第595話 頼もしい仲間たち
せっかく玄武を助けたものの、第一魔族領の落下を止める事は出来ず、以前として状況はマズい。
どうしようかと考えていると、
「うーんとね。私が本気で防御に徹すれば、多分無傷で耐えられると思うよー!」
「おぉ、そうなのか」
「うん。私はね」
いや、ダメだろ。
この魔族領には大勢の人が住んでいるし、落下地点が大変な事になる。
てっきり玄武の力で、魔族領に住む人たちや、落下地点の居る人たちを守れるのかと思ったが、全然ダメだった。
もうどうする事も出来ないのかと悩んでいると、
「パパー! だいじょーぶ! じゅんびできたってー!」
「ユーリ? 何の話だ?」
「とりあえず、いまからここにくるってー!」
「いや、誰が!? どうやって!?」
ユーリが突然よくわからない事を言いだす。
一体何の話かと思っていると、複雑な何かの模様を描くように床が輝いていく。
「これは……」
何処かで見た事のある魔法陣だと思った瞬間、目の前にシェイリーやメイリンに、ユーディットやフィーネ、カスミやヴァレーリエなど、第四魔族領に居るはずの女性たちがが居た。
「これは、何がどうなって……あ!」
「ふふ、わかったか? メイリン経由でユーリと連絡を取っておったのだ。無事に玄武を助け出してくれたらしいな。そして、あの炎の剣のスキルを使ってくれたから、魔力的な位置が分かり、転移魔法陣を展開させてもらったぞ」
「それは良いのだが……それよりも、第一魔族領が落下しているんだ。このままでは落下地点の人たちが大変な事になる!」
「うむ。それも大丈夫だ。では、後は頼むぞ。この魔法陣では、我や玄武を転移させる事は出来ぬのだ」
どういう事かと思っていたのだが、頼もしい仲間が来てくれた。
「マスター! 時間がありませんので、説明は後です。参りましょう!」
「ソフィ! あぁ、頼む!」
「はい! では、皆さんもお願い致します」
ソフィが来てくれるのはわかるのだが、何故フィーネやカスミたちまで一緒に魔法陣へ乗るのだろうか。
いや、時間がないから、説明は後で聞こう。
とにかく今はソフィに頼むしかない!
シェイリーの魔法陣に乗り、再び玄武の元へ。
「え? 消えたと思ったら、いろんな女の人を連れて来て……一体どういう事なの?」
「玄武。説明は後だ。ソフィ……頼む!」
「はい! では、私はこの浮遊装置の設置に取り掛かります。皆さんは、事前にご説明させていただいた通りに、お願い致します!」
困惑する玄武を他所に、ソフィが大きな機械を部屋の端に運んで行く。
浮遊装置……流石はソフィだ。
おそらく、メイリン経由でユーリから第一魔族領の状況を聞き、大急ぎで何とかする為の装置を作ってくれたのだろう。
これで野菜村の人たちや、この第一魔族領の落下地点に居るかもしれない人たちが救われるはずだ。
「マスター! 装置を起動させる準備の一環です。分身をお願いします!」
「分身? わ、わかった……≪分身≫」
「わぁ! 凄い! アレックスが沢山……全く同じ姿のアレックスが九人に、何故か全裸のアレックスが九人。それに、ちょっと雰囲気が違うアレックスが四人……凄いんだねー!」
ソフィの言う通り分身したが……これに何の意味があるんだ?
とりあえず、信じるしかないが。
「マスター。では、複製スキルで生まれた、全裸の分身の三体を私のところへお願いします」
「他の分身や俺はどうすれば良いんだ?」
「何もしなくても大丈夫です。いつも通りにしていただければ」
いつも通り? いつも通りというのはどういう事だ?
とりあえず何もしなくても良いという事だが……待て待て待て。
どうして、カスミたちがいきなり脱ぎだすんだ!? そんな事をしている場合ではないだろ?
「ちょ、ちょっと待った。カスミもサクラもヴァレーリエも……こんな事をしている場合ではないと思うのだが」
「ふっふっふー。ソフィちゃんは浮遊装置の調整で忙しいみたいだから、代わりにカスミちゃんが説明してあげる。すっごく簡単に言うと、お兄さんが沢山アレを出して、ソフィちゃんが大量の魔力を補給すれば、この魔族領が落ちないって事よー!」
「そういう事なんよ。という訳で、ウチらが沢山アレックスのを出させるんよ。そうすれば、リンクしている分身からソフィの中にアレが出るから、ソフィは調整作業に集中しながらも、魔力補給が出来るんよ。という訳で……早速始めるんよ!」
さっきソフィが言ったいつも通りって、こういう事だったのかぁぁぁっ!
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