第955話

『擬霊化』を行った結果、精神を壊したエルフが敵味方関係なく暴れている。


敵と言ってもアキーエたちが梃子摺る事はなく、向かってきたエルフに関しては、動けなくなる程度のダメージで黙らせていた。


しかし『擬霊化』できないエルフたちに関しては精神を壊したとはいえ、自分たちよりも格上なエルフだ。


数人がかりで押さえ込もうとしているが、少なくない被害が出ている。


本来なら、『擬霊化』したエルフが抑えるべきなのだろうが、『擬霊化』したエルフたちは女王の命により、アキーエたちを亡き者にしようと隙を窺っている。


「あんたたち、あっちは放っておいていいわけ?仲間だし、あんまり被害が大きかったら軍として機能しなくなるんじゃないの?」


「俺たちに下された命はお前達を相手する事だ。それ以上に重要な事はない。」


「はぁ‥まあいいわ。あんたたちが向かってくるなら、被害に関してはもっと酷くなると思うし。言っておくけど、ミミウもアレカンドロもリルもあんたたちが思ってる以上に強いと思うわよ?」


「そんな事は関係ない。俺1人より強ければ2人で当たればいい。もしそれよりも強ければ3人、4人‥たとえ相手がどれだけ強かろうが関係ない。俺たちとって絶対なのは女王からの命だけだ。」


エルフはアキーエと戦い、自分では勝てないと早々に判断していた。


しかしエルフの女王からの命は絶対であり、勝てないからといって逃げるなどの選択肢はなかった。


どうやったら勝てるのか?

自分の身を犠牲にして勝てるのであれば喜んで犠牲にするつもりであった。


それを判断するために、それぞれ1人ではなく複数人でアキーエたちに戦いを挑む。


「精霊の属性を考えて別れろ!こいつらはそれぞれ得意としている属性が違うようだ!」


アキーエの元には水の精霊を『擬霊化』したエルフ、ミミウの元には風の精霊を『擬霊化』したエルフが集まっていく。


「いくらお前たちが強かろうが、四大元素の理には逆らえん。お前たちが強いのは認めよう。しかし我らエルフの民が精霊魔法の奥義を使って負けるわけにはいかないのだ。死ね!」


エルフたちはそれぞれアキーエたちに向かい駆け出す。


何人かはその場に立ち止まり、魔力を練り始める。


「火属性を得意だろうが、我らが『擬霊化』した精霊は水の精霊だ!お前の火魔法を抑え込み、無力化してやるわ!」


アキーエはその場で魔力を練り、魔法を放つ。


「『火球』!」


アキーエの放った魔法はエルフたちの元に向かっていく。


「無駄だ!『水の精霊よ、我らに力を!』」


2人のエルフが放った水の精霊術により、アキーエの火球は勢いを無くし、エルフの元に届く前に消失した。


「わかっただろう。いくらお前が優秀な魔法使いだとしてもこれ以上の抵抗は無駄だ。大人しく死ぬがいい。」


「ふ〜ん。でもさっきわたしの近接戦闘は防げなかったと思うけど?」


「確かにな。しかし今は違うぞ。お前の火属性の攻撃は防ぐことができる。格闘術は優れているが、我らエルフを多人数同時に相手出来るほど優れているかな?お前の魔法は届かないが、我らの水の精霊術はお前に届くぞ?」


エルフたちはそう告げながら、徐々にアキーエの周りに位置どり始めた。


「諦めろ。女王の命だ、お前の命を刈り取るのは決定しているが、せめて苦しまないようにしてやろう。」


エルフたちが徐々に包囲網を狭めていく。


「残念だけど、わたしたちも負けるわけにはいかないのよ。信頼してくれた仲間のためにもね。あと一つ言っておくけど、わたしの得意魔法は火属性じゃないわよ。」


「なに?馬鹿な事を言うな。他に得意元素があるというのか?」


「そうね。でもあなたたちが言ってる四大元素とはちょっと違うわね。不本意だけど、仲間が名前をつけてくれた属性なの。」


「何を訳のわからぬ事を!」


「わからなくてもいいわよ。今から体験して貰えば。わたしの得意な属性は爆破属性って言うのよ。踊れ『爆炎球』!」


エルフたちの目の前で猛烈な音を立てて爆発が起こった‥







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スキルを模倣しまくって最強無敵!魔王?勇者?どっからでもかかってこいやぁー!(旧: 模倣スキルで天下とっとらぁ) オギコン @terahiro

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