第547話

俺は確保してある場所に海老の一部を『スペース』から取り出す。


「おおー!すげー!」

「どんな料理がでるんだ?」

「なんてデカさだよ。あのサイズから全体を予想するとかなりのサイズのモンスターだな。さすがマルコイさんだ。」


なんてみんな口々に言っている。


ちなみに大きさはこれの3倍はあるからね。


「さてこの海老の切り身を使って料理してもらいます!ちゃんと海老と同じように使えるように、スタッフの方で切り分けていくから心配ありません!」


なるほど。

確かにあのサイズだと調理する方も困るな。


ミミウがかぶりつきそうな顔で見てる‥


あれは待てるんだろうか‥

いや、両手にミミウ焼きを持っているから、しばらくは持つだろう。

いや持つと思いたい。


「それでは一回戦は‥フーラ対メンセン!」


おお!

初戦から濃い対戦だな!


メンセンはフーラさんに料理を教えてもらってたと言ったけど、師匠対弟子みたいな感じになるのか?


邪な気持ちで始めたと思われるメンセンの邪パワーがどこまで、神を崇める聖職者に通じるのか‥?


ただのハゲじゃない!

邪なハゲだ!

横縞なハゲ?


メンセンに睨まれた‥



「2人は師弟関係との事ですが、弟子が師匠を越えることができるのか?それでは2人とも準備はいいですか?」


「はい。私の料理はタルタル神様に捧げる奉納品のつもりで作ります。師弟対決になる事はないでしょう‥あくまでもどちらの信仰心が高いのか‥そんな勝負になると思います。」


いや、なりませんよ。

信仰心高くても料理は美味しくなりませんよ?


何で、そうなのか!みたいな顔してるんだよメンセン!


周りを見るとかなりの数の人が頷いている。


え?この人たち全員タルタル教に入ってるの?






「それでは!第一回戦の対決‥はじめっ!」


2人が同時に動く。


まずはボールに海老を取り、その他の材料も取っていく。


しかしとっている材料がほとんど同じように見える。


もしかして作るメニューが被っているのか?


お互い玉ねぎをみじん切りにして、ボールに入れている。


もうこの時点でわかるよ‥

それはタルタルソースだろう‥?


ま、まあタルタルソース専門店の店長と、その弟子が作るメニューだからな。


タルタルソースは使いますよね‥


中に入れているのが少し違うくらいでほぼ一緒だな。


まあタルタルソースってそんなに変化する物でもないだろう。


そして2人とも油を用意している。


並んでいる物にパン粉が見える。


おそらくエビフライってとこか?


奇しくも2人とも同じメニューって事か。


確かにアジフライだったり、様々フライ料理をしてきたフーラさんと、それを学んだメンセンだしな。


同じ料理にもなるってとこか。


しかし2人とも少し工程に違いがあるようだな。


それがどう違ってくるのかが楽しみだ‥‥ってあれ?


みんなそんなに真面目に作るの‥?


宴会芸みたいなものじゃないのかよ‥


俺、ウケそうなのしか考えてないんだけど‥


やばい‥もう少し真面目に考えておこう。






2人とも油で揚げる工程に進んでいる。


あ、油が跳ねてメンセンの頭に飛んだ。


おお。

熱さでのたうち回っている。

さすが横縞なハゲだ。

涙目で睨まれた‥

ふむ。

悪口って思ってても伝わるんだな‥


そんなアクシデントを乗り越えて、2人の料理が完成したようだ。


「おおっと!2人の料理が完成したようです!こちらの料理の審査ですが、今回は5人の審査員の人に食べてもらいます!『仕事はどうしたスキャンさん!』、『夢は玉の輿スネタさん!』『こんなところに来ていいんですか?領主の残念紳士ポッサムさん!』『最近白髪が増えてきたクワイスさん!』『我らがアイドル!ミミウちゃん!』以上の5名の方です!」


なんて事言うんだキリーエ!

ミミウ以外死んだ魚の目になってるぞ。


てかスネタさんもそうだけど、ポッサムさん仕事ほったらかして何してるんだよ‥

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