第366話 前村長の趣味
村長が亡くなってしまったので、全裸にされて縛られている冒険者のリーダーから話を聞く事にしたのだが、
「とりあえず、この村について知っている事を話してもらおうか」
「あ? どうして俺がそんな事を話さないといけないんだ? そもそもお前らは誰なんだよ!」
まぁ素直に話してはくれないか。
「あらぁ? お兄さんにそんな口を聞くのは、この生意気な口かしらぁ。いいわよ? 気持ち良過ぎて気を失ってしまった、あの二人をここへ連れて来て、目の前でもう一度お兄さんにご奉仕させても」
「次はサンゴちゃんも混ざりたいなー! え……ちょっと待って。どうして、アンタが大きくしているの? 何か勘違いしていない? アンタが混ざれるとでも思ったの? バカなの?」
「えっ!? これで大きいんですか!? 冗談……ですよね? あ、でも、さっきは何も無かったけど、僅かに何かある? ……もしかして、縛られて喜ぶ変態さんなんですか!?」
カスミとサンゴとナズナが、それぞれ違う方向性で精神攻撃を掛けているが……今にも泣き出しそうになっているんだが。
早く喋った方が、自分の為だと思うぞ?
結局、男が頑張ってしまったが為に、三人の波状攻撃が暫く続き、
「うぐっ。な、何を……話せば、解放してもらえますか」
ついに泣いてしまったよ。
しかも、カスミに変なスイッチが入っていて、物凄くSっ気たっぷりになっているので、早く終わらせてやろう。
「最初に聞いたが、お前がこの村について知っている事を全て話してもらおう」
「ここは、六合教が作った村だと聞いている。六合教に借金のある女性冒険者で、あの村長の趣味――胸が大きい女性ばかりが集められた村だと。村長となり、一定の金を稼いで本殿へ上納すれば、幹部になれると聞いていたんだ」
「どうやって金を稼ぐんだ?」
「普通のお茶と毒の葉を栽培していて、特に毒の葉が闇ギルドなどに高く売れると聞いている。村長を手伝い、幹部になって本殿に戻った暁には、俺が新たな村長になれると聞いていた」
「お前も六合教とやらの幹部になりたいのか?」
「いや。俺は六合教なんて知らない。ただ村長になれば、この村の金も女も俺の物になると聞かされて……」
なるほど。金の為に、闇ギルドへ毒の葉を売ろうとしていたという事か。
許せないな。
「……他に知っている事は? 闇ギルドに毒の葉を売るのは、どういうルートなんだ?」
「それはまだ聞いていないから知らない。というか、村長は何処へ行ったんだ? 俺に聞くより、アイツに聞いた方が良いと思うんだが」
「村長は……いや、とりあえず分かった。お前の処遇は、自警団に任せる事にする。それまで、身柄を拘束させてもらう。カスミ……この村に、適した場所は無いか?」
カスミなら知っているかと思ったのだが、残念ながらそういう場所が無いらしい。
いや、無ければ作れば良いか。
「立て。ついて来てもらおうか」
男が縛られている紐を掴むと、閉鎖スキルを解除して部屋の外へ引っ張っていく。
廊下を歩いていると、眠らされていないメイドが居て、
「えっ!? こ、これはどういう状況なんですか!?」
良かった。いきなり抱きついて来ない。
どうやらこの女性は、例のポーションを飲んでいないらしい。
「後で事情を説明するから、この屋敷で働く者を集めておいてくれないか?」
「あ、あの……村長は? い、いえ、やっぱり何でも無いです! み、みんなに声を掛けてきますっ!」
メイドさんが何処かへ走り去った後、村長の屋敷を出て敷地の隅へ。
そこで石の壁を生み出し、小さな箱を作る。
「暫く、ここで過ごしてもらおう。簡単な食事と水は提供しよう」
「俺は……どうなるんだ?」
「自警団次第だ」
食事を渡すのと、空気穴を兼ねた小さな穴だけを空け、残りは全て石の壁で塞いだ箱に男を閉じ込めると、一旦屋敷へ戻る。
入ってすぐに、先程の女性が大きな部屋に皆を集めたというので、俺は部屋に入らず、カスミから説明してもらう事にした。
俺が入ってしまうと、例のポーションを飲んだ者が居たら、話どころではなくなってしまうからな。
カスミには俺の考えを伝えてあるので、扉の外から様子を伺っていると、二十人くらいのメイドさんやコックさんの格好をした女性の前で、説明が始まる。
「という訳でー、村長さんが亡くなってしまったのよー。ここから他の街へ逃げても良いし、このまま働いても良いわよー! ただ、残って働くのであれば、お給料とかの話をこの後させてねー!」
「えっ!? お給料がもらえるんですかっ!? 私たち、借金返済の為に働いていたんですけど」
「そんなの気にしなくて大丈夫よっ! 新たなこの村の村長であるアレックス様が、そんなのどうにかしてくれるわぁー」
え? カスミ!? いや、流石にここの女性たちを見捨てるつもりはないが、無責任な事は言うなよ?
「つまり、ここに残って働けば、借金帳消しの上に、お金を貯められるっていう事ですかっ!?」
「まぁそういう事ねー。あと、これは希望者だけに限るし、強要は一切しないけどー、お兄さん――アレックス様のアレは凄いわよ! 人生が変わるレベルねっ!」
「……ごくり」
いや、カスミは何を言っているんだよっ!
事前にそんな話は一切していないだろーっ!
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