第52話 恋人となったエリーと、変態になったモニカ

 エリーがシェイリーとモニカに社へ連れられていった後、暫くしてエリーが出て来た。

 凄い勢いで走って来て、


「アレックスーっ!」


 何かを察したノーラが俺から離れた所で、エリーが胸に飛び込んで来る。


「あ、あのね! 改めて言うけど、私はアレックスの事が好きなの! だから、私も……私も恋人にしてっ!」

「私も……って、それはつまり……」

「うん! アレックスが私の事を好きになってくれるなら、私はそれで良いの。リディアさんたちと一緒に、私もアレックスの恋人にして欲しい」


 そう言って、エリーが有無を言わさず、唇を重ねて来た。


「エリーさんも、ボクたちと一緒で、お兄ちゃんと仲良くなれて良かったね」

「そうだねー。エリーは絶対にお兄さんの事が好きだと思ってたもん」

「……まぁ仕方がありませんね。こうなる事は予想出来ていましたし」


 背後でノーラ、ニナ、リディアの声が聞こえてくる。

 一先ず、三人もエリーを除け者にしたりするつもりは無いようだ。


「あ……お兄さん。身体が光っているよー!」


 エリーが舌を絡めてきたので、身体が光った事をニナが教えてくれたのだが、


「……アレックス……アレックスぅー!」


 エリーが離してくれそうにない。

 その上、エリーのキスと共に押し付けられる、大きくて柔らかい膨らみのせいで、その……俺の精神修行が未熟な事もあって、身体の一部が危険な状態になってしまった。


「エリー、一旦ストップ。一度、落ち着こう」

「……ふぅ。あ、あはは。ご、ごめんね。つい、嬉しくて夢中になっちゃって」

「いや、それは構わないんだけど、その……やっぱり初めての時とは違うよな」

「……初めてって、リディアさんとかと比べているの!?」

「違う! 違うぞっ! そうじゃなくて、俺が初めてキスした相手は、小さい頃のエリーだからさ」

「あ……覚えていてくれたんだ! 私……あの頃からアレックスの事が好きだったから……今、本当に嬉しいのっ!」


 そう言って、再びエリーにキスされた所で、


「ご、ご主人様っ! 待ってください! 私も……私もご主人様の肉奴れ――もとい、恋人にしてください!」


 モニカの声が聞こえて来る。

 その直後、エリーが名残惜しそうに俺から離れていった。

 ……一体、あの社の中で何があったのだろうか。


「って、モニカ!? どうしてメイド服姿なんだ!? 社へ入る前は、ちゃんと鎧を着ていたよな!?」

「あの、ご主人様に私の全てを受け取っていただく為、社の中で鎧を脱いできました。その為、少し遅れてしまいましたが、私もご主人様を愛しております。どうか、私にもご主人様の寵愛を!」

「ちょっとだけ待ってくれ。モニカを拒むとかではないんだ。だけど、少しだけ待って欲しい」


 ダメだ。エリーの柔らかさで、身体の一部が大変な事になったままモニカを受け入れるのは、モニカに失礼だと思う。

 だから一度冷静に……通常状態に戻りたいのに、モニカが胸元を大きく開けて見せつけてくる!

 違うんだ! モニカ一人を除け者にしようとしている訳ではないんだっ!

 頼むから、胸を強調するのを止めてくれ! 俺が未熟なのが悪いのだが、一向に収まらないっ!


「お兄ちゃん。ボクは、お兄ちゃんとモニカさんとも仲良くして良いよ?」

「ニナも。皆仲良しでいたいもんね」


 背後からノーラとニナが、早く受け入れてあげて……とでも言うかのように、後押ししてくれているのだが、そうじゃないんだ。


「……下劣ではありますが、アレックスさんの事を好きだという行為を、乳女さんなりに表現しようとしているのは理解していますよ?」

「アレックス。モニカさんも勇気を振り絞っているから、出来れば早く答えを出してあげて」


 続いて、リディアとエリーからも声が掛かる。

 モニカが真剣なのは分かって居るんだ。だからこそ、俺も真剣に返事をしたい。だけど、男の事情で前屈みになってしまっているんだっ!

 だが、俺が変な格好で待って欲しいとしか言わないからだろう。

 不安に思わせてしまったようで、


「ご主人様。では、せめて唾液の提供を! 私のスキルを貰ってください!」


 モニカが一瞬悲しそうに顔を伏せた後、俺に走り寄って来た。


「違うんだ、モニカ! 俺はモニカを……」

「ご主人様。では、そのままお待ちくださいね。失礼致します」

「も……もにふぁっ!?」


 何を思ったのか、モニカが俺の口に指を入れ、口を閉じられないようにしてきたかと思うと、背伸びした状態から唾液を俺の口に垂らしてきて……って、マジで何してんの!?

 モニカ!? モニカーっ!?

 キスをせずに、唾液だけを俺の口に注いできて……あ、光った。

 これで、唾液のみでエクストラスキルが発動する事は分かったけど……うん。何て言うか、流石に変態っぽくて……真っすぐ立てる様になったよ。


「……エリーさん。やはり乳女さんは、アレックスさんに近付けない方が良いのではありませんか?」

「……わ、私はノーコメントで。流石にフォロー出来ないかも」


 リディアとエリーが背後で何か呟いた後、


「ねぇ、ニナちゃん。どうして、お兄ちゃんはさっきまで変な格好だったの?」

「え、えーっと、ど、どうしてだろうねー? ニナは、わ、分からないかなー」


 ノーラが不思議そうな声をあげ、ニナも困惑していた。

 すまん。これは二人に説明出来ないよ。

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