第264話 闇ギルドに所属した者の末路?

 最初の部屋の男たちを動けなくした後、念の為にパラディンの上位スキルで皆を守り、次の部屋へ。

 中には牢屋のように鉄格子があり、その中で全裸の女性が、無表情で床に座り込んでいた。


「大丈夫か。自警団の者だ」

「……自警団!? 助けに来てくれたの!?」

「あぁ、そうだ。ちょっと待っていてくれ…… ≪ホーリー・クロス≫」


 鉄格子の鍵を破壊すると、


「アレックスさん……それ、普通の剣ですよね? どうして鉄が斬れるんですか!?」

「ん? あぁ、ニナが……ドワーフの少女が鍛冶師のスキルで剣を強化してくれたからな」

「父上。それでも、普通の剣で鉄を斬るなんて……こほん。あの、その鍵のような簡単な物でしたら、私が開けられますので、お任せ下さい」


 ジュリが驚き、ツキに呆れられたが……二人ともニナの凄さを知らないようだ。

 普段、俺や俺の人形が使っている農具は、全てニナが強化してくれているからな。

 元々、魔族領の土は固かったが、あの農具のおかげでサクサク耕せるようになったんだ。

 そんな事を思いつつ、鉄格子を開くと、


「ありがとうございますっ! この御恩は一生忘れませんっ!」

「あぁっ! アレックスさんにっ! ズルいっ!」

「パパー! ユーリも! ユーリもチューするー!」


 中から出てきた女性に抱きつかれ、頬にキスされたため、ジュリやユーリたちが自分にも……と迫ってくる。

 いや、他の部屋も調べないと……ユーリの唾液で若干ベトベトになりながら、女性の事をジュリに任せ、次の部屋へ。

 先程と同じように女性が囚われていたので助けだし……この街はお礼がキスだというルールでもあるのか!?

 その都度、ユーリが真似をして……って、待った! 一人、舌を入れてきたっ!


「アレックス。身体が光ったポン……あ、さっき助けた女性たち全員と子作りしたら、スキルが沢山増えるポン」

「いや、しないから。そういう目的で助けた訳じゃない」


 とりあえず、六人の女性を助けたところで、一番奥の部屋に入ると、


「誰だ?」

「自警団の者だ。お前がここのボスか?」

「そうだ。何者かは知らぬが、俺は……ぐはぁっ! おい、待て! 最後まで話を聞け!」


 大きな机を挟んで男が座っていたので、とりあえず殴っておいた。

 机が無ければ追撃したのだが、一撃で吹き飛ばし過ぎたか。


「話なら、他の部屋の奴らに聞いた。お前から聞く事は無い」

「チッ……死んでから後悔するんだな! ……ケルベロスっ!」


 突然男が大声で叫び声を上げると、横手で何かが動く気配がある。

 どうやら壁が開いたらしく、その奥に大きな何かが居て……口から炎が出ているのが見えた。


「ツキ! ユーリを頼む! 全員部屋から出るんだ!」


 ユーリをツキに渡し、マミとツキが外へ出たところで、向こうの部屋から炎が放たれる。


「はっはっは! 闇ギルドで飼っているケルベロスの炎はどうだ!? ノコノコとこんな所へ突入してくるなど、愚の骨頂! さて、逃げた奴らは子供ばかりではあったが、一応女だ。仮に売り物にならなかったとしても、俺様が毎晩可愛がってやる……」

「≪ホーリー・クロス≫」

「ほぉ。ケルベロスの炎に焼かれながら、最期の力を振り絞ったのか? だが、ケルベロスは三首の犬。仮に一つの頭を潰せたとしても、残りの……な、何ぃっ!?」

「ふむ。一撃か……ケルベロスは聖属性が弱点だったのか? まぁいい。さて、次はお前だな。抵抗する気がなければ、動きを封じるだけで済ませよう。そうでなければ、少々痛い目にあってもらおうか」

「ふっ……け、ケルベロスを倒したのは見事だ。だが、我々ギルドを舐めない方が良い」


 そう言って、男がどこかで見た事のあるビンを取り出し、一気に飲み干した。


「ふふふ……後悔するが良い。俺は人間だが、この闇ポーションを飲むだけで身体が大きくなり、獣人のような強力な身体能力が……げふぅっ!」

「それは、この前見た。あと、謝るなら早めにしておけよ。でないと……あ、来た」


 マミやツキが来たので、閉鎖スキルを使って男を動けなくすると、


「ぷ……小ちゃいポン」

「可哀想ですね。男性なのにアレがこんなに小さいなんて。あ、ユーリちゃんはアレを見ちゃダメだからね?」

「ん? みんな、おまたをみてるけど、なにもないよー? パパには、ふとくて、おおきなロープみたいなのがあったのにー」


 マミとツキとユーリによって、割と最近見た光景が繰り返され……男が三角座りで落ち込んでしまった。

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