第391話

みんな思い思いに宴会を楽しんでいる。


もうすでに酔っ払って大きな声で笑ってる人もいる。


バラックスさん並みの酒の弱さだな‥

しかし大きな敵に勝った事でみんなに笑顔が見える。


死んだ仲間の為にも生きている人が楽しんでいる。

そんな風に見える。


「よう!我が国の英雄マルコイさん!」


声をした方を見るとスキャンとライリーだった。


「おっ?スキャンも呼ばれてたのか?あと英雄はやめろって。」


「ああ。クワイスさんに呼ばれてな。元々冒険者ギルドと『アウローラ』は交流があったし、『カッカス』の件では情報のやり取りもしてたし。それとマルコイさんは英雄だぞ。この国が乗っ取られそうだったのを防いだんだからな。」


「いや、国の政治に入り込もうとはしてたけど、まだ乗っ取りまではされてなかったろ?」


「そんなもの時間の問題だったよ。この国は良くも悪くも商人中心の国だ。この国の商会を支配してしまったら、その商人は事実上この国のトップに並ぶからな。」


「そうか。意図したわけじゃないんだけど、結果としてそうなったんならよかったよ。」


「ふん。ほんと欲がないわね。今ならこの国の商会のトップに立てるっていうのに。」


ん?

ライリーがぷりぷりしてる。


今日も可愛い服を着てるな。

フリルがあしらわれた女の子らしい格好だ。

だが残念な事にどう頑張っても幼い娘にしか見えないのだが‥


正人の好みからズレてるかな?

男の子っぽい娘が好きだったみたいだけど‥

しかしおそらく正人の知識と思うが、『YESロリータNoタッチ』って言葉が知識としてある。


おそらく問題ないだろう‥


少し正人の事を不審な目で見てしまいそうだが‥


「欲も何も、商人で成功したいと思ってるのは仲間でね。もう成功してるとは思うんだけど、貪欲でさ。でも政治何かには興味はない。だから俺も仲間もこの国のトップに立つなんて事には興味がないのさ。それにその仲間が言うには「他に競争相手がいないと商会は成長しない」だそうだ。」


正直国とか政治とかそんな重荷はいらない。

仲間と一緒に楽しく過ごせればそれでいいしな。


「ちぇ。残念。」


「はは。この国のトップなんて不相応だよ。俺は仲間と獣人国に戻ってまた冒険者として生活するよ。」


「えっ!お前獣人国に帰るのかよ?もう戻って来ないのか?」


おいおい。

口調が元に戻ってるぞ。


「いや、『アウローラ』に武具や魔道具を卸したりするから、たまには来ると思うぞ。」


「そうなんだ‥ほっ。」


「ん?何でだ?何か用事でもあるのか?」


「い、いや、あんたみたいに強い人がいたら冒険者ギルドも賑わいを取り戻すと思ってさ。」


「そうか?でもライリーは今は冒険者ギルドにこだわる必要はないんじゃないのか?『カッカス』もいなくなった事だし、他の街に移ってもいんじゃない?」


「そ、それはそうだけど、危険がなくなったらこそこのままギルドの受付嬢を続けるんだよ!お世話になった人達もいるし、何よりスキャンさんを1人でほっとくわけにはいかないだろ!」


「そっか。でもその方が助かるかな。」


「え?な、な、なんで俺が受付してた方がいんだよ!」


「ん?そのうち勇者がこの国にくると思うから、その時にライリーがいると勇者が喜ぶと思うからさ。」


俺がそう告げるとがっくりと肩を落とすライリー。


「くくく。まぁ望みは薄いと思うけど頑張りなライリー。マルコイさんセイルズに来た時は是非ギルドにも顔を出してくれよ。ライリーも喜ぶと思うからさ。それじゃあまた後でな。」


「おう。もちろんだ。」


ライリーが肩を落としたままスキャンと去っていった。


ふむ。

勇者と会えるならライリーなら喜ぶと思ったんだがな。

よくわからん。


「相変わらず鈍いなぁお前は。」


今度声をかけてきたのはエルエス兄さんだった。


「鈍いって何が?」


「そんなとこだよ。鈍いってのは。」


なんだそれ?

よくわからん‥

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