第147話 鮮度を求めるレイ

 目が覚めると……大変な事になっていた。

 レイの部屋に、七人の女性が重なり合って倒れている。

 一番酷いのは……ミオか?

 普段はフサフサの大きな尻尾が、何かでカピカピになっている。

 ……あー、うん。皆、すまん。

 とりあえず、皆を起こしていくが、サクラが目を覚さない。


「サクラ、大丈夫か? サクラ?」

「あ、サクラはんは、命の危険を感じたから睡眠薬で眠らせてん。暫くどこかで休ませてあげて欲しいんやけど」

「え? 命の危険って、そんなに酷かったのか? ……あ、いや。すまん」


 レイが結構重たい話をしているのだが、何故エリーやリディアは羨ましそうにしているんだ?

 一先ずサクラを風呂へ運び、リディアにも手伝ってもらって、身体を綺麗にしてあげる。


「……アレックスさんのが沢山溢れてきます。私にも、もっとしてくださって良いんですよ?」


 いや、サクラでこの状態なんだから、リディアだと本当に大変な事になりそうなんだが。

 後でレイに、正しく希望を伝えなければ。

 一先ず、サクラを小さな寝室に寝かせ、レイの所へ戻ると、そのレイが何かを見つめながら唸っていた。


「レイ? どうしたんだ?」

「いやー、この作りかけの薬が、さっき凄い反応を見せたんやけど、同じ材料を使っても、同じ反応が得らへんくて」

「随分と仕事熱心だが、とりあえず服くらい着たらどうだ? せめて下着だけでも」


 ちなみに俺は、風呂でサクラを洗った後で、ちゃんと着替えている。

 ……って、よく見てみたら、俺とリディアしか服を着ていないんだが。

 ニナもメイリンも服を着ような。

 ミオは……いや、二回戦とか無いから。

 さっき、一緒に風呂へ連れて行くべきだったな。

 そんな事を考えていると、レイが真剣な表情で……俺はの下半身を見ている!?

 いや、表情と視線が合ってないんだが。


「そうかっ! そういう事かっ! アレックスはん。ちょっとだけ協力してくれへんか?」

「ん? 何をすれば良いんだ?」

「いや、ウチがするから、アレックスはんは立ってるだけでえぇよ」


 言われた通りに立っていると、レイの手が伸びてきて、俺のズボンを……って、何でだよ。


「いや、どうしてズボンを脱がそうとするんだよ」

「せやから、協力して欲しいねん。というか、アレックスはんのアレが欲しくて」

「いや、十分にしたんだろ? というか、何に使うか知らないけど、この部屋の至る所に溢れているんだが」

「ちゃうねん。例えば、ウチかて……ほら。アレックスはんに沢山出してもろたから、少しお腹に力を込めただけで出てきたやろ? けど、これじゃあかんかってん。アレックスはんから出してもろた、鮮度が良くて不純物の混ざってへんアレが欲しいねん」


 鮮度が良いアレって何なんだ。

 とりあえず、レイが変な事をしかけたから、エリーやリディアが便乗しようと様子を伺っているんだが……今日はこれ以上しないからなっ!?


「アレックスはん。ソフィはんには、いつも直接飲んでもらってるやろ? 予め出しといたアレを飲ませたりせーへんやろ?」

「まぁそうだな」

「おそらく、ウチの考えが正しければ、出して時間の経ったアレでは、ソフィさんの魔力量は回復せーへんはずやっ! つまり、アレックスはんのアレは鮮度が大事っ! 鮮度の良い状態やと、ウチが思っている反応を再現出来るはずやねん!」


 いや、そんな事を力説されても。

 ただ、レイの真剣さは伝わったので、


「じゃあ、ソフィの魔力補給のタイミングでな」

「おぉっ! 流石はアレックスはん! おおきにっ!」


 どうせソフィの時に出すし、その時で……という事で、この場を収めた。

 それから、何かを期待している女性陣に諦めてもらい、衣服を整えてもらった所で、


「お兄ちゃーん! あれ? 皆も……丁度良いね。ねぇねぇ、お兄ちゃん。お祭りはいつから始めるのー?」


 サクラの故郷の祭をすると信じているノーラがやって来た。


「はっはっは。残念だったのじゃ。祭はもう……もがっ!?」

「こ、これから始める所なんだ。今は、料理や出し物の順番の打ち合わせをしていたんだ」

「そっかー。楽しみだねー、お兄ちゃん!」


 余計な事を言おうとしたミオの口を塞ぎ、とりあえず今日はサクラの言う祭を実行する事に。

 しかし、よく考えたら、そのサクラが目を覚さないんだが……まぁ何とかなるだろう。

 一先ず今夜は、変な事をしない、皆で楽しく過ごす祭を行う事にした。

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