第390話

「こんなところで立ち話もあれだから、さっそく宴会を始めようか。」


そうだな。

そうしないとミミウがいるところに湖ができてしまう。


「よかったらエルエス殿も参加していって下さい。今日はセイルズに泊まる予定なんでしょう?」


「いいんですか?ありがとうございます。いやぁ、美味そうな料理が並んでたんでお呼ばれしたいなとは思ってたんですよ!」


うむ。

さすがエルエス兄さん。

思った事を口に出す。


「それにマルコイやミミウちゃん達とも話がしたかったんで助かります。」


そうだな。

ミミウと話をするには食べてひと段落しないと難しいだろう。

だって料理以外目に入ってないもん。




クワイスは団員の前に出る。


「みんないいか?昨日はお疲れだった。ずっと戦っていた『カッカス』との決着がようやくついた。『カッカス』とやり合うようになってから、ずっと傭兵稼業じゃない仕事ばかりしてきたが、それも今日で終わりだ。これからは昔みたいにモンスター討伐や商人の護衛何かをしながら名声を上げていこう。『カッカス』やオークとの戦いで亡くなった戦友達の分まで俺達で『アウローラ』を盛り上げていこう!」


『アウローラ』の団員が大きく頷く。


「それじゃあ乾杯したいとこだが、今回の『カッカス』との戦いで俺達を勝利に導いてくれたマルコイさんに乾杯をしてもらおう!」


ほえ?

何ですかいきなり。

聞いてないんですけど。


戸惑っていると、後ろからアキーエに押された。


「なんでもいいから言ってきなさいよ。マルコイは『アウローラ』の人たちの英雄なんだから。」


うっ。

なんか恥ずかしいんですけど‥


しぶしぶ前に出る。


「え〜と‥マルコイです。今回『カッカス』との戦いは俺の仲間が被害にあったからそれを辞めさせるべく来ました。その時に同じ敵だったんで『アウローラ』の人たちとも共闘させてもらいました。でもクワイスやメンセン、それにアレカンドロや皆さんと共に戦えてよかった。でも俺たちがもう少し早く着いていればオークとの戦いでも被害がなかったかと思うとそこは少し申し訳ないと思うんだけど‥」


「そんな事ねーぞ!マルコイさんが来てくれたから多くの団員が生き残る事が出来た。感謝しかない。だからあんたが申し訳ないとか思う必要は一切ねーぞ!本当に助かった!ありがとう!」


声の方を見るとメンセンだった。

他の団員も皆大きく頷いている。


「そうか‥よかった。ありがとう。」


俺は少し気持ちが軽くなった気がした。


「それじゃあ食事を待ってる人もいると思うから挨拶終わろう。これからの『アウローラ』の清栄を願って乾杯!」


「「「乾杯っ!」」」





ようやく宴会が始まった。


ミミウも待ってましたとばかりにご飯を頬張っている。


料理はテーブルに大きな皿に置いてあり、それを各自で小さな皿に取り分けて食べるようにしてあった。

色んな料理を少しずつ食べる事ができるのでありがたい。


フーラさんの料理はその場でフーラさんが作っているので長蛇の列が出来てる。


料理の道具は俺が店からそのまま『スペース』に入れて持ってきた。


最近はあまり自分のスキルの事を隠さないでいる。


『アウローラ』の面々は何度も見せているし、フーラさんに関しては「さすがマルコイ神様!」で済んでいるからな。

何より便利だし。


キリーエが準備した獣人国で造ったお酒も大量に『スペース』で持ってきており、飲んだ事のないアルコール度数の高いお酒や甘いカクテルなんかも好評のようだ。


みんな飲んだ事のないお酒を飲んで盛り上がっている。


キリーエはお酒を配るところにいて『アウローラ』の人たちに声をかけていた。


「ここにあるお酒はホット商会で売り出してるから、皆さん今日飲んで美味しかったって思ったらホット商会に置いてあるから買ったってね〜!」


うむ。

どんな時でも商品を売り込む姿はたくましいです‥

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