第53話 シェイリーから貰ったスキル
「さて、そろそろ次は我で良いであろう」
「えっ!? ちょっと、私はご主人様との愛の口づけが未だ……」
「お主が変態染みた事をするからであろう! せっかくアレックスのナニが大き……こほん。まぁ我の魅力で再びアレックスを本気にするまでよ」
モニカのおかげで通常状態に戻れたと思った所で、今度はシェイリーがよく分からない事を言いながらやってきた。
「アレックスよ。我は以前から、助けてもらった礼をしたかったのだ。唾液で我が力を分けられるようだし、我もアレックスの事を好いておる。さぁ、我が接吻をしてやろう」
「えーっと……」
「何をしておる。さぁ、早く我を抱き上げるのだ。届かぬではないか! ……それとも、我の目の前にある、この凶悪なモノに接吻をしろという事かな?」
シェイリーが何を言っているか分からなかったが、そこはかとなく嫌な予感がしたので、言われた通りに抱き上げる。
その直後、小さな腕を俺の首に回し、小さな唇を重ねて来た。
すぐさま小さな舌が俺の口の中へ入り込んで来て、
「んふっ……これが接吻か。この舌を絡めるのは良いな。いつまでも続けて居たくなる」
長いキスの後、満足そうに顔を輝かせる。
だが、その表情がすぐに曇り、
「しかし……何故だ? 皆と同じ様に接吻をしたというのに、アレックスのスキルが増えておらぬぞ? ……乳女よ。アレックスの身体は光ったのか?」
「え? いえ、光っていませんけど」
「む……どうして我だけ光らぬのだ? まだ接吻が足りぬという事か!?」
再びキスを――小さな舌で一生懸命に俺の舌へ絡めてくる、かなり激しいキスをされてしまった。
「くっ……これだけやってもスキルが増えておらぬ! どういう事なのだっ!? ……こうなったら唾液ではなく、我の愛え……」
「そういえば……シェイリーさん。今、思い出したけど、ここでアレックスが倒れて居た時、シェイリーさんが血を飲ませてアレックスを助けてくれたでしょ? あの時、既にアレックスが光っていたと思うんだけど」
「……なるほど。そういう事か。いや、確かに我の血を飲ませた後、身体が光ったのは何だろうかと思いつつ、気にしていなかったのだが、あの時点でアレックスの神のスキルが発動しておったのか」
俺が倒れている間に、シェイリーの血を飲ませたとエリーが言っているのだが、何の話だ?
……あ、土の四天王ベルンハルトとの戦いで、俺が奥の手を使った時の事か。
確かにあの時は、治癒魔法を使える者が俺以外に居ないのに、体力も魔力も回復していた。
あれは、シェイリーの能力だったのか。
「なるほど。という事は、もしかしてアレックスが持っている、超回復力というスキルは、我の血を飲んだ時に得たのかもしれんな」
「超回復力? え!? 俺はそんなスキルを持っているのか?」
「うむ。アレックスが持っているリジェネーションというスキルとは違い、体力しか回復しないが、その分回復力が凄いのだ。疲れ知らずというか、疲労困憊でも少し休むだけで、直ぐに動けるようになるだろう」
どうやら俺は、知らない内にシェイリーから凄いスキルを貰っていたらしい。
おそらく、リジェネーションと同じく常時発動スキルだろうから、非常に助かる。
とはいえ、魔力の回復量は変わらないようなので、生命力と魔力の両方を大幅に消耗する奥の手を連発出来る訳ではなさそうだが。
「さて。我のスキルをアレックスに与える事が出来ていたようだし、改めてナニを……って、何故だ!? どうしてアレックスのが本気になっておらぬのだっ!」
「……あの、アレックスさんは幼女趣味では無いと思いますが……」
シェイリーがよく分からない事を言い、リディアが小声で何かを呟くと、
「それより、ご主人様っ! 私にも愛を……愛をくださいっ!」
「皆ばっかりズルいよー! ニナも、お兄さんとキスしたいー!」
「ボクも、お兄ちゃんとチューするー!」
モニカが叫んだ所で、ニナとノーラが飛びついてきた。
「あぁっ! これ見よがしに、ご主人様とっ! 私も、私にもーっ!」
「ふぅ……目の前で他の女の子がアレックスとキスしているのは複雑な気分だけど、私も同じような事をしていたんだよね。でも、次は……こ、子作りは負けないんだからっ! ……って、シェイリーさんっ! ニナちゃんたちに紛れて、どこを触ろうとしているんですかっ!」
「ふっ……アレックスが本気になったら、どれくらいのものかと、我が直接……って、乳女! 少しは我に譲らぬかっ!」
ニナとノーラから抱き付かれている時に、誰かのお腹が小さく鳴ったので、お昼ご飯にしようと、一旦小屋へ戻る事にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます