第735話 久々の第一魔族領

 流石はドラゴンというべきか、アマゾネスの村から第一魔族領まで、あっという間に着いてしまった。


「ヴァレーリエ、ありがとう。リディアもヴァレーリエも、体調に問題はないか?」

「ウチは全然平気なんよ。ゆっくり飛んだし」

「あれでゆっくりなのか。凄いな」

「でも、レッドドラゴンは、飛行が得意な訳ではないから、距離としてはこれくらいが限界なんよ」


 ヴァレーリエが人の姿に戻るが、全く疲れた様子を見せていないので、本当にこれくらいなら平気なのだろう。


「アレックスさん。私も大丈夫です」

「そうか、本当に良かった」


 リディアも問題ないとわかったのだが、


「ご、ご主人様ぁぁぁっ! 寝ている間に空はダメですっ! 怖かったですぅぅぅっ!」


 モニカが割と本気で泣いていたので、平謝りする事に。


「すまない。だが、起こそうとはしたんだ」

「うぅ。それならばいっそ、目覚めるのが空ではなく、到着してからが良かったです。恐怖で小水……いえ、聖水を垂れ流してしまいました」

「んっ!? ちょっと! 背中が濡れてるなーって思ってたけど、モニカのせいだったの!? というか、人の背中でお漏らしは、流石に酷過ぎるんよ!」


 ヴァレーリエが怒りだしたが、怒るとお腹に良くないとリディアが伝えると、


「むー、仕方ないんよ。次からは気を付けるんよ」


 ヴァレーリエが嬉しそうにお腹に触れる。

 うん。身重でケンカは良くないな。

 それから、魔法陣を使って第一魔族領へ行くと、真っ先にシェイリーから声が掛かる。


「おぉ、アレックスよ。ついにヴァレーリエとの間に子供が出来たそうではないか」

「あぁ、そうなんだ。嬉しそうで何よりだ」

「メイリンから聞いて、ついに……と驚いたものだ。という訳で、我とも子供を作るのだ! 竜人族を孕ませられたのだ! 我も孕ませるのだーっ!」

「って、シェイリー!? いや、他にやる事が沢山あって……」


 シェイリーが強制的に俺の分身スキルを発動させ、


「そういう事なら私も参加させていただきますね。既に全裸ですから、脱ぐ必要もありませんし」

「アレックス様! お待ちしておりましたっ! フィーネにもお願い致しますっ!」

「マスター。魔力補給を……」


 モニカ、フィーネ、ソフィが何処からともなく現れた。

 それから、他のメンバーも集まってきて……は、話にならない。


「ヴァレーリエとリディアは西の宿に向かってくれ。エリーたちが居るし、ステラもそこにいるはずだ」

「わかったんよ。ただ、そのステラはそこに居るんよ?」

「えっ!?」


 ヴァレーリエに言われて見てみると、確かにシェイリーたちに混ざってステラが……う、うーん。まぁ近くに居るので良しとしよう。

 それから暫くして、シェイリーとフィーネに、テレーゼとソフィの四人を除いて、静かに……皆が気を失っていったので、次はニナと話をする事に。


「ニナは……南の家か?」

「マスター。ニナ様なら、そちらに」

「わかった。ありがとうソフィ……って、ニナ!? 起きてくれ、ニナ」


 ソフィに教えてもらった場所に目をやると、ニナがコルネリアと一緒に眠っている。

 いやいや、ヴァレーリエとリディアを送るのが一番の目的だったが、ニナに故郷の話もしたいのだが……今起こすのは可哀想なので、少し待つか。

 そう思っていると、エリーやユーディットにメイリンがやって来る。


「アレックスーっ! 今回はスキルじゃないのよね!? 本人なのよね!?」

「あぁ。戻って来るのが久しぶりですまないな、エリー」

「そうだよー! 旦那様……もっと戻って来てよー!」


 エリーが喜び、ユーディットが少し唇を尖らせ、


「しかし、旦那様。久しぶりの再会ですので、その、もう少し何とか……無理ですのね」

「……す、すまない。メイリン」

「いえ。旦那様は、この国の王ですから。仕方ありません」


 メイリンから、久々の再会なのにフィーネが抱きつかれっぱなしなのを指摘されてしまった。

 とはいえ、シェイリーが分身を解除させてくれないし、フィーネはエンドレスだし……仕方ないところもあるんだよ。

 そう思っていたら、エリーがフィーネに交代してもらい……ユーディットとメイリンも。

 とりあえず、エリーたちが満足したら、ニナを起こそうか。

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