第395話 エンドレスなアレ

 結界の中のカスミは諦めたのか、何もしようとしない。

 とはいえ、カスミの事だ。

 俺の知らない奥の手があるかもしれないし、早く何とかした方が良いだろう。

 しかし、六人の女性に話を聞いてみたが、衣類以外に所持品は特に無く、俺も剣と盾に、財布くらいしか持っていない。


「お父さん。メイリンお母さん経由で、レイさんに話を聞いてみたんだけど……」

「おぉ、助かる。何か言っていたか?」

「う、うん。その、お父さんのアレを飲ませると治る可能性が高いって」

「何故、そうなるんだ……いや、そんな事を言っている場合ではないか。すまないが皆、手伝って欲しい。あ、エリスは目を瞑っておくように」


 以前にも、誰かにアレを飲ませて回復した事が……いや、考えるのは後だ。


「≪複製≫……この中で、協力してくれる者が居たら、助けて欲しい。勿論、俺から強制なんて事は……は、早いっ!」


 六人の女性たちの動きを封じていた閉鎖スキルを解除し、複製スキルを使って全裸の俺が六体現れたところで……襲われた。

 あ、二体の分身まで襲われ……それはさておき、俺はジト目のカスミの所へ行くと、


「カスミ、悪い」


 暴発寸前のアレを口へ。

 女性たちが必要以上に頑張ってくれているので、大量に……って、頑張りすぎじゃないか!?

 だが、その甲斐あってか、暫くするとカスミの目に光が灯る。


「カスミ、大丈夫か? ……いや、もう離して良いから。咥えずに答えてくれ」

「大丈夫よー。それより、次はこっちへ……」

「いや、それより馬車の手綱を頼む」


 一先ず、馬車が停止し、俺も複製スキルを解除したのだが……二体の分身が襲われてるっ!?

 いや、とりあえず話が先か。


「カスミ。何があったんだ?」

「わからないの。気付いた時には、お兄さんの大きなアレが喉の奥まで来ていて、凄い量の……」

「分かった。とりあえず、向かわせた分身は解除しておいてくれ。まだ相手の馬車は近くに居るのか?」

「んー、それがねー……見当たらないのよねー。分身を解除する前に、もう少しだけ周囲を調査するわね」

「いや、それは大丈夫なのか? また同じ事にならないか?」


 再び同じ攻撃? を受けないか心配したのだが、


「じゃあ、こうしましょー。カスミちゃんが、お兄さんのを咥えて、飲みながら分身で周囲を探るの。お兄さんは幾らでも出せるから、カスミちゃんのお腹がタプタプになるまでは、これで大丈夫のはずよっ」

「……それはそれで、どうなんだ?」


 今からあの場所へ戻るには時間が掛かりすぎるし、カスミの言う通り、咥えてもらいながら、分身に周囲を探ってもらう事に。

 現在、カスミの分身その一が、攻撃された周辺を。その二がこの馬車の周辺を調べ、その三が、


「この辺りには居ないみたいねー。もう少し調べる範囲を広げるわねー。あ、お兄さん。カスミちゃんの胸とか触ってくれると嬉しいなー」


 俺のを飲んでいて喋れないカスミ本体の代わりに、状況報告をしてくれている。

 三体の分身を使ってバラバラの事を……俺には到底無理だな。


「……って、違う! 四体目……子供たちの方はどうなっているんだ!? 俺の分身は……」

「あ、えっとね。乗客の見知らぬ女性が嬉しそうに綺麗にしてくれているね。子供たちはキョトンとしているから大丈夫じゃないかなー?」


 いや、大丈夫じゃないだろ。

 というか、その乗客もどうなんだ?


「ちなみに、他に乗客は?」

「居るけど、女性だから大丈夫よ。一人で三本のアレを咥えた女性を羨ましそうに……あ、一人が一本譲ってもらったわね」

「いや、流石に止めてくれよ。関係ない人たちなんだろ!?」

「そうだけど……あっ! 居たっ! さっきの馬車っ! お兄さん、今から分身を向かわせるから、どんどん出して! カスミちゃんに変な事をしたんだから、絶対に許さないんだからっ!」


 先程カスミに状態異常を掛けた奴か。

 どんな手を使ったかは分からないが、先程と同じ事は避けなければならない。

 つまり、俺が出し続ける必要がある。


「≪複製≫……すまない。皆、協力してくれっ!」

「ご主人様ぁ。悦んでお手伝い致しますぅ」

「お兄さん。そういう事ならカスミちゃんにもっ! こっちへお願いっ!」


 絶え間無く出す為に、十二倍でかつ分身たちを鬼畜モードにすると、


「お、お兄さん。それは流石に凄すぎて……た、戦えないわよぉ」


 俺と複数人の分身を相手にするカスミからストップが掛かってしまった。

 カスミを守る為……とはいえ、鬼畜モードはやり過ぎだったようだ。

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