第615話 唐突な奴隷解放

「……アレックス様。うちの村の次期村長決定ですよ」

「そ、その……何かしら考えるよ」

「はいっ! あ、私かクリスの子供を次期村長にするのもアリですからね」


 その、ベルティーナが俺のアレを飲んでしまい、暫く暴走した後……性格が変わってしまったのか? と、疑ってしまうくらいにベルティーナの態度が変わった。

 もしかしてベルティーナをテイムしてしまったのか!? とも思ったけど、幸いテイムしてしまった訳ではなく、単純に好意を抱いてもらっているだけらしい。

 まぁ単純に和合スキルのおかげ……という可能性もあるんだけどな。


「あー、ベルティーナ様が男で性格が変わるタイプとは思いませんでした……が、今まで恋人とか居なかったんで、私たちも知らなかっただけですが」

「ご主人様のを味わってしまったら、仕方ありませんね」

「まぁ確かに。とりあえず、変な事をされた訳ではないのは、私が証言出来るので、後で村長やクリスティーナ様にはお話ししますよ……というか、あのお二人もアレックス様にメロメロなので、大丈夫だと思いますが」


 まったり休憩モードに入っている猫耳族たちがベルティーナの代わり様について話をしているが、魚村への報告は任せて良さそうだ。


 とりあえず、辺り一面が大変な事になっているから、この辺りは掃除が必要だな。

 最近はプルムの分身が、こういうのを綺麗にしてくれていたのだが、今は別行動だから、水魔法で洗い流せば良いのだろうか。

 しかし皆気を失っているかまったりしているし、そろそろお開きにしたいのだが、ヴァレーリエとカスミ、フィーネとテレーゼの四人が止まってくれる気配がない。


『エクストラスキル≪奴隷解放≫のクールタイムが終了しました。再使用可能です』


 ほら、女神様の声も聞こえて来たし、おしまいに……


「って、クールタイムが終わった! 皆、起きてくれっ!」


 分身を終了し、ヴァレーリエが口を尖らせるが、それどころではないんだ。

 とりあえず、気絶している者を塔の中へ運び、起きている者は俺の後ろに移動してもらう。


「ひとまず、先程説明した奴隷解放というスキルを使う。皆、問題ないな?」

「アレックス様。私たちは問題ありませんが……まぁいっか」


 ベルティーナが何か言いかけたが、問題無いらしいので、早速スキルを使用する。


「≪奴隷解放≫」


 その直後、俺の目の前に、金髪で色白の物凄く綺麗な女性が現れた。

 早速、状況を説明しようとしたのだが、


「あっ、あっ、あ……熱いぃぃぃっ! どうして屋外に居るのっ!? 日光が……死ぬっ! 死んじゃうぅぅぅっ!」


 突然苦しみだした。


「だ、大丈夫か!? ……≪ミドル・ヒール≫」

「し、神聖魔法!? や、やめてぇぇぇっ!」

「えぇっ!? 益々苦しみだしたっ!?」


 治癒魔法を使って苦しむというのはどういう事かと思っていると、


「ぱ、パパー! この人、ヴァンピール……吸血族だよっ!」


 後ろからユーリの声が聞こえてきた。

 なるほど。それなら、日中の屋外で苦しみだしたのも頷ける……って、とりあえず塔の中へ入れよう!


「すまない。とりあえず、屋内へ運ぶから大人しくしていてくれ」

「あ、ありがとう……って、人間! しかも、いい男っ! 貴方の血をいただく……というか、ください! このままだと私、死んじゃうからぁぁぁっ!」

「え? まぁ構わないが……」

「うふふ……いただきまーすっ!」


 苦しむ女性を抱きかかえ、塔の中へ運んでいると、その女性が俺の首元に……甘噛みしてきた。


「……何をしているんだ?」

「……あ、あの。つかぬ事を伺いますが、貴方のジョブは?」

「聖騎士だが?」

「あぁぁぁ……防御力高すぎぃぃぃっ! 後、吸血族に耐性あるでしょっ! 吸えないっ! 皮膚が固すぎて、血が吸えないのぉぉぉっ! ホントに死んじゃうっ! いやぁぁぁっ!」


 物凄く騒がしいが、治癒魔法で苦しまれてしまうし、どうした物だろうか。

 とりあえず塔の中に着いたので、ひとまず日光からは遮断出来たという事で床に降ろすと、


「ん……この匂い! 血がダメなら、子種でも大丈夫ですっ! 貴方の子種を飲ませてください! というか、既に出てますね! お、大きすぎますが、命に関わりますし、いただきますっ!」


 女性が一方的に喋ってしゃがみ込み……あっ! ベルティーナが奴隷解放前に何か言いかけたのは、これかっ!

 俺を含め、皆服を着てなかったぁぁぁっ!

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