第389話
いや、いつの間にか副団長になってたって‥
そんな簡単になれるもんじゃないだろ副団長とか。
「もしかして『ガルベスト』って団員2人しかいなかったりする?」
「いや、全盛期のうちより少し少ないくらいだったぞ。」
あ、俺の独り言にクワイスが律儀に答えてくれた。
「ちなみに『アウローラ』の全盛期って?」
「そうだな。残念ながらこの間のオークとの戦いでかなりの人数が減ってしまったが、その前は120人程だったよ。」
え〜。
それより少ないとしても100人くらいだろ。
そこのNo.2って何してんのこの人。
傭兵が性に合ってたどころじゃないでしょ。
「そうは言いますがマルコイさん。私も昔と比べるとマルコイさん程じゃないけど、強くなったんだ‥ですよ。」
「なんだよエルエス兄さん。喋り方が気持ち悪いぞ。」
「お前気持ち悪いってなんだ!お前が何かしらんけど、うちの団長と同じくらい偉いクワイスさんとタメ口で話してるし、クワイスさんに聞いたんだけどお前が『カッカス』を倒す主軸になったとか言われたからこうなんだ‥偉い人と話すような感じにしてただけじゃないか!」
なるほど。
元々エルエス兄さんはオープンな性格で色々な人とすぐ仲良くなれる。
まあ言い方を変えると馴れ馴れしいのだが‥
だからあまり敬語とか使うところを見た事がないし、よくそれで父親に怒られていた気がする。
「兄弟なんだからそんな事気にしなくていいよ。それに俺は別に偉くないぞ。」
「そうなのか?なら助かるよ。あんまり敬語とか使った事ないからさ。まあそれでよく団長に怒られてるんだけどさ。」
「確かにエルエス殿はあまり畏まった振る舞いはしないな。でもエルエス殿が『ガルベスト』との連絡係だったからいい方に同盟が進んでいたってのはあるけどね。しかし驚いたよ。エルエス殿とマルコイさんが兄弟だったなんてね。」
「実家は男爵家で村を治めてたんですが、年々衰退していってまして。そんで兄貴が村長になるから俺は補佐をするよりも出稼ぎにでも行って金を稼いで来た方が性に合ってると思いまして。」
確かにアルサン兄さんは頭も良くて村長に最適な人物だけど、エルエス兄さんはどちらかというと身体を動かしてた方がいいタイプだったからな。
「エルエスお兄さんお久しぶり!」
「おお!アキーエじゃないか!そうか、アキーエはまだマルコイに付き合ってやってくれてたんだな。よかった旅に出た後にすぐ捨てられると思ってたのにアキーエが心優しい娘でよかったよ。それにすごく綺麗になったな。」
くっ!
余計なお世話だ。
「もうっ!エルエスお兄さんは口が達者なんだから!」
アキーエの魔のツッコミが入る。
普段は力加減を上手にしているんだが、恥ずかしい時などは力加減を忘れる時がある。
スキル【魔闘士】を得てからますます攻撃力が上がったアキーエのツッコミは下手をすると死人が出る‥
まあどういう事かというと‥
アキーエに肩にツッコミを入れられたエルエス兄さんはそのまま真横に吹っ飛んだ。
まあ仮にも副団長にもなってるんだから怪我はしないだろ。
あ。
顔から落ちた。
「ああ!ごめんなさいエルエスお兄さん!」
「ごふっ。だ、大丈夫だ。それにしても、ず、ずいぶんと強くなったみたいだね。」
「ええ。わたしもいろいろと経験させてもらってますから。」
「そういえばエルエス殿。マルコイさんのパーティで3人ほどドラゴンスレイヤーがいますよ。もちろんアキーエさんもその1人ですよ。」
クワイスが悪い顔して言っている。
この人意外と腹黒いよな。
「えっ。ドラゴンスレイヤーって‥」
「た、たまたまですよ!たまたま運良くドラゴンを倒せただけです。それに一緒に村から出たミミウも倒したんですよ!」
たまたまで倒されるドラゴン‥
「ミミウって武器屋の娘さんのミミウちゃん?そっか、あの娘もマルコイと一緒に村からでたんだったな。」
ミミウを探すエルエス兄さん。
ミミウは‥
あ、話を全く聞かずに料理の前でスタンバってた‥
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます