挿話90 レイが作った風邪薬を飲んでしまったシノビのカスミ

「わ、私とした事が、何たる不覚……くしゅんっ!」


 ソフィちゃんに対抗して徹夜でお兄さんの子種を貰い続け……明け方に眠ってしまった。

 もちろん一晩程度なら睡眠など不要で活動出来るのだが、お兄さんとの行為が激し過ぎて……本気で気を失ってしまった。

 目が覚めた時には、何故か全裸で冷たいお風呂に居て、お兄さんは呼び出されて南の休憩所へ行ってしまっていると。


「くっ……お兄さんの極大なアレを知るまでは、こんな醜態を晒す事なんてなかったのに」


 お兄さんのが凄すぎて、もうアレ無しには生きていけなのよね。

 とりあえず身支度を済ませて朝食をいただくと、メイリン様が皆に向かって呼び掛ける。


「皆の者! 旦那様よりご連絡があった。これより旦那様はウララドの街へ向かうとの事。各々に旦那様からの指示があるので、妾の言葉を旦那様の言葉と思うように」


 メイリン様によると、私はお兄さんに代わって、元兎耳族の村の開拓を指揮するようだ。

 ふっふっふ。私ってば、分身出来るし、戦えるし、ご奉仕も出来るし、お兄さんの右腕的ポジションね。なんなら、右腕っていうか右手の代わりとしてアレを……うふふ。

 後は、お兄さんの子を孕めば完璧よっ!

 娘が三人も居るし、四人目は男の子が良いな……って、思い出したっ!

 お兄さんから、より沢山愛してもらう為に、シノビの秘術……ぶっちゃけ、お兄さんやマミちゃんが既に使っているけど、変化スキルと同じように幼児化する術があったはずだから、その使い方を思い出さなきゃ!

 正直言って使い所が無くて……どうやるんだっけ?


「……くしゅんっ! うーん。風邪かしら?」

「ん? カスミはん。風邪かいな?」

「あ、レイちゃん。そうなのよー。昨日の夜、お兄さんと頑張り過ぎちゃって」

「夜と言えば、この魔族領へ来てから異様なくらい熟睡してるんやけど……まぁそれはさておき、よぉ効く風邪薬ががあるから、飲むとえーよ」

「あら、助かるわぁ。ありがと、レイちゃん」


 レイちゃんに貰った風邪薬を飲み、元兎耳族の村へ向かう準備をしていると、突然身体が熱くなる。

 何ていうか、身体の奥……下腹部が熱くて、疼くっ!

 あぁぁっ! お兄さんのアレが今すぐ欲しくてたまらないっ! もしも近くに居たら即襲っていたけど……流石に居る場所が遠すぎるっ!


「れ、レイちゃん。さっきくれた風邪薬って、何? 寒気が一切無くなった代わりに、身体が熱いんだけど」

「えっ!? えーっと、良く効く風邪薬っていうのはホンマやねん。ただ、それの材料にアレックスはんのアレを使ってるんやけど」

「あ、そういう事!? 確かに効き目は凄いけど、副作用も凄いんだけどっ!」

「そうかぁ。それは申し訳ない。けど、どないしよ。実はこの風邪薬を作ったんは結構前で、ウチの人形がウララドの街で商人ギルドへ売ってもうてるねん。マジック・ポーションとは別で」

「えっと、これを飲んだのが私だから……幼い頃から耐える修行とかをしているシノビだから、身体が疼いても耐えているけど、普通の人だとマズいんじゃないかな?」

「けど、ウチの人形曰く、商人ギルドで鑑定を受けた上で、買い取ってもらえたって言っててんけどなー。と、とにかく堪忍やで」


 レイちゃんに何度も頭を下げられながらも、お兄さんに依頼された事をやるべく、第一班……サクラちゃんに、ヴァレーリエちゃん、ユーリちゃんを集め、それに加えてソフィちゃんとリディアちゃんに、何体かの人形ちゃんを連れて、移動する。


「はぁ……はぁ……んっ!」

「母上? 大丈夫ですか? かなり体調が悪いようですが、戻ってステラ殿に治癒魔法を使っていただいた方が……」

「そ、その手があったぁぁぁっ!」

「は、母上?」

「サクラちゃん。ありがとう! そうさせてもらうわ。ステラちゃんの高位魔法なら、きっと治せるわよね。お母さんは一旦ステラちゃんの所へ戻るけど、分身で指揮するから」


 うぅぅ……持ち運びや、いざという時の為に持っておくという分には、レイちゃんの薬の方が優れているけど、すぐ傍にプリーストのステラちゃんが居たんだから、風邪も治癒魔法で治して貰えば良かったのよ!

 一先ず東の休憩所まで戻ってステラちゃんに高位の状態異常の回復魔法を使ってもらい、大急ぎで皆の所へ戻って……物凄く無駄に走る事になってしまった。

 今晩のお兄さんとの子作りは、良い感じの所で止めておかないとね。

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