第596話 総力戦

――分身のレベルが二になりました――

――複製のレベルが二になりました――

――自動行動のレベルが二になりました――


 使用したスキルのレベルが連続して上がったのだが……今のところ、レベルが上がった事により、何かが変わったという感じはしない。

 一から二は、変化が小さすぎて感じる事が出来ないのか、十くらいまで上がったら、突然変化するのか。

 まぁ要は本当にいつも通りな訳で。


「んっ! ……マスター! もっとお願いします! 島を宙に浮かせるのです。魔力が沢山――っ! そ、そう! もっとですぅぅぅっ!」

「ソフィちゃんは流石ねー。二本刺しされながら、お兄さんにおねだりしたかと思えば、三本目を咥えながら、魔導装置の調整までするなんて。これは負けていられないわね」

「聞くところによると、あのエルフのお嬢ちゃんも、アレックスの子供を授かったらしいんよ。ウチも、早くアレックスと子供を作るんよー!」


 ソフィ、カスミ、ヴァレーリエがいつも通り激しく攻めて来る横で、


「母上たちに負ける訳にはいかないな。我々も本気でいくぞっ!」

「ふふふ……いつも姉上の不意打ち感覚同期によって、私がリザードマンの村でどれだけ恥をかいたか。いや、それよりも感覚同期ではない、アレックス様のコレ! あぁぁぁっ! やっぱり本物は凄いぃぃぃっ!」

「そうだよー! ツバキお姉ちゃんの言う通りで、サクラお姉ちゃんは突然過ぎるよー! 潜入任務で天井裏に潜んでいる時に、あんなに凄い感覚に包まれて、大変だったんだからー! ……それはそうと、アレックス様の。凄くなってるーっ!」


 サクラ、ツバキ、ナズナによる三姉妹アタックが繰り広げられる。

 まぁその、やっぱりサクラの感覚同期スキルは色んな意味で危険だよな。


「えーっと、アレックスー。これは、一体どういう事なのー? 皆は何をしているのー?」

「え!? いや、その。魔力を……」

「魔力? 確かに、アレックスから生えてる大きな棒から出てる白いのに、魔力を感じるー! これを咥えて飲んでる人とか、串刺しみたいになっている人とか……っ!? 何これ、美味しい! アレックスー! 私も、私もー! 皆と同じよーにしてー!」

「いや、待ってくれ。玄武は……まぁ成人してるか。というか、神様だし、青龍と同じくらい生きているか」

「んーとね。青龍より、私の方が沢山生きてるよー! それより、早くー! えっと、こう……か、なっ!?」


 シェイリーより年上という事は、まぁいろいろ大丈夫なのだろう。

 ただ、容姿は同じくらいの年齢に見えるものの、精神年齢は玄武の方が幼そうな気もするが。


「お兄さーん! ニナもニナもー!」

「お兄ちゃん、ボクも抱っこしてよー!」

「アレックスさん。僕にもお願い!」


 玄武の様子を見たニナ、ノーラ、コルネリアたちが、混ぜて欲しいとやって来た。

 というか有無を言わさず、ノーラが俺に抱きついてきてキスをすると、


「そ、それも皆やっていたよねー! あ、アレックス……私も。私も、それしたい……っ! な、なんだろう。すっごく、幸せな気持ちになれるね」


 玄武に舌を絡められると……物凄く身体が熱くなる。

 見た目は幼くとも、やはり物凄い力を持っているのだろう。

 まだ何かはわからないが、強力なスキルを得た気がする。


「お兄さんは、やっぱりそっちの趣味なんだね。おっけー! 幼い姿になるから、全力でしてねー!」

「アレックス様! フィーネが頑張れば、ここに住む人たちが救われると聞いております。フィーネ……本気で頑張りますねっ!」

「うふふ……アレックスさん。これは、人助けなんです。ですから、神様ももっとせよと仰っています。だから、もっと~~~~っ!」


 何を勘違いしたのか、テレーゼが夢魔族の力で幼女の姿になり、フィーネとステラが凄い速さで……いやあの、誰か俺の身体をいたわってくれないだろうか。

 だが、第一魔族領を浮かせる為にと、妊娠していない女性陣の大半が来てくれている。

 まさに総力戦といった感じなのだが、これなら彼女もきっと来てくれているはず!


「アレックスさん! 大丈夫ですか?」

「イネス! 探したよ! やっぱり来てくれていたのか!」

「はい! こちらのちょっと雰囲気の違うアレックスさんのも、凄いですぅー!」


 いや、イネス! 頼むからマッサージを! 俺の腰も助けてくれぇぇぇっ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る