第8章 脅かされるスローライフ

第286話 叫びまくるステラ

 テレーゼが奴隷解放で来た翌朝。

 瞳にハートが浮かぶテレーゼの激しいキスで起こされる。


「お兄さん。凄かったの! 結婚してっ! 私、お兄さんの子を生むっ!」

「フィーネもアレックス様と結婚するもん! アレックス様、私も結婚してくださいっ!」

「マスターは、私の事を見捨てませんよね? 毎日魔力を注いでくださいますよね?」


 昨晩はいつも通りフィーネが俺と。テレーゼが分身三体、ソフィが分身二体を相手にしていたのだが、テレーゼは満足したあとは俺にくっついて寝ていたらしい。

 その為、その後はソフィが朝まで分身五体と……とりあえず、皆で風呂へ行こうか。

 いや、朝からする為じゃなくて、俺のアレまみれな身体を……テレーゼっ!? そういう目的で風呂へ来た訳では……テレーゼぇぇぇっ!


「はふ……おはよう、アレックス。何だか今日は寝過ぎた感じがするわね」

「えっ!? 太陽がもうあんな位置に!? い、急いで食事の準備を致しますね」

「うーん。ウチはこんなにも長い睡眠時間を必要としないんよ。昨日が激し過ぎたから?」


 フィーネのスキルで皆を起こしたのだが、朝に風呂でテレーゼに襲われ……フィーネやソフィも参戦して、随分と遅くなってしまった。

 エリーやリディア、ヴァレーリエを筆頭に、皆が首を傾げている中、遅めの食事を取っていると、


「旦那様。北の小屋で声がするという報告が来ています。おそらく、冒険者ギルドからの通話魔法かと」

「わかった。ちょっと行って来るよ」


 メイリン経由で人形から連絡が来たので、小屋へと移動する。

 タバサと少し話をした後、ステラと小柄な少女がやって来た。


「ステラ。よく来てくれた、本当に助かるよ」

「アレックスさん。お久しぶりです」


 前にパーティを組んでいたプリーストのステラがやって来てくれたので、エリーやユーディットに万が一の事があっても、余程の事でない限り大丈夫だろう。

 何故か、ステラがビクッと驚いていたが……何だ? 特に何もないが。


「ステラ。どうかしたのか?」

「えっ!? あ、あの……扉の外に人が沢山居る様に見えたので」

「ん? あぁサクラたちか。後で紹介するよ……と、その前に、初めまして。タバサの代わりに来た……のかな? 俺はアレックスというんだ。よろしく頼む」


 ステラと一緒に来た少女に声を掛け、


「は、はじゅ……はじめましてっ! ぼ、冒険者ギルドの職員のティナです。冒険者ギルドとして、アレックスさんの活動の視察をさせていただく事になりましたので、どうぞよろしくお願いいたします」

「あぁ、わかった。後でこの辺りを案内しよう。特に見られて困る物がある訳でもないから、好きに見てもらって構わないんだが、少し危ない場所もあるから、基本的に誰かと……暫くは俺と行動を共にしてくれ」

「は、はいっ! よろしくお願いいたしましゅ」


 ティナという名前だと名乗られたが、かなり緊張している事がわかった。

 俺の事をまじまじと見てくるし、男性が苦手なのだろうか。

 テレーゼは初対面の時に男が苦手なのかなと思ったが、全くそんな事がなくて……ティナも同じパターンなのか?

 とりあえず、暫く行動を共にしていれば慣れてくれるだろう。


「じゃあ、先ずはここに住む者たちの一部を二人に紹介しよう。サクラとツバキ……エリーとリディアも居るな。というか、俺たちが出るか。狭くなりそうだしな」


 二人をを連れて小屋を出ると、エリーがステラに手を振り、


「あ、エリーちゃん! お久しぶり……って、待って!? そちらの方は……も、もしかしてエルフの方ですかっ!? というか、どうしてこんなに沢山の人がっ!?」

「はじめまして。アレックスさんの妻のリディアです。エリーさんから聞きましたが、アレックスさんのお知り合いだとか。宜しくお願いいたします」

「えっ!? えぇぇぇっ!? 一体何がどうなって……あ、アレックスさんの子供を妊娠したのは、エリーちゃんとモニカさんかなって思っていたんだけど」

「あー、乳女さんはお尻……こほん。残念ながらエルフは長寿で、種族的に子を沢山成す必要がないからか、妊娠し難いみたいなんですよ。アレックスさんの子供は早く欲しいんですけどね」


 エルフを見るのが初めてだからか、ステラが混乱していた。

 まぁ俺もリディアを初めて見た時は驚いたからな。


「ステラさん……かな? 旦那様の子を授かったのは、私だよー! ユーディットっていうの。宜しくねー!」

「はっ!? アレックスさんの子を……!? あ、アレックスさんっ! こんなに幼い子に何をしているんですかっ! ……じゃなくて、えぇぇぇっ!? 空を飛んで……翼!? ど、どうなっているんですかっ!?」

「気持ちは分かるが、とりあえず落ち着いてくれ。あと、ユーディットは成人だからな? 天使族の」

「…………て、天使族っ!? 伝説の存在の!? ふぇぇぇっ!?」


 おーい、ステラ? ステラーっ!?

 ユーディットを見たステラが、何故か動かなくなってしまった。

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