挿話42 常識についていけず、困り果てるマジック・エンジニアのソフィ
完成。任務遂行完了。
マスターから魔力をいただき、依頼されていた、地下から水を吸い上げる魔法装置を完成させた。
しかしそれにしても、マスターにいただいた魔力の塊を飲んでから、すこぶる調子が良い。
起動時に調整された、魔力摂取効率が最も良い方法という事は確かなのだが、それによって作業速度が上がったりする機能は無かったはずなのだが……魔力をいただく際、目隠しされた事に何か秘密があるのだろうか。
「あ、ソフィ。魔力は大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。マスターが魔力をくださったので、まだ暫くは。あと、ご依頼いただいたポンプも完成しております」
「早いな。流石ソフィだな」
夕方になり、外で仕事を終えられたマスターが私の様子を見に来てくれて……頭を撫でてくれた。
うん、マスターに褒められるのは嬉しい。
それから、リディア様とエリー様が作ってくださった食事をいただく。
私としては、マスターから魔力さえきただければ良いのだが、せっかく私の分が用意されているのだ。変換効率は悪いが、食事から魔力を摂取する事も出来るので、無駄ではない。
「じゃあ、風呂へ行くか」
夕食の後片付けが終わると、皆でお風呂へ……って、何故マスターと一緒に女性全員が脱衣所へ?
……そういえば、初めは全員全裸でしたね。一緒にお風呂へ入るくらい普通なのでしょう。
という事は、私もマスターと一緒に入るべき!?
し、しかし……私に設定されている常識が男性の前で裸になるのを拒む。
だけど、私はマスターの側に居るべきで……
「ソフィ。べ、別に無理して一緒に入らなくても良いんだぞ? 後でゆっくり入ると良い」
「い、いえ。ですが、マスターのお側に……」
「風呂に入っているだけだし、何も起こらないよ」
「か、畏まりました。ご配慮、ありがとうございます」
一先ず、今日の所は私だけ後でお風呂へ入る事に。
変態の集団……もとい、異性の前で裸となる習慣に早く慣れなければ。
とりあえず、待っている間に、汚れた衣類を集め、洗濯を……って、洗濯装置が無い!? まさか、この量を手洗いしているの!?
……次に開発する魔法装置が決まりましたね。マスターにご提案しないと。
「……んっ」
洗濯物の量から、どれくらいの性能の装置にすべきか考えていると、浴室の中から、変な声が聞こえてきた。
何かあったのかと思い、浴室の中をそっと覗いてみると、
「……!?」
マスターが二人居る!?
ど、どういう事っ!?
一人のマスターは、浴槽の蓋に座り、ノーラ様を抱きしめ、口付けを交わしている。
……けど、その下でフィーネ様がマスターの男性のアレを口に含んでいるのは何!?
あ、何か飲んだ。……まさか、尿を飲んだの!?
そんなの無理っ! 私、絶対に無理なんだけどっ! 確実に体内の魔法装置が異常をきたすわよっ!
もう一人のマスターは、メイリン様のお尻に腰をぶつけている。
いや、逆かな? マスターの腰に、メイリン様がお尻をぶつけているのか。
そのマスターのお尻に、モニカ様が顔を近付けているんだけど、一体何を見ているの!?
ダメ……理解不能だ。
やはり、設定されている常識と異なる事が多過ぎる。
脱衣所へ戻り、暫く待っていると、
「ソフィ、すまない。待たせたな」
「い、いえ。大丈夫です」
マスターが戻ってきた。
一人しか出て来ていないという事は、中にもう一人……あれ? 居ない!?
マスターが出ていかれたので、訳が分からないまま、一先ずお風呂へ。
急いで汚れを落として、マスターの元へ……って、このお湯に浮いている白いのはなんだろうか?
所々に白い謎の物質が漂っているので、それを木桶で除きつつ、再び脱衣所へ……って、着替えが無かったーっ!
洗濯していない服を着るのは少し抵抗があるけど、仕方がない。
明日、マスターに着替えをいただけないか聞いてみよう……って、寝室にマスターが居ない?
しかも、先程お風呂から上がったばかりだというのに、全員既に熟睡している!?
よく見れば、マスターだけでなくフィーネ様も居ない。
何処へ行ったのかと思っていると、別の小部屋から、フィーネさんの声が聞こえてきた。
少しだけ扉を開けて、中を覗いてみると、
「アレックス様ぁー! 凄いですぅーっ! もっと、もっとフィーネに……」
ベッドで寝転ぶアレックス様の上に、フィーネ様が座って、グネグネとお尻を前後に動かしている。
これは何? よく分からないけど、ちょっとドキドキしてしまう。
一先ず、邪魔しない方が良さそうなので、謎の行為が終わるまで、部屋の外で待機する事にしたけど……凄く長い。
時々フィーネ様が大きな声を上げられ、ぐったりされるのだけど、暫くすると似たような事を繰り返す。
……マスター、指示をっ! 私はどうすれば宜しいのですかっ!?
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