挿話153 先を越されてしまうモニカ
「くっ……ダークエルフの薬を盛られたとはいえ、何たる事だ」
「クケェッ! まったくだ。パラディンであるアレックスは、大きな悪を倒さねばならないのに」
アレックス殿がフョークラ殿の薬でおかしくなり、馬車の時よりも多く分身した。
これを見て、船にいる全女性が自ら全裸になったのを、ブレア殿と共に嘆く。
「母上は混ざらなくて良いのですか?」
「混ざる訳がないだろう。あぁいう行為に至るには、然るべき順序というものがある」
「ですが……我慢の限界では?」
船の中で、私たちを除いて唯一全裸になっていないモニーがよく分からない事を言ってきた。
我慢? 一体私が何を……いや、堪忍袋という意味では確かに我慢している。
アレックス殿は本来このような事をするお方ではない。
きっと、先ほどの馬車などもフョークラ殿に一服盛られていたのだろう。
「母上。意地を張らずに混ざってきては? 父上の……とても美味しかったですよ?」
「なっ!? ま、まさかモニーまで……」
「いえ、後で怒られるのがわかっておりますし、一度味わってお預けになる方が辛いと想像出来るので、飲ませていただいただけです。ですが、濃厚な魔力が身体の奥まで染み渡り……はぅっ! 思い出しただけで、身体が悦んでしまいます」
そう言って、モニーが頬を紅く染めながら、身体を震わせる。
メイリン殿の話では、モニーは十歳頃の私だという話だったが……おかしい。私は今も昔も淑女なのだが。
「母上。素直になりましょう! 父上のは凄いですよ」
「バカな事を。婚前にそんな事が許される訳ないだろう。もしも懐妊したらどうするのだ」
「おめでたくて良いと思いますが……では、後ろではどうでしょうか? それならギリギリセーフでは?」
「う、後ろって、まさかここ……なのか?」
恐る恐る聞くと、モニーが当然とでも言いたげに頷く。
いやいや、そこは出す所で入れる所ではないだろう。
人として間違っていると思うのだが。
「母上。見てください。あちらのミオ殿は前と後ろの二本挿しですよ」
「な、なんと……」
「ドワーフの兵士にも、後で……という者がいますね。後ろなら妊娠もしませんし、良いのでは?」
「し、しかし、本来とは違う用途。痛いのでは?」
「それは、ミオ殿たちの表情をご覧いただければ宜しいかと」
くっ……確かに、少しも苦痛を感じている様子は無い。
し、しかし、後ろでなんて……とはいえ、私だけ除け者にされているのも辛い。
だ、だが、やっぱり後ろというのは……
「母上。父上の分身の一体を借りて参りました」
「ふぇっ!? あ、アレックス殿っ!?」
「母上。もう一度言いますが、父上の分身ですからね?」
私が悩んでいる内に、モニーが何処からともなく、アレックス殿の分身を連れてきたようだ。
「クックック。まさかモニカ殿までアレックスのを?」
「い、いや、私は……」
「母上! 父上があのモードになっている時は、本能で動いており、意識がありません。つまり、今なら何をしても父上にはバレませんよ?」
な、何と……いや、アレックス殿の意識は大事だろう。
しっかりと互いに愛しあってこその行為であるべきなのだ。
「クックック……アレックスの意識が無いだと? それならば……私もいただこう! アレックス! 愛しているぞっ!」
「なっ!? ブレア殿っ!?」
「私はアレックスとは巨悪を倒すパートナーとして、目的達成まで感情を表に出さない事を誓ったが、意識がないのであれば話は別だっ! クケェェェッ! しゅごい! これがアレックス! これが雄かっ!」
ブレアが私の目の前でアレックス殿に初めてを捧げている。
くっ……私も! いや、でも、初めてを捧げたのにアレックス殿に認識されていないというのも嫌だ。
だが、そうこうしている間に、ブレア殿がアレックス殿と口付けを交わし、ビクンビクンと身体を震わせる。
あぁぁぁ、やっぱり私もしておくんだった!
「〜〜〜〜っ!」
「ぶ、ブレア殿?」
「モニカ殿。アレックスのは凄いぞ……」
そう言って、ブレア殿がアレックス殿に覆いかぶさったまま気を失う。
アレが入ったままなので、アレックスの分身はそのまま動き続け、その度にブレア殿の身体が跳ね……いや、代わってくれないのは酷くないかっ!?
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