第177話 交易国の追加

 一先ず、四羽の鳥は後で何とかするとして、皆で昼食に。

 ただ、ヨハンナさんたちとネーヴやスノーウィは初対面なので、互いに挨拶してもらう。


「ヨハンナだ。天使族の戦乙女部隊の隊長をしている。ここにいるユーディットの母であり、ユーリちゃんの祖母だ。娘と孫に会う為、ちょくちょく来ると思うが、よろしく頼む」

「トリーシアです。天使族の戦乙女部隊に属しています。留守番を言いつけられた副隊長のルーシアさんに代わって、今日は頑張ります! 宜しくお願い致します」

「アーシアです。アレックス様の愛人になりたい天使族です」


 ……って、最後のアーシアの自己紹介は何なんだっ!?

 スノーウィがドン引きしている中で、トリーシアとアーシアが熱い視線を俺に向け……エリーたちが不機嫌なんだが。


「お兄ちゃん。愛人って?」

「さぁ何なんだろうな。て、天使族の冗談だと思うよ」

「あぁ、天使族特有の冗談でしたか。種族や国が異なると、文化が異なりますからね」


 小首を傾げるノーラに応えた言葉をスノーウィが聞き、うんうんと頷くと、


「ネーヴだ。スノーフェアリーという種族で、その名の通り雪を用いたスキルを使用する事が出来る。アレックスと婚約関係にあるので、宜しく頼む」

「ネーヴの兄、スノーウィーマウンテンです。スノーウィと呼んでくれて構いません。妹の様子を見る為に時々来ると思うので、よろしくお願いします」


 そのままネーヴたちも自己紹介を済ませる。

 というか、スノーウィも時々来るつもりなのか。

 ……ヨハンナさんは間違いなく定期的に来るだろうし、南西エリアに来客用の宿を作った方が良さそうだな。


「む……この料理は!? 前に来た時も美味であったが、更に美味しくなっている!?」

「なんだっ!? 調味料……いや、料理人の腕が凄いのか!? 正直な所、この食事を作った者を連れ帰りたい程だ」

「あの、作ったのは私ですが、料理の腕というより、作物自体の味が素晴らしいんです。後で、畑のトマトやキューリなどをそのまま食べてみてください。ビックリするくらいに美味しいですから」


 ヨハンナさんとスノーウィが驚愕し、リディアが説明をしてくれたが、驚く気持ちは分からなくもない。

 レイの研究の賜物で、ここで取れる作物は、物凄く美味しいからな。


「この作物を帰る際にいくつか頂きたいのだが、どうだろうか。もちろん次に来た時、対価を支払わせてもらうので」

「作物に関しては、こちらのメイリンに管理してもらっているので、後程話をしてくれれば」

「わかった。ユーディットちゃんやユーリちゃんと遊んだ後に、交易の話をさせてもらおう」


 リザードマンの村に続き、天使族とも交易が始まりそうで、メイリンがニコニコしている。

 交易は国の強化にも繋がりそうだもんな。

 交渉はメイリンに任せるが、魚や布はリザードマンの村から得られるから、それ以外の何かが欲しい所だな。


「ま、待ってくれ。それなら、こちらとも交易をお願いしたい。我が国は雪国で、自国で栽培出来る作物が限られている為、是非!」

「そうだな。我が国は海の幸が豊富なので、貝や海藻などが提供出来るはずだ」

「では、食後にでもその辺りのお話をいたしましょう」


 ヨハンナさんが、先にユーディットたちと過ごすと言っているので、先ずはスノーウィとレーヴがメイリンと交渉する事になり……昼食が終わる。

 皆で後片付けをして、それぞれの作業や、交渉などに移った後、


「えへへ……アレックスさーん。今日という日をすっごく楽しみにしてきたんですよー」

「私も……ユーディット様の正妻の座を奪おうなんて一切考えていませんから、愛人にしてくださーい!」


 トリーシアとアーシアの若い天使族二人が寄って来る。


「言っておくけど、ユーディットちゃんだけじゃなくて、私も正妻なんだからっ!」

「私もですっ! あ、とりあえず前みたいに空中でするのはやめてくださいね。私たちが混ざれませんから」

「とりあえず、邪魔が入らぬように結界を張るのじゃ。皆で楽しむのじゃ」


 何故かエリーにリディア、ミオも居て……って、違う!

 サクラとツバキにモニカやレイも居た!

 ……メイリンがスノーウィたちと交渉するからと、わざわざ中央の小屋へ場所を移したのは、こうなる事を読んでいたからか。


「って、まだ昼なんだが」

「そんなの関係ありません。私たちは、泊まる場所が無いので夕方に帰らなければなりませんし、さぁ早くいたしましょう!」

「そうですよ、ご主人様。時と場所を選んでいる場合ではないのですっ!」


 いや、モニカ……せめて場所は選ぼうよ。屋外で全裸になるのは止めてくれって。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る