第272話 空間動画記録装置

「きゅ、九尾の狐が子供の姿になって、アレックス抱きつく……こ、これも幻術なのか!? しかし、先ほどのドラゴンの一撃の痛みは……」

「幻術ではないのじゃ。あとヴァレーリエの事は、良かったのじゃ。アレックスが止めに入ったおかげで、尻尾を止める事は出来なかったようだが、威力はかなり落ちておったのじゃ」


 混乱するブリジットにミオが話し掛けているが……おそらく半分も耳に入っていないだろう。

 俺だってミオが大人の姿になっていた事に驚いていて、話が頭に入って来ない。

 ブリジットに至ってはミオだけでなく、シェイリーやヴァレーリエの変身を初めて見る訳だからな。


「さて。それより、この者たちをどうするかだな。この地へ攻め込んで来た上に、我らの楽しみまで邪魔をしたからな」

「待ってくれ。ブリジットはビビアナを……妹を取り戻しに来たと言っていた。勘違いとはいえ、家族を取り戻したいという気持ちは分かるから、大目に見てやってくれないだろうか」

「それは、この者とアレックス次第だな。今すぐ続きをしてくれるなら考え……いや、それに加えて、後ろの者たちもか」


 シェイリーの言葉で、視線の先を見てみると……リディアやモニカが走って来た!

 しかも、さっきは居なかったソフィも混ざっている!

 だ、ダメだぞ!? あの、めちゃくちゃな威力の砲撃は絶対に使うなよ!?

 そう思ったところで、思わぬ邪魔が入る。


「話の途中で悪いが、少し待っていてくれ。≪ホーリー・クロス≫」


 話し込んでいる内に、シャドウ・ウルフが近付いていたので、サクっと倒し、ついでに石の壁で外から入って来ないようにすると、


「しゃ、シャドウ・ウルフを一撃で!? な、なるほど。実力は本物か。……分かった。熊耳族の掟に従い、私も其方の妻になろう。だが身体は許すが、心までは許さぬ!」


 ブリジットが頭を垂れた。


「いや、何か勘違いしているみたいだが、俺は近寄って来た魔物を倒しただけだ。それに、そもそも勝負なんてしていな……」

「さぁ、この身体はお前の物だ! 何でも好きにするが良い! 敗者はどのような仕打ちも甘んじて受ける!」

「話を聞いてくれぇぇぇっ!」


 ブリジットが、煮るなり焼くなり好きにしろと言わんばかりに、その場で大の字になって倒れ込む。

 動き易さ重視と思われる短いスカートから、太もも……というか下着まで見えてしまっているから、とりあえず起きてくれ。


「あ。これは、今すぐここで、先程の続きをする流れですね? ……≪大地の息吹≫」


 走ってきたリディアが、何を思ったのか、辺り一面を芝生に変えてしまったのだが……続きとかしないって!


「マスター。ビビアナ様を返せと言う方が来ていると伺ったのですが、この方ですか?」

「ん? あぁ、返すも何も……っていう話を何だがな。俺が強引にビビアナを襲ったと思われているらしくてさ」

「お任せください。今朝、ようやく調整の終わった、こちらのマジックアイテムを使って、ビビアナさんが自らの意思でマスターと結ばれた事を証明いたしましょう」


 そう言って、ソフィが何かのマジックアイテムを弄りだした後、


『こんな状態だが良いのか?』

『勿論ッス!』


 突然目の前の空間に、全裸の俺とビビアナが写し出された。


「えっ!? ソフィ!? こ、これは何だ!?」

「少し前にお話ししたのですが、空間動画記録装置で撮影した、ビビアナさんの初めての時の様子です」


 写し出された俺は、ゆっくりと動き、ビビアナは顔を赤らめながらも、凄く気持ち良さそうで、最後は幸せそうな顔で俺に抱きつく。


『旦那様、嬉しいッス。これで、やっと自分も旦那様の妻だと、自信を持って言えるッス……』


 ……って、何をブリジットに見せているんだよっ!

 いや、ブリジットだけじゃないな。

 気付いたら、熊耳族の女の子たちの大半が凝視しているじゃないか。


「ビビアナが物凄く気持ち良さそうに……しかも、私と容姿が同じだから、まるで私がされているみたいだった。それに……あの大きさは何なのだ!? ……あんな物が入るのか」

「さて、アレックスよ。皆の気分が昂って来たところで、先程の続きといこうか」

「シェイリー!? 何を言って……」


 あ、あれ? シェイリーだけじゃなく、周囲に居る女性たちの目の色が変わってないか?

 ブリジットや熊耳族の女の子たちは、ビビアナを取り返しに来たんだろ?

 どうして、モジモジしているんだっ!?


「くっ……私の後に来たビビアナともこんな事をしていたなんて。アレックス……私もだっ! 私にも同じ事をして欲しいっ!」

「ネーヴ!? って、脱ぐなーっ! ブリジットも、いやリディアまで……」

「ブリジット様! あんな凄い光景を見せられて我慢なんて出来ません! 我々も混ぜてくださいっ!」


 ネーヴにブリジット、熊耳族の女の子たちも混ざり……って、怒っていたはずのヴァレーリエたちも全員脱いでいて、大変な事になってしまった。

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