第280話 今後の方針会議
翌朝、皆で食事をとっている所で、昨日言いそびれてしまった、シーナ国の中央を目指す話を切り出してみた。
「という訳で、呪われた装飾品の件もあったし、本格的に闇ギルドを潰したいと思うんだ」
「んー、私はアレックスがそういう事を許せないって知っているから、仕方ないとも思うけど、出来れば傍に居て欲しいかな」
「せやけど、闇ギルドを潰すなんて、きっとアレックスはんにしか出来へんで? ウチかて、あまり遠くには行って欲しくないけど、これで困っている人たちを助けて、被害者を減らせるなら頑張って欲しい気もするねん。……まぁウチには出来へん事やし、エリーはんの気持ちも分かるけど」
なるほど。エリーもレイも、遠くへ行って欲しくないという考えは同じか。
「んーと、それってアレックスがやるべき事というより、シーナ国がやるべき事やと思うんよ……と、思わなくもないけど、ウチは一緒に連れて行ってくれるなら良いんよ。もしくは毎日帰って来てウチに子種をくれれば」
「ヴァレーリエは難しいだろうな。小さな樽に入れないのと、竜の姿で飛んだらまた問題になるからな」
ジュリ曰く、ウララドの街は夜も監視を行っているし、魔族領の魔物が入って来ないようにする為の壁は、かなり長く作られているらしいからな。
「マスター。私なら入れますよね?」
「ニナも入れると思うんだー!」
「それならば、きっと我も行けるのじゃ。向こうでも毎日抱いてくれるのであれば、我は構わんのじゃ」
確かにこの三人なら入れるだろうが、ソフィは街ごと消滅させそうだし、ニナは対闇ギルドとしては向いていないような気もする。
ミオは、マミとケンカしないならアリだな。……上位式神? を召喚しなければ。
「お兄さん。私は、お兄さんにお乳を絞ってもらわないと困っちゃうんだけどなー」
「アレックスが一時的にここを離れるのであれば、外敵からの守備は任せてもらいたい。だが寂しいので、手紙は毎日送って欲しいが」
「それなら私もー! 返事はまだ書けるか分からないけどね」
ボルシチは胸を寄せて上げながら喋らないで……えーっと、先端から何か出てないか!?
ネーヴとユーディットは手紙か。書くのは良いのだが、魔族領へ送る術が無い気がするんだが。
「あ、待てよ。シーナ国に転送装置があれば、魔族領に戻って来れるよな?」
「アレックス様。その通りですが、転送装置は信頼出来る場所でないと危険です。転送事故が起こると、何処へ飛ばされるか分かりませんし、装置側で行き先を記録している場合もあります。先日のブリジット殿のパターンが良い例で、最悪悪用される可能性もあるかと」
なるほど。サクラの言う通りら確かに俺が居ない時や、夜に大群で攻めて来られる可能性があるのは困るな。
皆で話し合った結果、闇ギルドを潰しに行く事は止めはしないが、基本的に日帰り……遅くとも一泊で帰ってくるようにという話になった。
まぁ日帰りとなると、東のリザードマンの所へ行くのもギリギリなんだけどな。
「そうだ。東のリザードマンの村の奥にあった、兎耳族の村だ! あの村を拠点にして、東回りで南を目指すというのはどうだ? それなら、皆で行けると思うんだが」
「んー、いきなり全員で……という訳にもいきませんし、そもそも本当にそちら経由で行けるかも分からないので、先ずは調査でしょうか。ツバキがリザードマンの村の担当をしておりますが、如何致しましょうか」
現在、リザードマンの村に交代で人形を送っていて、その管理をツバキがしてくれている。
だが、その更に奥となると、帰って来るのにも時間が掛かるし、何より先ずは兎耳族の村を修繕しなければならない。
……兎耳族に交代で行ってもらうか?
もちろん人形の補佐付きで。
どうしようかと考えていると、
「あ! マスター。東経由で行くのであれば、少し手立てがあります。ニナさんと、その人形さんたちに手伝っていただければ、今の課題の一つを解決出来るかもしれません」
「そうなのか? ちなみに、どういう策なんだ?」
「はい。それはですね……」
ソフィから、凄い話が出てきて、ニナやリディアに、それぞれの人形たちにも手伝ってもらい、東方面の開拓を行う事になった。
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