第104話
「何だ?今何が爆発したんだ?」「爆発物じゃないのか?」「魔法が近くで爆発したんだろ?」
観客に近い場所で見学していたためか、観客席から様々な声が聞こえてくる。
まあ確かに何が起こったかわからないよな。
あれがアキーエの魔道具化した右ガントレットの能力だ。
単純にアキーエの魔力をガントレットに溜め込んで、衝撃で放射するだけの能力だ。
任意で使う事は出来ず、一定以上の衝撃で発動する。
使い勝手はあまりよくないと思うが、アキーエが希望したのだ。
模倣スキルの【格闘士】と【下肢筋力上昇】では接近戦を得意とする高レベルスキルと渡り合うのは難しい。
模倣スキルの【格闘士】と【下肢筋力上昇】では相手に大きなダメージを与える事ができないのだ。
蹴りが使えるのならいいのだが、経験が浅いアキーエでは逆に相手に隙を与える事になる。
接近戦での攻撃手段の確保。
それがアキーエの希望するものだった。
ガントレットは爆発によるダメージは受けないよう放射する方向性を定めている。
その結果、衝撃を与えると一定の方向に魔法を発現する魔道具になり、相手を拳で殴りつけるとそのまま魔法を近距離で爆発させるという物騒な品物に仕上がったのだ。
そしてこのガントレットは防御のために相手の攻撃を受け止めても発動する。
つまり先程の爆発は、アキーエが相手の攻撃を防御した際の衝撃で魔法が発動し剣をぶっ壊したのである。
我ながら恐ろしい兵器を開発したものだ‥
あれって、ツッコミくらいで爆発しないよな?
試してないけど、僕は心配です‥
突然の爆発と1人倒された事で、会場内のパワーバランスが変わった。
それに気づいた3人の男はすぐに動く。
1人を倒そうとしていた2人組はすぐに間合いをとるために下がる。
しかし攻撃を受けていた男は1人を追いかけて斧を振り下ろす。
それを何とか防ぎ、もう1人の男に助けを求めようとするが、男はアキーエを警戒してか行動が遅い。
男は何度が攻撃を受け止めていたが、ついに斧が身体を捉え始める。
まずいと判断したのだろう。アキーエを警戒していた男が助けに入る。
また開始直後の状態に戻る。
この後はアキーエがどう動くかで戦況が進む事になるな。
そしてアキーエ戦う相手を決めたのか、ゆっくりと歩き出す。
3人は攻撃をやめ互いを警戒ことに移行する。
そしてアキーエの動向を確認するために、アキーエを‥
「弾けよ!灼熱の炎矛!」
はい。
アキーエの魔法が炸裂しました。
いつもの倍は炸裂しております。
接近戦を警戒していた男たちはまとめて魔法を喰らっている。
ふははは。
君たちは何故アキーエが遠距離から攻撃してくると思わなかったのかね?
普通は思わんわ!
あんな格闘士然とした格好で凶悪な魔法を放つなんて誰も思わんよ。
アキーエの魔道具化したガントレットの左は杖と同じ魔法の媒体になっている。
魔法の威力、発動までの工程を最適化しており杖を使用しているのと同じように魔法を発動できるのだ。
この左右のガントレットでアキーエは遠近共に戦える戦士になったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます