先は……もっと凄いわよ?」


 エリー殿が不敵な笑みを浮かべたかと思うと、いつの間にかモニカ殿により妾の服が脱がされている。


「ま、待ってくれ。妾はモニカ殿たちと比べると小さいから……」

「何を言っておる。胸は大きさではない! 柔らかさだっ!」


 慌てて両手で胸を隠すが、全く膨らみのない平らな身体で胸を張る青龍殿にその手をどかされる。

 そこへアレックス殿の手が伸びて来て、


「んっ……」


 は、初めて他人に触られた。

 だ、だがこれは、子種を貰う為だ。

 ちょ、ちょっとだけ気持ち良いが、妾はアレックス殿に特別な感情は抱いておらぬ。

 そ、そうだ。妾は黒髪の一族の最後の王女。

 これは一族を増やす為、子種を貰う為の演技に過ぎ……


「んぁぁぁっ! そ、そんな所をぉぉぉっ!」


 な、何だ今のは!?

 一瞬身体が浮いた気がするのだが。

 そんな事を思っている内に、再び優しく、時に激しくキスをされ、アレックス殿に色んな所を触られていく。


 き、気持ち良い。

 だ、だが、これは子種を……子種を貰う為だけなのだっ!


「ふふっ、アレックス。準備万端ね」


 気付いた時には、いつも遠目に見ていたアレックス殿のアレが目の前にあり……あ。は、挿ってく……る。

 あ、あれ? 初めては痛いと聞いていたのだが……いや、痛いのは痛いが、それ以上に気持ち良い。

 身体の奥を掻き回され……な、何だこれはっ!?

 身体が浮くっ!?

 何度も宙に浮かんだかと思ったのに、気付けばアレックス殿に優しく抱きしめられているだけだった。

 何だ!? 妾は子種が欲しいだけなのに。アレックス殿に恋愛感情など抱いていないはずだったのに。


「――――――っ!!!」


 い、今のは何だ!?

 頭が真っ白に……もう一度、今のをもう一度して欲しいっ!


「アレックス殿。もっと……」


 アレックス殿にもっと抱きしめられたい。

 もっと掻き回されたい。

 もっと愛されたいっ!


「エリー殿もメイリン殿も乱れるタイプだったのだな。自らそんなに激しく……も、もしかして私も、このように乱れてしまうのか!?」

「わ、私は乱れてないわよっ!」

「いや、エリー殿も今のメイリン殿のように、だいしゅきホールドをしながら、自ら腰を打ち付けていたのだが」

「うぐっ……正直言って、夢中になっちゃっていたから」

「しかし、早く私の番にならないだろうか……そうだ。いつものようにお手伝いをすれば良いのだ」

「……モニカさん。いくら大好きなアレックスのとはいえ、よくそんな場所を……いえ、何でもないわ」


 遠くでモニカ殿とエリー殿の声が聞こえたような気もしたが、そんな事どうでも良い。

 今はもう、アレックス殿の事しか考えられなくなっている。

 最初はただ子種が欲しいだけだったけど、もう妾はアレックス殿無しには生きていけない身体に……


「~~~~っ!」


 突然、身体の奥が熱くなり、アレックス殿が強く妾を抱きしめ、動かなくなった。

 妾は頭の中が真っ白で、ただただアレックス殿に抱きしめられている事が嬉しいという感情が妾を満たす。

 これが幸せというものか。

 しかし、妾の子たちは、こんなに凄い事をしていたのだな。

 確かにこれを止めるのは可哀想だ。

 作業がある場合はダメだが、夜は妾の子たちの好きにさせてあげる事にしよう。


 あ、アレックス殿! 妾は、もう一度したいのだが……次はモニカ殿? し、仕方が無い。

 次の順番まで他の者の行為を見学し、アレックス殿に喜んで貰う為の研究をしておこう。

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