挿話36 タイミングが悪過ぎて混乱する、冒険者ギルド職員のタバサ

「はぁー、やっと終わったー。何なのよ、さっきの緊急会議って。どこかの国の重要人物が攫われたから探せ。だが、名前も容姿も言えない。十六歳の少女だ……って、バカじゃないの!? 十六歳の少女っていう情報だけで、どうやって探すのよっ!」


 通話魔法を用いた、冒険者ギルドの緊急会議がやっと終わったんだけど、本当に意味不明な会議だった。

 流石に、ギルドマスタークラスには、後で詳しい情報が届くんだろうけど、今のままでは冒険者に依頼出来る訳無いし、何を考えているのだろうか。


 とある国の王城で保護していた十六歳の少女が攫われた! 世界を揺るがす大事件だ……なんて言っていたけど、流石にそれは大袈裟で、話を盛り過ぎよね。

 しかも、探せって言っておきながら、捜索に関わって良いのは女性だけっていうのも意味不明だし。


「……っと、愚痴ばっかり言っていても仕方ないわね。突然の会議のせいで遅くなっちゃったけど、流石にまだアレックスさんたちは寝てないわよね?」


 いつもとはかなり時間が違うけど、きっと夕食を済ませてまったりしている頃かな?

 通話魔法でアレックスさんたちの所と音声を繋ぐと、


「こほん。アレックスさん、未だ起きてらっしゃ……」

「ほら、こうすると、これが大きくなってきただろ? で、これをここに挿れるんだけど……」

「待って。こんなに大きいの、こんな所へ入らないよっ!」


 変な会話が聞こえてきた。

 一体何の話をしているのだろうか。

 随分と幼い、子供みたいな声に思えるけど……一人はモニカさんかな?

 もう一人はエリーちゃんっぽい気もするけど、声が凄く幼いからフィーネちゃんかもしれない。

 とりあえず、私の声に気付いてもらうため、もう一度話し掛けようとして、


「もちろん、そのままでは無理さ。だから、こうして……んんっ!」

「えっ!? そ、そんな所を舐めてもらうの? き、汚いよ」

「んぁっ……だ、だけど、お嬢ちゃんも、これを舐めるんだから、おあいこだって。ほら、こうやってお互いのを……ひぁぅっ! ほ、ほら、先ずはやってみな」


 思わず声を飲み込んだ。

 ま、待って。声は二人しか聞こえてないけど、それ以外にピチャピチャって変な音が聞こえてくる。

 それに加えて、時々聞こえるモニカさんと思われる嬌声。

 これってもしかして、モニカさんがフィーネちゃんにアレックスさんへの奉仕の仕方を教えているのっ!?

 モニカさん! フィーネちゃんはジョブを授かったばかりで未だ十五歳なのっ!

 そんな事をさせるのは、流石に早過ぎるわよっ!


「あ……あっ、あっ、あーっ! へ、変だよっ!? 私、何か変に……」

「いいよ。今の気持ちに身を委ねて……ふふっ、そうそう。素直になれば良いんだよ。初めての事でビックリしているみたいだけど、次はもっと凄いよ。じゃあ、いよいよ今の場所に、これを挿れるからね」

「……ちょ、ちょっと待って! そこは今……だめーっ! お、おかしくなっちゃうっ!」


 も、モニカさんっ!? アレックスさん!? ふ、二人掛かりでフィーネちゃんを!?

 これはもしや、エリーちゃんとモニカさんだけでは、獣状態のアレックスさんを抑えきれなくなってしまったという事なの!?

 うぅ……アレックスさんなら、エリーちゃんとモニカさんが居るから、フィーネちゃんには手を出さないと思ったのに。


「あ……お腹の中が熱い。これって、何か出てる?」

「良かったでしょ? これから、毎晩するからね」

「はい……あ、もう一回するの? うん……お、お願い」


 え……ま、待って。しかも、中で!?

 しかも、毎晩……というか、まだするのっ!?

 これ以上は聞いてはダメ――というか、既に聞き過ぎてしまったと反省しつつ、通話魔法を終了させる。

 どうしよう。あの様子だと、フィーネちゃんが妊娠しちゃう。

 というか、モニカさんやエリーちゃんも妊娠すると思われる。


「え、えっと、先ずは定期便の中に子供服を……じゃなくて、お祝いの品が先? 違う違う! お、落ち着いて、私」


 妊娠した事ないから分からないけど、何が必要なんだろう。

 とりあえず、治療院とかがある街へ帰してあげるのが一番なんだろうけど、召喚魔法を使える賢者様が多忙過ぎて今は無理。

 流石にエリーちゃんたちのご両親を魔族領へ送る事は出来ないし……冒険者ギルドとしては、何かあった時の為に、プリーストを派遣すべき!?

 つわりはキツいって噂で聞いた事もあるけど……プリーストが居れば、つわりを軽減出来たりするのかな?

 というか、そもそもつわりって、どのくらいから発生するの!?

 一先ず、エリーちゃん、モニカさん、フィーネさんの事を知っているプリーストは……ステラさんだ!

 ステラさん、助けてぇぇぇっ!

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