第336話 エリラドの街の闇ギルド探し
「ユーリ。ウララドの街みたいに、呪いは感じないか?」
「んー、このへんには、なさそうだよー。そーゆーのを、かんじないもん」
ウララドの街で闇ギルドを探した時のように、ユーリの呪いを感知する力に頼ってみたのだが……残念ながら上手く行かなかった。
エリラドの街の方がウララドの街よりも大きな街なので、この手法で探すのは難しいのと、ウララドの街の闇ギルドを潰した事が伝わっていて、あの呪いのアイテムは止めたのかもしれないな。
となると地道な聞き込みになるが、闇ギルドの話を聞いたところで、答えてくれるような人は中々居ないというのは分かっている。
なので、派手に聞き回って俺が目立ち、闇ギルド側から刺客を向けられるのが良いのだが……いや、その手はウララドの街で使い、ひたすら刺客を倒しただけで、ギルドの場所はわからなかったんだよな。
「……って、よく考えたら闇ギルドの話が出て来た場所があったな」
「あの人身売買の人だね。あの辺りは何か邪な気配を感じたし、行ってみる価値はあると思うよ」
「おぉ、レヴィアもそういう気配が分かるのか。すまないが、レヴィアもユーリも宜しく頼む」
エリラドの街の中心部から、街の外れの方にある、ボロボロの家が並ぶ区画へ移動する。
そういえば、先程助けた少女は無事に保護されたのだろうか。
そんな事を考えながら、寂れた通りを歩いていると、ニヤニヤと笑みを浮かべた五人組が近付いて来た。
「よう、兄ちゃん。その抱っこしてたり、おんぶしていたりするのは、二人とも妹かい?」
「もしも路頭に迷っているなら、俺たちが良い所へ案内してやるよ」
「そうそう。兄ちゃんも飯にありつけて、妹たちも幸せになれる……とっても良い場所だぜぇ」
おっ! こいつらはもしや、闇ギルドのメンバーか?
まさか、向こうから声を掛けてくれるとはな。
「あぁ。ちょっと困っていて……」
「ちがうもん! ユーリは、パパのむすめだもん!」
「レヴィアたんも、妹じゃなくて恋人なの!」
えーっと、俺が話を聞くふりをしようとしたのだが、ユーリが叫びだし、それに対抗するかのようにレヴィアも大きな声をあげる。
……うーん。俺の年齢で娘が居る事が不自然だからか、男たちがヒソヒソと何やら話し始めたんだが。
しかし、せっかくのチャンスなので、ここから何とか軌道修正出しなければ。
先ずは男たちの出方を伺っていると、
「えーっと、まぁその、人の趣味はそれぞれだから俺たちは何も言わないが、そっちの娘を幸せにする方法があるんだ。とりあえず、向こうで話をしないか?」
「その、恋人だという青髪の幼女は、若干値打ちが下がるが……いや、慣れているから逆に喜ばれるかもしれないな。うん、そっちの恋人も幸せになれるぞ」
「……アニキ。もしかして、コイツは利用者側では? いやでも、何年掛けたかは分からないが、ここまで青髪の幼女を服従させている腕は凄いから……いっそ、スカウトするのもアリでは?」
何だか話がおかしな方向に向いていないか!? スカウトって何だ、スカウトって。
いやまぁどっちにしろ潰すつもりなので、結果は変わらないんだが。
「まぁ兄ちゃん。とりあえず、来なよ。な?」
「そうだな。一先ず話を聞かせてもらおう」
「おー、そうしな、そうしな。兄ちゃんにも、娘や恋人さんたちにも悪い話じゃないからよ」
よし。これで闇ギルド……か、それに関する建物に案内してもらえるな。
先頭を歩くリーダー格の男の後をついて行き、別の男二人が俺の左右を。更に残りの二人が俺の後ろを歩き、逃がさないぞ……という気持ちだけは伝わって来る。
まぁ本気を出せばいつでも逃げ出せるが……それはさてき、後はついて行くだけなのだが、
「ごふぅっ!」
「今のは……おい、どうした? 何が起こったんだ!? アイツは何処へ行った!?」
リーダー格の男が騒ぐ中、後方を見渡すと、俺の後ろに居た男の一人が遥か後ろへ吹き飛んで居た。
俺は何もしていないのだが……位置的にレヴィアか?
「……レヴィア。何かしたのか?」
「レヴィアたんのスカートの中を覗こうとしたから、かなり手加減して蹴った。ダメ?」
「……いや、それは仕方が無いな。えーっと、俺たちにどういう話を紹介してくれるのかは知らないが、変な事はしないように頼む」
うん。流石にこれは俺もレヴィアに我慢しろとは言えないし、言う気も無いな。
「す、すまなかった。とりあえず、もうすぐそこだから、気を悪くせずに来てくれ」
「……おい、あのバカを後で殴っとけ! ったく、商品に手を出そうとするなって、いつも言っているだろうが」
「……しかしアニキ。ふ、吹き飛び過ぎじゃないですかね?」
一先ず、後ろの男が悪いという事で収まったので、そのまま歩いて行く事になった。
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