第425話 不安になるモニカ

 シェイリーたちがぐったりしているので、分身と複製を解除する。

 教会では文句が出て居るかもしれないが、昨日から散々しているし構わないだろう。

 泡魔法で身体を綺麗にして服を着ていると、シェイリーが目を覚ました。


「ふ……ふふふ。流石はアレックスだ。というか、この和合スキル……六合に会ったのだな?」

「あぁ。六合教っていう大きな教会が建てられていたよ」

「なるほど。我らは人々からの信仰が力になるからな。それでは、六合はさぞかし元気だったのだろう」

「そうだな。元気過ぎて、何度も搾り……げふんげふん。そ、それより他のスキルも教えてくれないか?」


 そういえば、シェイリーも出会ってすぐの頃に、信仰が力になるとか言っていたな。

 いつの間にか、俺のアレが力の源だと言わんばかりに飲みまくっているが。

 ……そういえば、米で作った酒が欲しいと言っていたし、シーナ国の闇ギルドを潰したら、探してあげようか。


「沢山スキルが増えておるが……そうだな。面白い所で言えば、その教会で働く者か? シスターから杖修練というスキルを貰っているな」

「杖修練? 杖を使った攻撃が上がるとかか?」

「杖で攻撃はせぬだろう。魔法の杖の扱いが上手くなっておるのじゃが、杖……つまり長い棒の扱いが更に上手くなったという事だ」

「って、どこを触っているんだよ」

「アレックスの杖を説明してやっているのだが? あと、これは同系統でアコライトか? 強撃――ハードヒットとも言うが、メイスや棍棒で強力な一撃が放てるようだ」


 メイスも棍棒も俺は使わないな。

 剣や盾のスキルなら嬉しかったが……だが手元に武器が無くて、近くに落ちていた棒で戦うなんて事もあるかもしれないから、良しとしよう。


「アレックスの棍棒での強撃は凄かったぞ」

「俺は棍棒なんて……いや、さっきそれは杖だって言っていただろ」

「長くて太くて突くから、杖であり、棍棒であり、槍でもある。弱い魔物ならば、その棒で倒せるのではないか?」


 シェイリーは何を言っているんだよ。

 割と本気で意味不明なんだが。

 それから、聖属性攻撃向上というスキルをもらっているらしい。

 おそらく聖女であるクララからだろうが、パラディンは聖属性攻撃しか使えないので素直に嬉しいな。


「性属性攻撃向上……確かに凄かったです。それが新たなご主人様のスキルなのですね?」


 モニカが目を覚ましたが……何となくスキルに対するニュアンスがおかしい気がするのは、俺だけだろうか。


「シェイリー殿。ご主人様は、他にどんなスキルを?」

「うーん……後は、礼儀作法スキルだな」

「れ、礼儀正しく愛し合うスキルとかだろうか!?」

「いや、普通に一挙手一投足の品が上がるだけであろう。まぁアレックスはこれから、王としての振る舞う事もあるであろう。その時に、きっと役立つのではないか?」

「……あっ! 礼儀正しく愛しあったら、もっと良くなるとか!? ……そんな効果はない?」


 モニカはスキルに何を求めているのやら。

 まぁでも、礼儀作法スキルというのは助かるかもしれないな。

 素の俺には、礼儀作法なんて殆どないからな。


「あとは、ローグの――双剣士のスキルと思われる二刀流くらいか。面白そうなのは」

「なるほど、二刀流か。だが、俺は防御のエキスパートであるパラディンだからな。盾を使う方が多いだろうし、武器の二刀流をする機会は少ないかもしれないな」

「ご主人様が二刀流……いえ、何でもありません。えぇ、ちょっと心配……げふんげふん。いえ、こっちの話です。……皆に周知して、女性全員でご主人様が道を踏み外さないようにしなければ」


 モニカは一体何を言っているのだろう。

 俺は皆を護る聖騎士、パラディンだと言ったばかりなのだが。

 道を踏み外したりするはずが無いというのに。


「んー……あ、アレックスはん。なんか、物凄かったで……ウチとしては、嬉しい限りやけど。さてと……名残惜しいけど、物凄く愛してもろたし、アレをバケツ一杯分貰たし、研究してくるわー!」


 レイには早く魅了効果を消せるように頑張ってもらいたいところだな。

 さて、スキルも判明したし、戻ろうかと思ったところで、


『エクストラスキル≪奴隷解放≫のクールタイムが終了しました。再使用可能です』


 唐突に、例の声が聞こえて来た。

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