第109話
ノギスは一旦距離を取り構える。
切り札ってやつを使うつもりだろう。
まぁ関係ないけどな。
それごとぶっ飛ばすと決めたから。
「思い知るがいい。これが俺の切り札だっ!『狂化』」
ノギスが赤く光る。
それまでの身体から立ち昇るような光り方ではなく、身体全体から光を放つ。
そして光が収まると、先程までと同じく身体から赤い光を放っている状態になる。
違うのは身体つきと目だ。
身体は今までよりも筋肉が盛り上がっているように思える。
単純に身体能力の向上に直結しているだろう。
しかし1番印象的なのは目だ。
目が白くなっている。
黒目が見当たらず、どこを見ているのかわからない。
そして自我もどこかに置き忘れてきたようだ。
ただ戦闘だけを求めるまさに狂戦士になったようだ。
ノギスはその場から一瞬で俺の目の前に移動してきた。
そのまま剣を横なぎに振るう。
先程までとは膂力が違い、剣で防ぎはしたが身体ごと持っていかれる。
地面を転がって体勢を整えてノギスと再度対峙する。
ここまで能力が爆発的に上がるのなら確かに切り札と言ってもいいだろう。
しかしこの程度か。
この程度なら‥
こっちの切り札は使わなくてよさそうだな。
確かに強い。
膂力やスピードは2倍くらいになってるんじゃないだろうか?
しかしあくまで素の能力の2倍だからな。
地力がもっと強ければヤバかったかもしれないが、現時点では火と風のエンチャントを使えば完全に押し負ける事はないだろう。
それに技術のない、ただの力任せの剣術には隙がありすぎる。
ノギスは俺の姿を認識すると、また正面から突っ込んできた。
上段から剣を振り下ろす。
それを自身の剣で一旦受け止め、そのまま剣の角度を変え力を下に逃す。
ノギスの剣は地面に突き刺さり、俺の剣は一旦ノギスの剣を受け止めた反動で勢いが増した。
そのまま剣の腹を、ノギスの顔面にぶち当てる。
俺の力とノギスの力が合わさった力で顔面を叩かれ、首の骨が折れるかのような勢いで顔面がへしゃげる。
やばっ!
死んでないよね?
「ぐがっ」
おっ?
大丈夫のようだな。
身体能力が上がった事で頑丈になったんだろうな。
ムカつきはしたが、死んだらナーシスが悲しむだろうしな。
それに今の一撃でだいぶスッキリした!
ノギスは痛みに耐えている。
まだ意識は戻ってないのか?
とりあえず意識が戻るか気絶するまでぶっ叩いてやるかな。
もっとスッキリするだろうし。
自分の剣の腹であんまり叩いて変に曲がると嫌なのでノギスの魔剣スほにゃらら?が落ちていたので借りることにした。
「さて、まだやり足りないならかかってこい。」
ノギスは咆哮を上げて飛びかかってくる。
剣は俺が持っているので腕を振り回している。
エンチャント:風を使い、ノギスの横に回る。
腕を掻い潜り、剣でぶっ叩く。
しばらくその繰り返しをしているとノギスの動きが鈍くなってくる。
そしてノギスの目が元に戻り、身体つきも元に戻る。
「く、くそ‥」
よし、意識が戻ったみたいだな。
それを確認して、頭を思いっきり剣でぶっ叩く。
そのままノギスは意識を失ったようで地面に倒れ込んだ。
は〜、スッキリした。
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