第468話 復活したアレックス

「おぉぉ……ありがとう、イネス。かなり良いよ」

「えへへ。アレックスさんに褒めていただいて、嬉しいです。きっと、この辺り……お好きですよね?」

「うっ! ……あ、あぁ。流石はイネスだな。俺の弱いところを的確に……くぁっ!」


 俺の上に乗ったイネスがキュッと力を入れ、グイグイ押してくる。

 イネスは俺の身体の事をよく分かっているな。こんなにも、俺の弱点ばかり責めてくるし。

 ただ、イネスのマッサージのおかげで、かなり良くなった気はするが。


「それにしても、アレックスさん。五十人と同時にされたのですよね? もの凄い事だと思うんですけど」

「あぁ、そのせいで腰が痛くてさ」

「というより、腰が痛い……で済んでいるアレックスさんが凄いんですけど。普通はそこまで出来ない気がしますが」


 まぁ実際のところ、皆からいろんなスキルを貰っているから何とかなっている訳で。

 スキルなしでは、あんなにも大量には無理だと思うんだけどな。

 他愛のない雑談をしている内にマッサージが終わり、腰の痛みがかなり軽くなった。


「アレックスさん。私が施して居るのは、マッサージです。本格的な治癒には時間を要しますので、お気をつけてくださいね」

「……正直な所、イネスかイネスの人形を北の大陸へ連れて行きたいんだけどな」

「んー、でもレヴィアさんがまた泳いでくださるでしょうか?」

「まぁそうだよな。大変だろうし……やはり、シェイリーの魔法陣か」


 そう言いながら、俺の分身といろいろしているシェイリーに目を向ける。

 いや、シェイリーに魔法陣を描いてもらうには聖水が必要だから、モニカとユーディットに頑張ってもらわないといけないのか。

 ……いっそ、天使族を呼んでもらおうか。


「では、アレックスさん。腰痛も良くなったみたいですので、私にもお願いしますねっ!」

「え? マッサージの前にしたんだが……いや、確かに他の者はまだしているけどさ」


 それから暫く……集まっている者たちを満足させたので分身を解除すると、シェイリーがやって来た。


「アレックスよ。いろんなスキルを得ておるが……一つ、異様なスキルを得ておるな。これは、神族から得たスキルか? 何やら、アレックスのアレを飲ませると、相手に治癒効果があるようだが」

「あー、それはウムギヒメかな。海で出会ったんだけど、何となく神族っぽい感じはしたかも」

「ウムギヒメ? うーん。我には分からぬな。海……というか水関連であれば、玄武が知っている可能性はあるが」


 なるほど。シェイリーが木を司っているように、玄武は水を司って居るのか。

 とりあえず、早く玄武を助けてやらないとな。

 ……とはいえ、北の大陸へ着いたものの、まだ何の情報も得られていないな。

 戻ったら、ヴィクトリアたちに玄武の事を聞いてみようか。


「あとは、割と普通のスキルだな。例えば、このバードキラーというスキルは、翼を持つ者に大して攻撃力が上がるようだ。だが今の所、天使族が悦ぶくらいであろう」

「天使族……か」

「む? 誰か天使族にお気に入りの女でも居るのか? それならば、もう一つの狙撃スキルというのを得ており、射撃……つまり、アレの命中率が上がっておるから、呼ぶと良いぞ」


 バード・キラーに狙撃か。

 天使族は翼を持つけど、鳥ではないと思うのだが……まぁスキルに突っ込んでも仕方ないな。


「ふふ。しかし、天使族が大勢来たら、聖水が沢山得られるので、北の大陸に魔法陣を描く事が出来る。アレックスに早く玄武を助け出してもらう為にも、天使族を呼んでおくのは良いのではないか?」

「あー、シェイリーもそう思うか。いや、実は俺も同じ事を考えていてさ」

「うむ。ならば、天使族を可能な限り呼ぶのだ。聖水が大量に要るというのに、モニカもユーリもこの場におらず、ユーディットしか聖水を作れないからな」

「まぁ流石に天使族は天使族で、村の警備だとか、いろいろ仕事があると言って居たから、無理しない範囲で来てもらうのはアリかもしれないな」

「そうだな。見返りはアレックスのアレだと伝えれば、喜んで聖水を提供してくれるだろうからな」


 それはそれでどうなのだろうかと思いつつ、一先ず来た時と同じ事をしてヴィクトリアのテントへ。


「アレックスさん……遅いです」

「アレックス。何処へ行って居たのかは知らないが、モニカばかりズルいぞ」

「アレックス。レヴィアたんも!」


 リディアやヴィクトリアたちに詰め寄られ……いや、昨日あれだけしただろっ!

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