第371話 やらかしてしまったアレックス
いつの間にか参加している女性陣が増えていったものの、何とか収まった。
そんな事を考えながら、俺の上に座るメイリンとまったりしていたら、突然ビクンと身体を震わせる。
「旦那様。ノーラさんが家に向かっていますが、よろしいですか?」
「よろしくないっ! 全員、服を着て後片付けを頼むっ!」
メイリンの言葉で分身を消し、大慌てで色んな掃除を始める。
元々、レイが大半のアレを薬の材料として集めていたが、それでも量が量なので、非常にマズい。
メイリンの指示で人形たちがノーラを別の所へ寄り道させてくれているが……もうすぐ夕食の時間なので、あまり引き伸ばせないっ!
「アレックスー! レヴィアたんはもっとしたいよー!」
「後で……後でするから、今は片付けを優先してくれ」
「んー、約束だからねー!?」
何とかレヴィアが服を着てくれたが、それでも部屋の惨状はどうにもならない。
いつもは風呂や、小さな寝室でしていたのに、どうして今日はリビングで……モニカの帰還スキルで着いた場所が、ここだったからか。
「アレックス様ー。フィーネが何とかしましょうか?」
「いや、フィーネのスキルが有効なのはこの部屋だけだろ? 外にはノーラだけでなく、ティナやムギにイネスも居るからな」
フィーネのスキルで眠らせるのは確かに有効だが、テレーゼとソフィだけが眠らず、先程の続きになるのが見えているからな。
ちなみにエリーとユーディットは、この惨状を呆れた様子で見ており、もう一人の妊婦であるボルシチは……参加してたっ!
いや、ダメだから。安静にしてくれよ。
あと呆れた様子と言えば、エリーの隣でステラが冷たい目を……あれ? 何故かジト目ではないな。
床に飛び散っているアレを興味深そうに……って、もう時間が無い!
「そうだ! 今日は皆で西の宿に泊まろう。今までティナしか使っていないし、俺たち自身が泊まって、ちゃんと快適かどうかを確認しよう」
苦しい。非常に苦しいが、とりあえず皆が着替えを終えているし、そのまま外へ。
少しすると、俺に気付いたノーラが嬉しそうに走り寄って来て、抱きついてくる。
「お兄ちゃーん! やっと会えたー! もーっ! ボクもちゃんと抱きしめて欲しいなー!」
「すまないな。今、いろいろと忙しくてな」
「お兄ちゃんは、王様だもんね。忙しいのは分かるけど……でも、今日は一緒にお風呂へ入ろうねー!」
抱っこする形になっているノーラと、背中に飛びついて来たレヴィアをそのままに、皆で西の宿へ向かう。
とはいえ、エリーたちが居るので、移動はゆっくりだが。
メイリンに、人形経由でティナやイネスたちに、西の宿へ移動するように伝えてもらい……到着した。
「あ、あの……今日は皆さんでこちらへお泊りになるんですね。な、何かあったのでしょうか?」
「い、いや。普段ティナに使ってもらっている宿が、ちゃんと快適かどうか確認しようと思ってさ」
「え、えっと、物凄く快適に過ごさせてもらっているんですけど、夜は一人で寂しかったので、嬉しいですっ!」
なるほど。それなら、ティナも西の宿ではなく、家で過ごしてもらった方が良いのだろうか。
……いや、いろいろとマズいか。
レイがいろんな薬を作ったり、夜はフィーネが皆を眠らせたり、風呂が大変な事になったり……うん。ティナが危険だ。
逆に、さっき一緒に移動してきた妊婦三人……エリー、ユーディット、ボルシチに、ステラを加えた四人にこっちで過ごしてもらうのはどうだろうか。
さっきボルシチが混ざっていたし、こちらに居てくれた方が安心な気がしてきた。
「とりあえず、急いで夕食の支度をするから、その……皆は先にお風呂へ行って来たら?」
「あ、そうだよねー。実はボクもちょっと思ってたの。何かは分からないけど、皆から変な匂いがするんだよねー。……でも、この匂いは嫌いじゃないけど」
「そ、それはウチが薬作りに失敗して、家に匂いが充満してもうてん。実は、皆で急遽こっちへ来たのも、ウチのせーやねん。あはは……あははは」
ノーラに匂いを指摘されたが、言われてみれば急いで服だけ着て、風呂にも入らずそのまま来たんだよな。
レイが薬のせいだと言ってくれたおかげで、ノーラも納得してくれたが……レイには感謝だな。
とりあえず、後から来たイネスと、エリーとユーディットにステラの先程のアレに不参加組と、メイリン、ボルシチ、フィーネ、テレーゼ、ソフィの先程は控え目だった組が食事などの準備を。
残るモニカ、サクラ、レイ、ネーヴ、ヴァレーリエ、レヴィアのいつも通り激しかった組が、先ず俺と風呂へ行く事になったのだが、
「わーい! お兄ちゃんとお風呂だー!」
「あ、アレックスさんとお風呂……こほん。久しぶりな気がします」
ノーラとティナが一緒に入ると言っているから、絶対に変な事はするなよ!?
絶対だからな!?
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