第238話 エクストラスキル≪継承≫の効果

「ふむ。継承スキルか。中々、興味深いスキルではあるな」

「興味深いスキル?」

「うむ。ただ、そのスキルの効果をすぐに確認出来ぬがな」


 ビビアナが帰国した後、新たに得たものの、効果が分かっていなかった継承スキルについて、教えてもらいにシェイリーの所へ来た。

 しかし、すぐに確認出来ないスキルというのはどういう事だろうか。


「すぐに確認出来ないというのは、発動に条件があったりするのか? 奴隷解放スキルのように」

「その通りだ。継承スキルは神のスキル。簡単に使えるものではない……と思ったが、アレックスは別か。一先ず、そのスキルを発動する為の行為をしてみるか?」

「ん? あぁ。得たスキルの効果は知っておきたいな」


 何かシェイリーの言い回しが変だなと思っていると、シェイリーがニヤニヤしながら服を脱ぎ始めた。


「シェイリー? 何をする気なんだ? スキルの事を教えてくれるのでは……」

「だから、そのスキルを発動させようとしておるのだ。継承スキルは、子供が生まれた際に自身のスキルをランダムで一つ付与するスキルだ。つまり、子供を作る事が発動条件だ」

「いや、だからって……って、おい。ヴァレーリエやリディアまで何を……昨日、あれだけしたじゃないか」

「ほほぉ。我は昨日呼ばれていないぞ? これは、我にもたっぷりしてもらわないとな」


 一緒に来ていたメンバーも、シェイリーに便乗して……どうして、毎回シェイリーの所へ来るとこうなってしまうのだろうか。

 ちなみに、継承スキルは普通のスキルだけが対象で、流石にエクストラスキルは継承されないそうだ。

 あと、あくまで生まれた時にスキルが付与されるという事なので、既にお腹の中に居るエリーやユーディットとの子にも適用されるらしい。


……


「うむ、満足したのだ。ふっふっふ……アレックスの子を身籠っておれば良いのだがな」

「ウチも妊娠しないかなー。アレックスに、もっと沢山の種付けスキルを習得してもらいたいんよ」

「そうだな。兎耳族以外にも妊娠し易い種族は居るから、神のスキルで種付けスキルを貰ってきて欲しいものだ。例えば、猫耳族やネズミ耳族……」

「あ! 確か、猫耳族の女の子が居たはずなんよ! ここには来てないけど……アレックス! 猫耳族の女の子とキスしてきて欲しいんよ」


 いや、しないって!

 しかも、ムギはどう見ても成人じゃないから、未だジョブも授かっていないだろうし、そもそもそういう事に興味を持っていないだろ。

 ただ、ミオやモニカが頷いているのだが……だから、しないぞっ!

 一先ず、皆で服を整えていると、


「あ……旦那様。南の魔法陣の元へ、昨日ご説明いただいたマミ殿とジュリ殿が到着されたそうです」

「わかった。すぐに行くよ」

「わ、妾もユーディット殿のように、旦那様との子が欲しいです。早く、帰ってきてくださいね」

「あぁ。というか、情報収集に向かうだけだから、すぐに帰って来るよ」


 南の建物を警備してくれている人形たちから、マミたちの到着の連絡があったとメイリンが教えてくれた。

 抱きついてくるメイリンの頭を撫で、魔法陣の中へ入ろうとすると、シェイリーが待ったをかける。


「一つ言い忘れた事がある。継承スキルの他に、新たに防御スキルが増えておるな」

「防御スキル? ……ジュリかな? ロードナイトというジョブだと言っていたから」

「また知らぬ女が増えておるな。まぁアレックスの魅力故だが……それはさておき、戦闘中において、守るべき者が多ければ多い程、防御力が増すスキルのようだ。可能であれば、大勢連れて行った方が良いであろう」

「なるほど。だが、今から行く先は戦いに行く訳ではないからな。いろいろ制約があって、俺と人形だけでしか行けないんだ」

「ふむ……どこへ行くかは知らぬが、無理をせぬようにな。もう、アレックスの命はアレックスのものだけでは無いのだ」

「あぁ。俺には沢山守るべきものがあるからな。大丈夫だ」


 何故かシェイリーが不安そうな表情を浮かべているが、心配する必要は無いだろう。

 一先ず魔法陣に入り、その先の建物で待機してくれている、ツバキの人形と合流する事にした。

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