第254話 ポーションの材料
「す、凄い! たったこれだけの量なのに、アレックスさんに魔力を分けてもらっているみたいに回復してきます!」
「せやろ? それくらいの量やったら、リディアはんでも飲めるやろうし」
「えぇ。というか、味がとても良いので、むしろもっと飲みたくなってしまいますが」
レイが作った白いポーションを飲んだリディアが、魔力が回復すると言い、その上美味しいと。
なるほど……。
「リディアは魔力が回復したのか」
「はい……あら? アレックスさんは回復しないのですか?」
「そうなんだ。しかも、美味しいとも思えなくて……味を感じないんだ」
どういう事だろうか。
リディアもレイも魔力が回復すると言っているし、俺の方がおかしいのだろう。
しかも味を感じない……って、何か変な物でも食べたか?
今日は、朝にナズナのアレが口に……いやいや、昼食は普通に美味しく食べたし、何が原因なんだ?
「ふーん……このポーションは、アレックスはんには効かへんっちゅー訳か。……本人やからかな?」
「ん? レイ。本人とはどういう意味なんだ?」
「え? えーっと、実はこのポーションの材料に、アレックスはんのアレとユーディットはんやモニカはんの聖水を使っていて……」
マジかぁぁぁ。
いや、ほぼ毎日女性陣に飲んでもらっている……というか、飲まれているのだから、身体に悪い訳ではないのだろう。
だが、その何というか、自分のアレかぁぁぁ。
あと二人の聖水も、作り方が独特過ぎる訳で。
俺はユーディットやモニカのアレを飲むような変態ではないんだぁぁぁっ!
「……スはん! アレックスはん!」
「アレックスさん、ご気分が優れないのですか? 大丈夫ですか?」
「え? すまん。色々と考え事をしていたようだ」
気付けば、レイとリディアが俺の名を呼びながら、物凄く心配そうにしていた。
「えっと、あくまで材料の内の一つであって、もちろん他にも薬草とか色々入っているから、あんまり気にせんといて欲しいんやけど」
「そ、そうだな」
「とりあえず、女性に効果があるのは間違い無さそうやから、男性のデータが欲しいなー。アレックスはん。ウチの人形を南の街へ連れて行ってくれへんか? ここやと、アレックスはんと、その人形しか男性が居らへんから確認出来へんねん」
「これを、街の人に飲ませるのか?」
「さっきも言ったけど、あくまでアレの成分を使ってるだけやから。決して変な事にはならへんて」
レイやリディアというか、俺とそういう関係にある者はともかく、無関係の人に飲ませて効果があるのだろうか?
いや、それを確認する為に飲んでもらうのか。
とりあえず、何から出来ているかを言わなければ良いのか?
「アレックスはん。とりあえず、これでも飲んで落ち着いて」
「すまん。……って、これ水じゃないな。何なんだ? 身体が熱く……って、レイ。まさか……」
「あははは……この薬の試作品でアレを使い過ぎてもーてん。悪いんやけど、材料の提供に協力してーな。あ、大丈夫。ウチの人形に、応援を呼びに行かせたから」
レイが俺に飲ませたのは、予想通り精力剤だったらしく、意識が飛びそうになる。
「アレックスー! 本気のアレックスに抱いてもらえるって聞いて来たんよ……わぉ! 既に凄い事になっているんよ!」
「カスミちゃん、参上っ! 朝のが本気じゃなかったのねー。お母さん、楽しみだわー!」
「母上。いくら母上といえども、本気のアレックス様は……って、リディア殿!? 気を確かに! 一人で猛獣モードのアレックス様に挑むなど、無謀過ぎるっ!」
ヴァレーリエやサクラの声が聞こえて来た所で、自分でもわからないが、何故か俺は分身スキルを使い……意識を失った。
……
「ぉぉぉ……しゅごい。ウチのお腹の中が……」
「マスター。もっと早く私を呼んでいただきたかったです」
「ひゃぁぁぁ……こ、これが男の人なんだ。お、お母さん! サクラお姉ちゃんと、ツバキお姉ちゃんがピクピクして目を覚さないよぉーっ!」
気付いた時には、ヴァレーリエが俺の上でビクンビクンと涙目で痙攣していて、ソフィが二体の分身を相手にしていた。
一方で、ナズナが部屋の外からこちらの様子を恐る恐る伺っているのだが、足下に謎の液体が溢れているのは何だろうか。
「ナズナちゃん。アレックス様は凄いわよっ! メイリン様の夫に相応しいわぁ」
俺の影分身の相手をしているカスミは何とも無さそうだけど、とりあえずレイは後でお仕置き……と思ったのだが、既にレイも床で倒れていた。
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