挿話39 魔導少女????
「警告! 魔力抽出源に異常発生。警告……」
いつものようにラボで魔法装置の開発を行なっていると、唐突にアラームが鳴動した。
魔力抽出源――ラボの南にある大きな湖で何かあったようだ。
あの湖は、このラボや私が活動する為に必要な魔力を、棲息する魔物から集める大事な場所。
開発の手を止めたくはないが、放置も出来ないので、パワータイプのゴーレムを二体連れ、様子を見に行く事に。
前に一度、人間たちが湖に棲息する魔物を倒し過ぎた事があったのだが、今回も同じではないだろうかと思っていると、灯りが見えてきた。
「貴方は黒髪の一族の関係者ではないのか?」
そこに居た人間がマスターの話をし始めた。
この人間たちは、マスターを狙う者だったのか!
まさか、私の事を知って、誘き出された!?
敵とみなし、戦闘となったのだが、
「俺はアレックス。黒髪の一族の王女の……こ、恋人だ。先ずは話をさせて欲しい」
マスターを狙っている訳ではないと言う。
音声から、嘘を吐いている訳ではないと判断し、戦闘を解除。話をしようとして……目の前の人間が裸である事に気付いた。
確認の為、人間の下腹部に目を向けると、男性のアレが! しかも、書物から得た知識上のモノとは違い、物凄く大きい!
ま、待って! 私は魔導少女。今でこそ魔力と魔法装置で生命を維持しているけと、元は普通の人間。
襲われれば、妊娠してしまう!
「防衛装置起動」
助けてっ! あんなに大きいのが私の中に入る訳ないっ!
というか、そんな事をされるくらいなら死んだ方がマシよっ!
私の言葉に応じ、昔作った防衛装置――魔導戦車が即座にやって来た。
あとは自動で人間たちを倒してくれるはず。
「魔力消費節約の為、活動停止。生命維持以外の機能を停止する」
え? な、何を言っているの!?
それは、蓄積装置に蓄えられた魔力が一定値を下回った時の……そ、そんなに魔力が少なくなっていた!?
あ……魔導戦車の消費魔力!
気付いた時には既に遅く、私の身体が動かなくなっていく。
……
突然、口から魔力の塊が注がれ、私の意識が蘇る。
だけど、これは……聖属性の何かも混ざっている!?
常日頃、魔物の魔力を動力にしていた為、私の身体を維持する魔法装置が異常をきたしている!
「復元……失敗。初期化……」
待って! 記憶を司る魔法装置がデータを読めていないっ! 初期化は止めてっ!
開発中の記憶が! 長年頑張っていた、空中に浮く……
「一部を除いて成功。再起動します」
あああ……外部の記憶データにアクセス出来ないし、体内のメモリの一部が初期化されて……いやぁぁぁっ! 私の……シャオリンとしての記憶が消えるうぅぅぅっ!
……
「再起動完了。起動魔力と一致する魔力パターンを認識。新たなマスターとして登録」
「お、おい。何を言っているんだ? 大丈夫なのか?」
「問題ありません。マスター、私に名を付けてください」
「えっ!? ど、どういう事なんだっ!?」
マスターが困惑しているけど、それは私も同じ。
何故、マスターは全裸なのだろうか。
設定されている常識では、人間は服を着る生き物のはずなのだが。
「アレックス。名前を付けてって言っているんだから、付けてあげれば? ニックネームみたいなものじゃない?」
マスターの側に人間の女性が並ぶ。
この人間も裸……もしや、今は服を着ない事が常識の時代なのだろうか。
マスターからの命名を待つ間、周囲を見てみると、周囲に居る人間たちも全員裸だ。
私は魔導少女……目立つ訳にはいかないので、人間の常識に合わせて活動する必要がある。
だから私も服を脱いで……は、恥ずかしい。
だ、だがマスターが裸なのに、私が服を着ていては変に思われてしまう。
……そうか! 私が服を着ているから、変に思われて名前を与えてもらえないんだ!
「ぬ、脱ぎます。脱ぎますから、マスターは私に名前を……」
「いや、脱がなくて良いから!」
「裸にはなりますが、どうか慰み物にするのは、少しお待ち下さい。心の準備が……」
「何の話だぁぁぁっ! 分かった! 名前を付ければ良いんだよな? えっと……じゃあ、ソフィで」
「ソフィ……名前を授けてくださり、ありがとうございます。これから、よろしくお願いいたします。マスター」
一先ず名前を付けていただく事が出来たのだが、
「アレックス。ソフィって名前は、誰から取ったの? そういえば、近所に住んで居た女の子がソフィって名前だったわね?」
「待て、エリー。誤解だ。ただ、ふと頭に思い浮かんだだけなんだ」
「ご主人様。私とご主人様との間に出来る子供の名前は何にいたしますか?」
マスターが複数の裸の女性に囲まれ、迫られている。
……なるほど。今の人間の世界は一夫多妻制……っと。
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