第887話 ミオの捜索

 ミオと合流すべく、幼学校と呼ばれていた施設に戻ってきた。

 ミオも姿が見えてしまっているので、先程と居場所が変わっているはずだが、どこに居るのだろうか。


「……マリーナみたいにミオが子供たちと一緒に食事をとっているという可能性もあるのか?」

「アレックスー。流石にミオの年齢とは違い過ぎるよー。ここにいる人間族の子供たちは五歳くらいでしょ? ミオはもう千年は生きているよー? マリーナちゃんとは違うよー」

「えー! 年数の話をするなら、マリはもっと長いよー? えっとー……八千年? くらいは生きてるもん。年齢はまた別の話だけど」


 太陰の言葉でマリーナが口を尖らせるが、種族によって年齢の数え方が全く違うからな。

 ただ、マリーナは八歳くらいにしか見えず、先程の小学校と呼ばれる施設にいた子供たちと見た目年齢が同じだった。

 ミオがいる幼学校は五歳くらいの子供たちがいて、ミオの容姿は十歳くらいだから、流石に混ざっているという事はない……と思う。


「しかし、そうは言ったもののどこにもいないな」

「さっきの小学校? よりも狭い建物なのに、どうして見つからないんだろう? というか、五歳くらいの子供たちの姿も見えないし」

「マリみたいに、一緒にご飯を食べてるんじゃないかなー? もう夜ご飯の時間だし」


 不思議そうにする太陰に、マリーナが食事を食べているのでは? と話すが、そもそも食事を取っている感じもしない。

 先程の小学校では、物凄く騒がしかったが、より幼い子供たちが集まる場所で、静かに食事が出来るものなのだろうか。


「ここは……食堂のように見えるが、誰もいないな」

「アレックスー! 何かねー! 美味しそうな匂いが少し残ってるー! 多分、ここでご飯を食べてたんじゃないかなー?」

「あー……既に夕食が終わった後という事か」


 先程の小学校よりも、ここは生徒が幼かった。

 もっと早く夕食が始まっていたという可能性はあるな。

 それに、各学校からの移動も、それなりに時間が掛かっていたし。


「では、もう子供たちは就寝した? だが、それならミオは何処に……」

「ねーねー、お兄ちゃん。ここ、お風呂があるんだよー! 晩ご飯が終わったら、みんなでお風呂に入るから、ミオちゃんもそこじゃないかなー?」

「なるほど。では、俺は待っているから、皆で見てきてくれないだろうか」


 太陰の力で姿が見えないし、風呂なので女の子ばかりだろうから、当然俺は待っているべきだという話をしたのだが、太陰を除く三人が一緒に入ろうと言ってくる。


「えぇーっ!? お風呂に危ない人がいたらどうするのー? それに、もうアレックスと離れたくないよー!」

「お風呂……アレックス様! 是非、ご一緒に入りましょう。お身体を洗わせてくださいませ」

「そうそう。お兄ちゃん、一緒にお風呂へ入ろうよー! 私もお兄ちゃんの身体を洗いたいしー」


 マリーナはともかく、デイジー王女は王族なので普段身体を洗ってもらっている側なのでは?

 あと、少女を含めたこの三人組は俺の身体を触ろうとしないように。

 太陰が呆れているじゃないか。


「なるほど。アレックスと一緒に風呂へ入るという発想は無かった。アレックスに私の中へ挿れてもらう事ばかり考えていたよー」

「あの、入れてもらうとは? 何かの隠語でしょうか? それとも、実際に何か身体の中に入れてもらうものが?」

「あぁ、ごめんごめん。挿れてもらって、中で出してもらうっていうのが正しいかなー」


 いや、呆れているんじゃなくて感心していたのか……って、頼むからデイジー王女に変な事を教えないでくれ!


「ねーねー、お兄ちゃん。何が入るのー? 何を出してもらうのー? 教えてよー!」

「その通りです。アレックス様、私にも教えてくださいませ」

「えへへー。マリは知ってるよー! あのね、アレックスのは凄いんだよー!」


 わかった! 俺も一緒に行くから、変な事を教えようとしないでくれ!


「やったねー! じゃあ、デイジーちゃんたちには、お風呂で教えてあげるねー! 裸になった方が教えやすいし」

「ふっふっふ。じゃあ、私が見本になるから、マリーナが解説でー」

「まぁ、実演していただけるんですね? ありがとうございます」


 いや、しないから! 実演って何だよっ!

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