第40話 村の探索の再開と、シラフに戻ったシェイリー
「じゃあ、今日も村の探索に行くか」
昨日、シェイリーに教えてもらった村を調べていて、オークの肉を手に入れる事が出来た。
オークは二足歩行の豚なので、アサシン・ラビットとはまた違い、煮ても焼いても旨い。
そんな豚肉を補充……じゃなくて、新たな魔物を見つけ、強くなる為に村の跡地へ行く事に。
今日も全員で地下洞窟へ入り、先ずはシェイリーの社まで来たのだが、
「あれ? シェイリーは居ないのか?」
何故かその姿が無い。
特に用事がある訳ではないのだが、何かあったのだろうか。
「昨日、お酒に酔って醜態を晒したから、顔を出せないんじゃないの?」
「エリー殿が、くどくどと説教をしたからでは?」
「くどくどって……あー、うん。全然反省している感じが無かったから、結構言っちゃったかも」
「えぇ、長かったですよ。……物凄く」
モニカが顔をしかめているが、昨日そんな事があったのか。
エリーがモニカとシェイリーを引きずって、何処かへ行ったっきり帰ってこなくなったから、残されたニナとリディアとで、次の定期連絡で何を送ってもらうかを話していたんだよな。
ちなみに、ニナは大きな鞄があると助かると言っていて、リディアは石鹸やタオルが欲しいと言っていた。
前に石鹸やシャンプーなんかの類は送ってもらったんだけど、女性が多い事もあって、消費が激しいからな。
そんな話をしていると、
「シェイリーちゃんは、あの中に居るんじゃないのかなー? ニナ、見てくるー」
止める間も無く、ニナが社に近付き、中を覗き込む。
……こういう何かが祀られている場所って入って良いのか? と思っているうちに、ニナが戻って来た。
「あのねー。恥ずかしいから、そっとしておいて欲しいって」
「そ、そうか。まぁ無事なら良いか」
「うん。中で頭を抱えて、あぁぁぁ……って言いながらゴロゴロ転げ回ってたから、元気だと思うよー」
果たしてそれは、元気と言うのだろうか。
まぁ、またシェイリーが好きそうな物でも持ってきてあげよう……って、酒か。
とりあえず、また今度考える事にして、進路を西へ。
程なくして昨日の村が見えてきたのだが、
「≪石の壁≫」
突然リディアが俺たちの前に壁を作り出す。
その直後、何かがぶつかる様な大きな音が連続して響き渡る。
「アレックスさん! 村の前に大量のオークが居ます! おそらく、投石機的な物で岩を飛ばして来ているのかと」
「分かった。エリー、この距離からいけるか?」
「単体攻撃なら。範囲魔法だと、もう少し近付かないと」
「分かった。俺がエリーを守りながら突撃する。リディアはここで遠距離攻撃に対する防御を。モニカとニナは、ここに近付いてきた魔物を倒してくれ」
念の為にエリーへ防御スキルを再度使用すると、タイミングを見計らって走り出す。
盾に照明を灯している事もあり、俺に向かって集中砲火が来るが、
「≪アイアン・ウォール≫」
敏捷性を犠牲にして防御力を高めるスキルを使用して、きっちり防ぐ。
両腕で盾を支え、攻撃を凌いでいると、投石が止んだ一瞬に、俺の背後へ隠れていたエリーが飛び出した。
「オークのくせに、投石なんて……≪ブリザード≫」
エリーの範囲攻撃魔法でオークの群れが凍りつき、飛んで来ていた石も落下していく。
だが、かなりの数が居るらしく、数は減ったものの、投石が再開されたので、
「エリー、もう少し前に行けるか?」
「えぇ。アレックスと一緒なら大丈夫っ!」
更に村へ近付き、エリーの魔法でオークを殲滅すると、念のために投石機も破壊した。
これで投石攻撃は無くなったと、安堵したところで、
「お兄さんっ! 助けてっ! モニカが大変なのっ!」
背後からニナの叫び声が聞こえてくる。
何事かと後ろに目をやると、モニカが使っているであろう炎の魔法に、普通よりも二回り程大きなオークの姿が映った。
おそらく、アイツがオークのボスなのだろう。
「陽動だとっ!? オークがっ!? 投石機の使用といい、どうなっているんだっ!?」
通常、オークは食欲と性欲しか考えない、本能だけで生きている低能な魔物のはずだ。
ところが、投石器を使用したり、陽動で俺たちを分断してきたりと、不可解な事が多い。
しかし、今はそれを考える時ではなく、とにかくモニカたちを助けなければ。
大急ぎで引き返していると、
「アレックス……あれって、もしかしてオークキングじゃない!?」
「オークキング!? あの、S級モンスターの!?」
エリーが巨大なオークの正体に気付く。
だが、オークキングが居ると言う事は、
「えぇっ!? モニカ、どうして剣を捨てちゃうのっ!?」
くっ、やはりか!
オークキングの側に居ると思われる、闇魔法を使う魔物――オークメイジによって、モニカが混乱状態に陥ってしまったようだ。
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