挿話152 初めてな竜人族のオティーリエ

 アレックスと呼ばれる男性が、ダークエルフに一服盛られ……鬼畜に変わった。

 今まで紳士的に話が行われていたというのに、船にいる大勢の女性たちが涙や涎を垂れ流している。

 しかも、分身というスキルが使えるそうで、一度に半数の女性を相手にして……黒竜族も一夫多妻制ではあるが、ここまでの猛者の話は聞いた事がないな。


「ふむ……オティーリエよ。魔力から察するに、ここか? 船の端でジッとしているようじゃが」

「……その魔力は九尾族の者か」

「如何にも。ところで少し聞きたいのじゃが、ブラックドラゴンは何体残っておるのじゃ?」


 確かミオと呼ばれていただろうか。

 九尾族の童女がアレックスのを咥え込みながら話しかけてきた。

 この童女や青髪の童女に、向こうにいる小柄なドワーフ族の女性たちが悦んでいる一方で、この中で一番胸の大きな女性が放置されているあたり、アレックスは幼女趣味なのだろう。

 せっかく人間にとは思えない程の魔力と精力の持ち主で、竜人族の繁栄の機会かと思ったのだが、私は対象外のようで、残念だ。


「……残念ながら、数える程だと思う。雌は何人かいるのだが、何故か雄の魔力が感じられん」

「ふむ。アレックスから説明があるかと思ったが、あの状態なので我から話すが……おそらくブラックドラゴンの雄は絶滅しておる」

「……そうか。いや、あの首輪が外れたのに魔力が感じられなかったから、覚悟はしていた」

「そこで、提案なのじゃが、このアレックスと子を作ってはどうなのじゃ? お主も感じておると思うが、アレックスは神獣の魔力を持っておる。それに、この精力じゃ。これ以上ない相手だと思うのじゃ」

「私は……もう良い年だから、そういう事をする相手は、子を成す可能性がある者にしたいのさ」


 あのアレックスという者は、十代後半といったところだろう。

 私は人間に換算すると、その倍近くの年齢だ。

 もう若くはないし、がっつかずにゆっくりと竜人族の伴侶を探したい。


「いや、出来るのじゃ。アレックスはレッドドラゴンの少女と子を成しておるのじゃ」

「えぇっ!? ど、どうやって!?」

「どうやって……と言っても、交尾以外にどうするのじゃ? 勿論、一度で出来た訳ではなく、毎晩夜通しで朝まで交わっておったが」

「こ、子供が出来る!? わ、私にも!?」

「可能性はあるのじゃ。ちなみに、シー・サーペントとでも言うのかの? 海竜族の娘と、イエロードラゴンの女性もアレックスと子を成す為、会う度にしておるのじゃ」


 赤竜だけでなく、黄竜まで!?

 これは私も……でも、問題がある。


「で、でも、私の姿は見えないし……」

「お主が自分で動けば良いのじゃ」

「そ、そうだけど……透明な女が相手ではアレックスに悪いのでは? 何かで私の姿が見えるようになった時、こんな女と……となったら悪いし」

「問題ないのじゃ。アレックスは人を容姿で拒絶したりなどせぬのじゃ。まぁあれじゃな。唯一アレックスが拒むとすれば、年齢だけじゃな」


 うぐっ。やっぱり、そうよね。

 幼女趣味のアレックスは人間換算で何歳まで許容範囲なのだろうか。

 ミオは……人間換算で十歳くらい?

 青髪の子はもっと幼いし、ドワーフたちは十代前半?

 放置されている女性は二十歳くらいに見えるから……全然ダメなのでは?

 でも、子供は欲しい……姿が見えないのを活かして、自分からやるしか無いっ!


「わ、私もやるっ!」

「うむ。では、このアレックスを譲るのじゃ。分身ではなく、本体なのじゃ」


 そう言って、ミオがゆっくりとアレックスのアレを抜いて……って、待って。

 どうやったら、このサイズの小さながミオの身体の中にはいるのっ!?

 ミオの身体から、えげつない大きさのアレが……無理! 初めてでこのサイズは無理! 未経験のままこの歳まできたけど……無理無理無理無理っ!


「オティーリエよ。今のアレックスは暴走モードなのじゃ。早くしないと、アレックスが他の者のところへ行ってしまうのじゃ」

「うぅ。や、やるわ……女は度胸よっ!」

「ま、待つのじゃ! その前に、先ずはこれを咥えるのじゃ。……うむ。あとは、待っていればアレが出てくるから、飲むのじゃ」


 ん? ミオな何を飲ませようと……っ!?

 突然芳醇な香りと濃厚な魔力が……か、身体の奥が熱いっ!

 こ、こんなの初めてなんだけどっ!


「うむ。準備出来たようなのじゃ。あとは頑張るのじゃ……って、聞いておるか? ……夢中になるのが早いのじゃ」


 これが子作り……アレックスと結婚するぅぅぅっ!

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